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翌日、俺はベットの上で意識を取り戻した。

辺りを見回すとホテルの客室らしかった。

「……客室か?」

「そうね」

目の前のスオが砕けた何かを持っている……激しく損傷しているが……その破片には見覚えがあった。

「それ……魔剣か?」

「ええ……」

失われた腕や身体中の傷はDPによって完治したが、魔剣は最後の一撃で砕けたらしい。


「ライオネルはどうなった?」

「貴方と同じで重症だったわ、もう彼の左眼は見えないみたいよ……大臣は彼を王都に戻したわ」

「そうか……」

殺しきれなかったか……


俺は立ち上がり、スオから砕けた魔剣を受け取っり、ドアに手を掛ける。


「大臣が頼みたい依頼があるそうよ」

「依頼?」

「えぇ……重要な依頼らしいわ……動けるようになったら屋敷に来るように言われたわ……これ、地図よ」


王都の屋敷……か……

「分かった……ゴブリン達の様子を確認したら出発する」


俺はホテルから地下に潜り、ダンジョンの通路を歩き、墓場へ向かった。


墓場ではちょうどゴブリン達が墓穴に仲間を入れているところだった。

「ゴブッ」

「おう……」

俺は墓穴を確認する。


やはり……思った通り黒焦げになったゴブリンリーダーも穴の中に入っている。

魔剣の業火はゴブリンリーダーの脳も焼き尽くしてしまったらしい。


「悪いが……これも、入れてやってくれ」

「ゴブッ!」

ゴブリン達は砕けた魔剣をソッと墓穴に入れて穴に土をかける。


「よし!レベルの確認だ!闘いに参加した者達を集めろ!」

「ゴブッ!」


戦闘に参加したゴブリン達のレベルは600前後になっていた……これならもう彼らに任せても大丈夫だろう。


高レベルのゴブリン達は流暢に人間の言葉を話し始める。

「おやびん……どう?」

「おう!強くなったな!お前ら……俺は少々、ダンジョンを離れる事になった」

「え?……ゴブリン……ついてく?」

「いや、今回は王都に行くから必要無いな」

「そう……ゴブリン……少し寂しい」

「心配するな、そんなには掛からないさ」


俺は馬に跨り、門を開けさせた。

「ダンジョンを頼んだぞ?」

「ゴブリン……平気!任せても!」

「ああ!頼りにしてるぞ!」


順調に行けば王都はここから1日もあれば着くだろう……俺は馬を走らせて王都を目指した。


一体……依頼とはなんだ?

兵士ではなく、俺に頼むって事は後ろ暗いことだろうか……


何なんだ?……


「キャー!」

「やめてください!」

「ヒヒヒヒ!ねいちゃん達〜」


走り続け、そろそろ王都……と言う所で盗賊に襲われている女達を発見した。


護衛らしき男達は既に血塗れで道に倒れ、女は服を掴まれ、引き倒されている。


俺は馬を走らせ、その横を素通りした。


それなのに盗賊の一部は進行方向に回り込んでくる。


「ヒヒヒヒ!あんた傭兵かい?冷たいねぇ……」

「逃げんなよ……ヒヒヒヒ」


馬鹿共が!


「ぐあっ!」

《ドスドスッ!》


俺は馬から斧を投げ、進路を塞ぐ二人の頭を割って馬から降りた。


斧を両手に回収し、背後を確認した。


俺が睨むと服を掴んだ盗賊は硬直している。

俺は盗賊に向かって歩いた。


盗賊は女を離して後ずさりする。

「ヒッ!違う……」

「何が違うんだ?」

「私達が頼んだのよ!」

女はナイフで首をかっ切ろうとした。

《ドンッ!》

俺は咄嗟に女の頭を殴り潰した。

頭の潰れた女が草むらに吹っ飛ばされると他の女が騒ぎ出した。


「よくも姉貴を!」

「キィー!許さない!」

「ウルセェよ」


……俺は女共とついでに盗賊を殺した。


「お見事……」

馬車の中にまだ女が残っているようだ……


俺は警戒した。

「何だと?」

「申し訳ございません……大臣の命で少し……試させていただきました」

「大臣が?」

「えぇ……その斧をしまって頂けると有難いのですが……」

斧を腰にかけ、腕を組むとメイド女は姿を現した。


「何の為に?」

「それはご主人様が説明いたします……こちらへ」


女について行くと王都の城壁以外何も無い場所についた。


《ガコッ……ゴゴゴ……》

女が城壁を押すと通路が出現する。


しばらく通路を歩くとドアが有り、ドアを開け女は入るように促す。


部屋の中には大臣が既に座っていた。

「早かったな……こりゃ驚いたな……」

治った俺の腕を見て大臣は目を見開いた。


「依頼とは何でしょう?」

「そう焦るな……まぁ座りたまえ」

俺は大臣の正面に座って依頼内容を聞く事にした。

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