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七話 自主練。

今週も遅れてしまって申し訳ないです。

今後も一週間に一度の更新が守れないなら、目標撤回したほうがいいのかな。

そして今回は短いです。

 彰とアニメやゲーム談義で盛り上がった昼食を終えた俺は一人で街中を歩いていた。目的地は昨日兄貴達から聞いた格安で使える練習場だ。


 割引券も持ったし、場所は既に昨日聞いてある、準備はバッチリだ。

 

 更に少し歩くと古びた倉庫が複数並んでいる場所に出た。恐らくあの倉庫一つ一つが練習場なのだろう。


 事前に場所を聞いていたトタン小屋で受付をしてもらう。


「すみませんー、練習場使いたいんですけど、これ使えます?」


 貰った割引券を出しつつ受付で新聞を読んでいる爺さんに聞く。


「おぉ、使えるよ。じゃあこれに学生証タッチして、はい、いいよ。なら三時間で練習場は三番だね、アッチにあるから。後鍵はこれ、終わったらちゃんと返しにくる事」


 鍵を受け取ると俺は指差されたほうの練習場へ歩いていく。


 やっぱりボロいなぁ、と練習場をの外観を見つつ指定された練習場の鍵を開けて中に入る。


 練習場の中は広いが床はコンクリート、壁も薄くて思いっきりぶつかったら壊れそうだ。天井は相当高くなっていて、蛍光灯がいくつも吊り下げられているのだがそれでも薄暗い印象は抜けない。昨日まで兄貴達と練習をしていた練習場と比べれば天と地の差だ。中は全体的に古びていて入り口に荷物を置くテーブルが一つだけあった。


 今の俺は手ぶらなのでそのままで練習場の中央まで行き、そこで人形を出す。


「――よっと」


 掛け声と共に人形を出すと、いつもの様に動かす。歩き、走り、ジャンプ、殴り、蹴りなど色々な動きをさせるのだが。今日はせっかくこんな広いところが使えるのでちゃんとした練習をするつもりだったのだが。


「今気づいた、一人じゃ模擬戦が出来ない」


 そうするともう一体人形を作らなければ行けなんだけども。今の俺に出来るのか?


 物は試しだ、作ってみるか。


 今いる木人形と同じ人形をイメージして『傀』を使う。体から何かが抜けたような感覚と共に淡い光が現れて二体目の木人形を作り出した。


「出来た、か。大体二体人形を作って俺の字力量の全体の五パー行くか行かないかってところか」


 体から何かが抜けるような感覚、これは字力を使ったときの感覚だ。『漢字』を使うと字力を消費する。字力は『漢字』を使えば使うほど増えていくし、『漢字』も使えば使うほど慣れていき、その『漢字』を使う際に消費する字力が減少する。


「『傀』を使い始めたにしちゃ、一体でこの程度の字力の消費量なら破格か」


 それも前世から引き継いだ膨大な字力量様々といったところだろう。人形の維持と運用、強化分も含めれば、いいところ同時に二十体ってところか。


 まぁ、それを同時に使いこなせるかは別の話なのだが。


 一体目の木人形と二体目の木人形をお互いに戦わせる。ちなみに今回はちゃんと五指を作ってあるので殴り合えるのだ。


 お互いに殴りあう木人形を見ながら俺は思案に耽る。


 どうすればもっと強くなれるだろうか。


 今は昔と違って切迫した状況じゃないから急いで強くなる事も無いんだけどさ。でも、強くなれる時間があるのに強くならないのは時間を無駄に使っているって思っちゃうんだよな。


 力はあればあるほどいい。それが俺の持論みたいなものだ。

 

 とりあえずは二つある『漢字刻印』は早々に開放させないといけないな。


 『漢字刻印』が二つあるのだから、単純計算すべての『漢字』を開放すれば前世の二倍の力になるはずだ。常日頃から二つの『漢字刻印』を使うわけにはいかないから、普段は『傀』が主文字の『漢字刻印』を使って、どうしても危ないときは『生』が主文字の『漢字刻印』を使う事にしよう。


 当面の目標は前世の俺と同等の力をつけることだ。とはいえ前世の俺は実践主義というか実戦しかなかったから、まともに『漢字』の訓練なんてやったことなんて無いんだよな。


 『生』の特性から傷を受ければ発動するのだが、正直な話訓練でわざわざ攻撃を受けて傷を作るのって馬鹿馬鹿しいし。それに痛いのは嫌だし。


 『生』の方の『漢字刻印』は以前と同じように実戦で鍛えて、『傀』の方は普段から練習する事にするか。どうせ当面は妖魔と戦う機会なんて無いんだし『生』は後回しでも問題あるまい。


 ある程度木人形同士を戦わせた後、木人形達の傷ついたところを字力を使って治す。字力を使って作った物なら字力で治せるから楽なんだよな。


 次は木人形を字力で強化してみるか。作った木人形に字力を込めると木人形がうっすらと淡い光を纏う。この淡い光で纏った状態が字力で強化した証みたいなものだ。


 木人形を動かせてみると、全体的な動作が素早くなり、振るう拳も先程より力強く感じる。


 「だけど。動かしているだけなのに結構な量の字力を持ってくな」


 動かす分に加えて、木人形の強化も維持しているからか字力の消費量が物凄く多い。これは早めに『傀』を慣らして字力の消費量を減らさないと長時間維持するのは無理だな。


 強化した木人形同士で再度戦わせる。速さや力が向上したお陰で、相当激しい戦闘に見える。


 だがよくよく見ると激しい戦闘の筈なのに両方ともダメージはほぼ負っておらず、字力での強化が防御力をも上昇させていることが分かる。更に十分ほど戦わせると両方の木人形にそこそこのダメージが蓄積されてきたので一旦戦闘を中止させる。


 で、普通ならばここで字力を使って木人形達を修復するのだが、今俺は不意に思った事があるのだ。


 『生』の『漢字』で木人形が自動修復できないか、と。


 正直な話、俺は『生』の効果を全て把握しているわけではない。俺が分かっている範囲だと、基本的にはパッシブで傷を負うと自動で字力を消費して身体を治してくれること。優先的に治したい場所があるときはそこに意識を集中させると、そこを優先的に治癒してくれること。そして意識して字力を多めにつぎ込むと治癒速度が上がることぐらいだ。


 手足が千切れ飛んでも、臓器が一つか二つ潰されても、脳と心臓さえ無事なら字力さえあれば治癒できるぐらいだからな。


 後は『生』の『漢字』は他人には使えないこともか。


 『生』だから『生』命力だとずっと思い込んできたが、もしかしたら他にも使える事があるかもしれないから、思いついた事はかったぱしからやっていくしかない。


 さて、じゃあ物は試しで木人形に『生』を使ってみる。


「さーて、どうなるかな」


 字力は発動しても、不発でも減るから字力が減った感覚を感じつつも木人形の様子を見る。


 が、木人形の変化は無かった。


「うーん、治らないか。やっぱり『生』は自分の体だけにしか使えないのか」


 上手くいかなかった事に少し落胆しつつも俺は、この後も時間ギリギリまで練習を続けたのであった。





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