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盗賊達は落ちた場所から一本道を通って闘技場へ向かっている。

俺とゴブリン達は既に闘技場で彼らを待っている状態だ。


正面の門の向こうに盗賊が見えるのはもう少し後の事だろう……

500人は同時に戦えそうな広い闘技場の巨大スクリーンに彼らの姿が中継されていた……彼らは恐る恐る進んでいる。


恐らく上の部屋では金を持て余した特別な客達がこの光景を見ている事だろう……

様々な娯楽に飽きた彼等にとっては命が失われる様を見る事が何より楽しいらしい。


中には不定期なその映像を見る為、長期に渡って宿泊する者も居るくらいだ。


その感覚は到底理解出来ないが、まぁ何を楽しもうが自由、金を払えばそれで良い。


さて……

「おし、ゴブリン共……そろそろだ」


ゴブリン達が武器を構えた瞬間……連絡用の管によるダンジョン内放送でスオからの連絡が響いた。


「「バッドボーイ、特別なお客様の為、少し時間を……お客様の到着まで待って下さい」」

俺は手を挙げて了解のサインを出す。


さて……

俺も盗賊達が来る前に準備をしなくてはならない……ゴブリン達を闘技場から退場させ、闘技場に設置されている宝箱を手に取った。


客が居ない場合はただ殺すのみだが、客は争い死ぬ様を見たがっている……特に直接見る場合には侵入者にもやる気になってもらわなくてはならないのだ。


しばらくすると盗賊達がやってくる……闘技場の柵を調べながら俺を見た。


「な…なんだ?テメェ!」

「フフッ……何だ?…はないだろう?侵入してきたのはお前らだろ?」

「こ…ここから出せや!」

「まぁ話を聞けよ」

俺は盗賊達に柵越しに近寄り、宝箱を開いて見せた。

「す…すげぇ……」

「こんな大金見た事ねぇ……」

盗賊達の目が期待通り、ギラギラと欲にまみれていく。

「この金が欲しいか?」

「当たり前だ!」

「よし、やろう」

《ガッシャァ》

俺は柵を開けて宝箱を放り投げ、金貨が散らばった。


唖然としていた盗賊達はナイフ片手に恐る恐る……地面に散らばる金貨を拾い上げていく。


「すげぇ!親分!1000万ゴールドはあるぜ!」

「そうか……だが、何だ?……意味がわからねぇ……あんた何もんだよ」

「俺はここを任されているものだ……お前らに頼みたい事がある……だが、依頼を受けずにそれを持って帰るのも良いだろう……あっちが出口だ」


俺の指差した先の柵が上がり、盗賊達の喉がゴクリとなった。

「だが、帰る前にあっちも見て欲しい」

逆側の柵が開き、その向こうには資産の一部が保管されていた。


「な……何だありゃ……」

「近くで見てみると良い……」

宝庫には現在50億相当の財宝が保管されていた。

盗賊達は宝庫に入って歓喜している。

「すげぇ!やべぇぞ!」

「なんて金だ!こんなにデカイ金塊が積まれて!」

「全員で一生遊んでも余るほどの金だ!……だが、依頼ってのもやべーんじゃ?」

「それなりに危険だな……モンスターと戦って貰いたい」

「おいおい!ドラゴンと戦えってんじゃねーだろ〜な?」

「ハハッ!そんな無茶は言わんさ……この戦いを見ている富豪達は一瞬で消炭になるような戦いは望んでいない……相手はお前らと同じ20匹のゴブリンさ」

「ゴブリン……だと?」

「ああ……嘘は言わない」

「やりましょうぜ!親分!」

「いや……危険なんじゃないか?怪しすぎるだろ」

「そう思うのも自由だな……じゃああそこに転がった1000万ゴールドを持って出て行ってくれ……さっそく他の盗賊が侵入してくれたようだ」

「他の盗賊だと!?」

「そうだ、早く帰ってくれ!」


「まっ!待ってくれ!」

「待たん!帰れ!」

「親分!俺は一生恨みますぜ!」

「俺もだ!俺達はやる気だったんだ!」

「あんたのせいで!大損だ!」

子分達は次々と愚痴を口にしていく。


「何だ?お前達はやりたいのか?」

「へい!」

「わかった……じゃあ親分の分、ゴブリンの数も減らしてやろう」

「へへ!ありがてえ!」


俺は子分一人一人に金の延べ棒を渡していく……これだけでも5000万は行くだろう


「前金だ!……やる気なら早速、準備して貰おう……あの部屋に武器と防具が置いてあるから好きなのを装備しなさい」

「おう!」

子分達は意気揚々と武器庫へ入っていく。


「む?……まだ居たのか?」

「へへへ!俺も混ぜて貰うわけには行かないだろうか?」

「何だって?」

「俺も参加する!」

「よし!良いだろう……だが、戦うのは富豪が到着してからだ……子分にもそう伝えておいてくれ」

「へい!ヒヒヒヒ」


俺は全ての柵を下ろしてスオ達の到着を待った。

「こちらでございます」

「おお!何と何と!これは立派な闘技場だな!やはり直接見ると迫力が違うな」

「ありがとうございます」

「おい!お前達も遠慮するな!」

「はい!大臣!」

大臣……何度か見た顔だな……

その他大勢……珍しく大人数だ……富豪……貴族か?……身なりの整った者達とその護衛達がゾロゾロと観客席に座り、メイドがワインと料理を運んでいく。


俺は大臣と呼ばれた男に手招きされた。

「いや〜貴方がゴブリン達の調教師ですな?」

「そうです」

「結構、結構、いつもゴブリン達の素晴らしい戦いを見せてもらってますよ」

「ありがとうございます」

「ゴブリンにしては……だがな!」

大臣の護衛が俺に挑発しているが、そんな手には乗らない。


「でしょうね、大臣の護衛が務まる貴方様から見ればそう映るのも、うなづけるというものです」

「わかっているようだな!フンッ」

「すまんね、まだこの者は王から勅命で派遣されて来たばかりの騎士でな、大目に見てくれるとありがたい」

「いえいえ……」


騎士か……

「それでは……」

お辞儀をして盗賊達を確認する……盗賊達の準備完了していた。


「ゴブリンも入れ!」

ゴブリン達20名が闘技場に入ってくる。


「うぉっしゃ!コイヤァァ!」

盗賊達はゴブリンを確認し、不安が解消したのか雄叫びをあげていた。


ゴブリンと盗賊は睨み合った。


「おし!始め!」

ゴブリンと盗賊はお互い突撃した。


盗賊達は持っている武器でゴブリンを叩く。

《ギィン!》

「へっ?」

「ゴブッ!」

一撃で終わるだろうと思っていた盗賊達はゴブリンに渾身の一撃を打ち返されて唖然とした。


「ゴブゥッ!」

「ギャァ!」

唖然とする盗賊の腕がポトリと落ちた。


「「ワアアアアア!」」

貴族達は歓声を上げている。


「ひっひぃ!」

「テメェら!踏ん張りやがれ!」

そう言う親分も腰が引けている。


「おい!たんま!聞いてねぇ!」

「こんな強い……グェェ!」

盗賊達は次々と殺されていく……


「くそ!やってやらぁ!」

《ガンガンガン!》

子分の一人がやたら滅多に攻撃を繰り出し、ゴブリンを押している……

「行ける!行けるぞ!」

子分の一振りがゴブリンの肩に突き刺さった。

「よし!……グッ……ギャアアアアああ!」

ゴブリンは痛みを物ともせず、子分の腹に食らいついた。

子分は持っていた武器でゴブリンの頭を叩くが、兜に弾かれ、ダメージは無い。


「ヤメロォォォ!あああああああ!」

子分の腹はズタズタに切り裂かれ、血飛沫が飛び散った。


「「ワァァァァ!」」

観客達はテーブルまで飛ぼうかという血飛沫に興奮している。


「もう!ダメだ!逃げろ!」

盗賊達は戦意を失い、逃げ回った……だがもう逃げ場など存在しない。


「「ゴブリン!いいぞ!やれ!」」

ある盗賊はゴブリンに抱え上げられ、背中をくの字に折り曲げられ、口と腹から大量の血を吹き出す。


またある者は足を折り曲げられ、ゴブリン達に死ぬ迄殴り続けられた。


「ひぃ!やめてくれぇ!金なんていらない!」

「やめておけばよかった!」

盗賊達は鼻水を垂らし、泣き言をタレながら逃げ回る。


「テメェ!騙しやがったな!テメェだけはぶっ殺す!」

「はぁ……俺とやりたいのか?」

親分は俺に突撃してくる。


「良いだろう!」

俺は両手斧を構え、親分に一閃した。

「なん……」

《グシャッ!》

その一撃で親分の兜は乱暴にブッ潰れ、頭から大量の血が飛び出した……斧はそのまま身体も乱暴に引き潰し、血肉が飛び散る。


雑魚は力を分散させなかった……だが、ビアトール仕込みの防具は簡単には両断出来なかった。

俺もまだまだだ……


見回すとゴブリン達は盗賊を制圧していた。

「終わったか……」


「素晴らしい!だが、やはり盗賊では見応えがあまり無いですなぁ……」

大臣がそう言うと

突然、闘技場にダンジョンの様子が映り出され、兵士達が行進している。


先ほどの騎士が焦っていた。

「だ!大臣!これは私直属の!」

「そう、お前の兵士達だ」

「この者達は王から授かった……」

「だから試そうというのでは無いか……ククク、ゴブリンの調教師よ!この者達は闘技場に来る!戦って見せよ!」

「大臣!いくらなんでも許されませんぞ!」

「フフフ……なぁに、勝てば良いでは無いか!そなたが兵士達の指揮を取り!倒して見せよ!」

「くっ!」

騎士は観客席から降り立ち俺を見た。


「コア!」

『16ブロックからだ』

コアが騒がなかったということはスオとは話が付いているのだろう……

「お前の兵士はあちらから来るぞ!」

騎士は俺の指差した通路へ飛び込んで行った。

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