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№5-28 挿絵イラスト
第28話の挿絵でございまする
「馬鹿弟子を…ユウィンを…主殿を頼む。あの人は…あの人はしょうがない人だから」
その言葉にDディは目を丸くするが、すぐにその意味を理解した。自分が従者となる遥か前から、主あるじが王となるまでずっと見守って来たアヤノの裏人格マクスウェル――魔人と闘う剣技と魔法言語をユウィンに与え、100年もの歳月をかけて魔人殺しと呼ばれるまでに育て上げた。しかし初めて出逢った時から思っていた。プレイヤー殿は何処にでもいそうな普通の男だと。この世界で生き抜いていける為の技術を学ぶのに100年もかかった、ごく普通の男なのだと。――それは今の自分と同じ感情だ。
アヤノ以上に、主あるじであり弟子である男を観てきたマクスウェルはこう言いたいのだ――だから助けてあげてと。
『そうですねアヤノ様……』
何とも言えない心を胸に。
ずっと主あるじを見守って来た女達は苦笑する。
『あの人はしょうがない人ですからね』
だから私達でしっかり支えましょう。
その言葉を最後に――Dの姿は霧と消えた。




