織姫と彦星 2015
今年の夏。
七夕の季節です!!
速攻で書き上げました!!
……適当かもしれませんが、どうぞ!
not side
月が見事で綺麗な三日月になり、とある館では二人の女性が何やら話をしていた。一人は老婦。もう一人は────。
「姫様ー。姫様や」
「はい、こちらに」
そう呼ばれ現れたのは、見事なまでに着飾っている可愛らしい女の人だった。
「今日は雨も降ってはいませんよ?念願のあの方に逢いに行くんですか?わたしゃ、お止めしませんよ?」
「そうね、ばぁや」
ばぁやは、彼女があの方に逢いに行くのを別に止めもしない。なぜなら彼女とあの方のことをずっと陰ながら見守ってきた、この家のことをよく理解している人でもあったからだ。
「今日は、晴れましたね……彦星様」
そう言って彼女は静かに窓の方に移動しそれを開けた。窓を開けた彼女────その人こそ、この世で一番美しいとされている、織姫であったのだ。
「ささ、御父上に見つからないように、お出掛けなさいませ。御父上が何と言おうと、姫様を河のほとりまで行かせますよ?」
織姫は涙を流した。ここまで織姫のことを見てくれて、考えてくれた人は母上とこのばぁやしかいなかったにすぎない。
「ありがとうっ……ございます。ばぁや……っ」
織姫はばぁやに抱きつき、涙を流したあときちんと拭って天ノ川へと向かったのだった────……。
天ノ川に着いた織姫は、あたりを見渡した。ちゃんとあの人がいるのか……、ただただ心配で胸が潰れてしまうのではないか……。そう、考えていた……。
────その時。
「織姫っ!!!」
(聞こえた……。確かにあの人だ……)
川の向こうに小さな人影が見えた。去年逢えなかった……あの人に……。
「ひ、彦星様っ!!」
漸く逢えたのだ。時を超えて。
人間にはたかが2年……、そう思われているのだが、二人にとっては物凄く長い2年
だ。どれほど逢いたかっただろう。去年は雨で天ノ川が洪水被害にあい、逢えることができずに今日までなんとかやり過ごしてきた……。それが今、現実に二人は逢えたのだ。
「やっと、逢えましたねっ……。やっと……!」
「織姫を忘れた日など一度もない!毎日毎日、織姫のことを思っていた!」
「彦星様……」
天ノ川を超えて、二人は今。漸く幸せを掴むことができたのだった……。
「織姫、大好きだ…」
「私も……彦星様……」
────来年も、逢えますように────
fin