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俺は西門に入ると、情報通り商人団が護衛の募集をしていた。

「ハイ!次の方!」

俺の番だ……

「では、この受託書にサインをお願いします……貴方様は傭兵ですか?」

「いや、冒険者だ」

受託書には前金、成功報酬、積荷を盗む等の契約違反時には指名手配になる……というような事柄が書かれている。

前金50万ゴールド……成功報酬100万か……やはりこの商人達は裕福な様だな……

この報酬を10人に出せるという事は、積荷はその数十倍はあるはずだ……


商人はギルド証を受け取り、俺の署名を確認する。

「バルサニコス様…職業は冒険者…ですね……ギルドに確認致しますので、そちらに掛けてしばらくお待ちください」

「了解した」

この作戦は穴だらけだが、第一の賭けはこれだ……バルサニコスを雇った商人団は貧乏だったので掛捨て依頼の算段は高いが……

掛捨て依頼で受領していれば問題ない……成功後の報告は必要ないのだから……

しかし、割高の手数料をギルドに払って前金と成功報酬を払う依頼であれば……成功後の報告が義務化されている……当然バルサニコスの失踪はギルドにばれている事になり、俺は兵士に追われる事になるだろう……


「規定人数に達しましたので、一度締め切らせていただきます……おい!スオ!これを各ギルドに持って行ってくれ」

「はい!旦那様!」

スオと呼ばれた女は馬に跨り、街をかけていく……


「よう……よう!」

「ん?」

隣の男二人、女一人の三人組が話しかけてくる。

「あんたがバルサニコスか……少し名は聞いたことあるぜ?」

「そうか……」

「俺達はさ、スネイルダイクってチームなんだ……」

「……」

「あんたみたいな冒険者が来てくれて心強いぜ」

「なんだと?……lvはそんなに変わらないだろ?」

「ははは……世辞は良い……あんたも知ってるだろ?パーティを組む冒険者はlvを割増でギルドが依頼主に申請許可してくれるってよ……それにこのチムは炎の魔法が使えるんだぞ?」

「えへへ…やめてよぉ!もう!」

「盗賊達も護衛が雇われてるのは知っている、だから襲われることもない、こんな楽な依頼を受けれるんだ!感謝してるぜチム!」


それは初耳だったな……ギルドにも裏の顔があるらしいな……だがそれは冒険者が予想よりも弱いという事だ……願っても無い……


「俺はこいつを守りたい!だからバルサニコスさん……だからもしもの時はお願いします!」

「任せとけ!」


こいつは何故こんなに楽観的なんだ……世の中には俺達と比べ物にならない程強い化け物がいる……化物に襲われたら守るも何もないだろう……ギャグなのか?


スオが帰ってきた……商人は書類を一枚一枚確認している。

「書類の確認が終わりました……正式に募集を締め切ります!冒険者……傭兵の皆様……お待たせ致しました!スオに指定された荷馬車の警護をお願い致します……」


スオは中央2台以外に護衛を割り振り、伝えていく……


「スネイルダイク様は9番馬車……バルサニコス様は10番馬車の担当をお願い致します……旦那様…終わりました」

「ご苦労!」


「バルサニコス!殿か!頼りにしてるぜ!」

「任せておけ」


俺は最後尾の馬車に伸び乗り、その中で干し肉を口に含んで噛みながら出発を待った。


夜も更けた頃、商人団は出発する……わざわざ夜に出発する商人団を選んだのは夜目に関してはゴブリン達の方が上だからだ……多少のレベル差は埋めれる。


スネイルダイクを抜いたら護衛は6人……勝算は充分ある……

馬車で俺は少し仮眠をとった。


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