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「どうだったね?」
「えぇ……雇ったアサシンと盗賊は全て殺されました」
「躊躇なしか?」
メイド女は大臣にお辞儀した。
「はい、殆ど……」
「ガハハハ!君は素晴らしい、それでこそ、この依頼を任す事ができるというものだ……では本題に入ろう……君に頼みたい依頼と言うのはある要人の暗殺依頼だ」
やはりか……
「そうですか……」
「騎士には頼めないから君に頼みたい……と言うのは相手はフランシス・ラオスコット」
ラオスコット……元盗賊の俺だって王の名前ぐらいは知っている……なるほど、騎士達には頼めない訳だな……
だが、フランシス?……聞いた事ないが……
俺を観察し、大臣は暗がりでニヤリと笑う。
「そう察しの通り、ゼネラル王の娘だ……」
「フランシス……聞いたこと無いですね」
「非公式な娘だからな……当然、王族内にも派閥があり……我々にとってその娘は邪魔なのだ」
「なるほど……」
「破格の報酬を用意した……報酬は一兆ゴールドだ」
一兆だと……
「怪しいか?ククク……まぁそう思うだろう……だが、王女を殺そうと言うのだ……それだけ出そう……それに簡単な仕事では無い……彼女には護衛が付いて居る……」
「これをどうぞ……」
大臣に促され、メイドが机に名簿を置いた……そこには8名が記載されている。
「どうだね?……危険な任務だが、受けてくれるか?……成功したら一兆……それと騎士の称号を与えると約束する……それとも流石に王に弓は引かんか?」
「報酬さえ貰えれば」
「そうか!やってくれるか!ハハハ!君ならそう言ってくれると思っていたよ……おい!」
『パンパンッ』
大臣が手を鳴らすと数人のメイドが道具や金を持って入って来る。
「フランシスの居場所はそう遠くはない……これは地図……それと支度金に薬だ」
メイド達は小瓶を12本、テーブルに並べていく。
「不思議か?……そうだろうな……フランシスは魔女なのだ」
「魔女?」
「……生まれつき彼女は呪われていたのだ……彼女は常に周りのものを毒してしまう……第一王女は出産時に呪いによって死んだのだ……だが、王は彼女を愛していた……だから殺す事はできずに森の奥深くに封印しているのだよ」
「それで、薬……」
「そうだ、この薬の精製にはかなりの時間と金がかかる為に12本しかないが、効果は保証しよう……一本辺りの効果は一時間……12時間で方をつけてもらいたい」
「わかりました」
俺は立ち上がり、メイドに促されて歩こうとした。
「ああ……それと」
俺は大臣の方を向く……
「その名簿の何人かは既に瘴気に殺られている事だろう……それに生きていたとしても瘴気に犯され、本来の力量はないはずだ……だがファイス・ドリトス、そいつだけは別格だ……瘴気に犯されたとしても、雷神と呼ばれた上級騎士……気をつけたまえよ?」
「ああ……」
俺が外に出ると大臣の部下が俺の馬を連れて来ていた。
俺は地図の通り、王女を目指して馬を走らせた。
「ここか……」
深い森の中……ハッキリと草木がドロドロに溶けているヶ所があった……ここから先が呪われた地なのだろう……
俺は薬を飲み、融解した森の中へと入っていく。




