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第16話 相対交差


挿絵(By みてみん)

 

 ――100年ほど昔の話。

 マリア=アウローラという少女が存在した。

 彼女が持っていた特別な因子…権限者ヴァルキュリアの力。


 その能力の真価は乗倍譲渡――スケールアウトといった。


 自身の身体能力を乗倍率に強化し、それを他者に分け与えることを可能とするその力は、本来《皇》を守護する為に与えられたものである。


 それに目を付けた女がいた。

 名を、リィナ=ランスロット。

 その異常な研究が故にトロンリネージュを追放され、魔人領に身を置くその女は、こう考える。


 神がもたらしたその力で……神を殺そうと考えた。





 薄暗く、湿気の多い空間で声が反響する。

 地の底にいるのは2名……正確には3名であるが、それは置いておこう。


 地面に描かれた魔法陣の上で禍々しくおびただしい数の筋繊維で編まれた巨大な機械――それに繋がれた少女が見える。


 名を、被検体99番ブービーオーダー。


 最終番号祖体である100番――メア=アウローラの姉にあたる少女であり、ある一点のみを最大限強化されたその少女は、あからさまに怯えを見せつつ、自分の下方に見える白衣の女に視線を向けていた。


「戦闘能力を持たないお前を、今迄大事にしてきた意味はわかるよねぇ」


「はい、全ては今日この日の為です……リィナ博士」


「イッヒッヒ今頃お前の妹が闘技場で踊っている所だろうねぇ……さぁブービーちゃん。お前もアチシの役に立て」


 諦めともとれる表情でブービーは喉を鳴らす。


「それが生みの親である博士から造られた…私の幸せです…から」


「それにしちゃあ、浮かない顔じゃないかブービーちゃん」


「そ、そんな事は」


「何故お前に感情を残したか? 今、わかるよん」


 リィナ=ランスロット博士は装着しているゴーグルの突起物に触れる。


「ああああああああああああああああああああ」


 絶叫を上げる銀髪の少女。幼く愛らしい顔は苦痛に醜く歪む。それもそのはずであり、接続されている筋繊維が少女の体内に喰い込んだのだから。


「お前達に打ち込んだ因子は、激しい感情に呼応して力を引き上げる属性があるからだよね」


 食い込んだ繊維が全身に回り体内で更に暴れ出した。

 浮き上がった血管から目から穴という穴からから血が噴き出し始める。


「い、ああああああああはが、はがぜぇぇええええ!!!」


「そら、もっと出力を上げろブービー! アンタはそれだけの為に作られたんだから! 嬉しそうに言えよ! 生みの親であるアチシによぉぉ!!!」


 涙を流し体液を垂れ流し、半場狂気にも似た諦めの表情で、天涯覇王の複製体は声を絞り出す。


「は、はかせの……おやぐにたでて…ブービーは、う、うれし…」


 再びゴーグルに指を添える。


「あああああああああ! ぎゃあああえあえうああ!痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイイイイイィィ!!!」


 地下空間全体に張り巡らされている魔法陣に火が灯る。

 それは、幼気な少女の絶叫に呼応するかのように急激に光を強め、既に地下室全体に広がり、更に壁を透過して拡大していく――このトロンリネージュ王都全体に。


 リィナ=ランスロット博士は笑う。

 童顔で愛らしい顔を老婆のように歪ませて。


「イッヒヒヒアッハハハハ! 権限の力がアチシによって利用され! 蹂躙されていく! クソッタレなメインユーザー! プレイヤー! そのヴァルキュリアの因子が! 夢の栄光への道が糞を踏んだブーツで踏みつけられていく! あぁあぁ堪らないざまーみろ! あ、はは、ははははははあぁ…歌いだしたい気分だわ♪」


 彼女は歌う

 魔導科学によって過去、天空にそびえていたトロンリネージュの国歌を…そして笑う――気の遠くなるほど昔からの計画……悲願の瞬間に。


 そして、彼女は掌を天に掲げる。

 発動させるのだ。

 自らに残ったノコリカス。

 この日この時の為に温めてきたノコリカスを。

 土から耕し、種を撒いて、芽を愛で、木に水をやりながら。


 100年をかけてそれは、国家を覆いつく程の巨大な破滅の果実となった。


 《アマテラス反転術式》


 神呪刻印ゴッドイレイザーという呪いの言葉コード


「さぁ落ちて来い……ルナティック=アンブラ」


 そして――それによって発動せしえる最高位の空間魔法言語を。


 彼女は歌う。

 両の手を天に掲げて。

 彼女は唱える。

 この刹那に世界を換えろと。

 発動せよと、歓喜に燃えるその瞳を輝かせ。

 その両の手を――閉じた。


第壱転換ダイイチテンカン―――――天照アマテラス!』



 ◆◇◆◇


 地の底からの振動にアーサーは眉を潜める。


「成程のぅ……全ては遅かったと言うことか。アヤノを隠し、ワシとミスティネイルを分断したのも全てあの女……リィナ=ランスロットの胸の内だった訳じゃな。あの時取り逃がしたのが本当に悔やまれるわぃ」


「おっとアーサー様、大儀式が発動した今――この特別観覧席内では魔法言語は使えませんぞ。諦めて大人しくされる事をオススメします」


 闘技場が一望できる王族専用の特別観覧席では、現在王都の闇――ルシアンネイルの暗殺者15名からなる部隊が、老魔法使いアーサー校長を取り囲んでいた。


 既に校長以外のカターノートの関係者は全て殺され、地面を舐めている。


「この観覧席の四方はランスロット博士の開発した特殊合金です。術式が発動した今、魔法は一切使えません。……ですので貴方はただの年寄りという事です。これ以上言葉を発さなくとも頭の良い貴方なら解ってくれますね?」


 魔人領に寝返った暗部を取り仕切る男の名は”火喰い鳥フラムクック”。ルシアンネイル指揮者イーゴリに継ぐ権力を持つ者だ――そう、今の今までは。


「ふむふむ成程……確かに魔法言語が練れんのぅ。魔法粒子が完全に遮断されておる」


「ククク…ですので身体能力で世界最強を誇る我々ゼノン暗部が此処に居るという訳ですよ」


 アーサーは長い髭を撫でる。

 その周囲を浮遊する辞典がパラパラとページを捲っていた。


「魔法を封じられればゼノンの傭兵に勝てる人類はこの地上には存在せん、良い采配じゃ。という事はアンリエッタちゃんの所にも?」


「無論、議長老プロコトールが向かっております」


「こりゃゆっくりしてはおれんのぅ」


 アーサーはクビを鳴らす。


「ククク…まさか抵抗するツモリなのですか? 安心して下さい、アンリエッタ姫殿下には使い道があるようですからしばらくは生かしておくでしょう。だがアーサー校長、貴方の生死は問われておりません……いやぁ、飼い犬に手を噛まれるとは正にこの事でしたねぇ」


 王都の闇ルシアンネイルと、セドリックやクロードが属する王都の守護者ミスティネイルは双方共にアーサーが作り上げた特殊部隊である。


 その目的は初代トロンリネージュ王だったヤマト=イザナギ=トロンリネージュが、我が子孫達を悪徒から護る為に作った部隊――いわばアーサー本人がトロンリネージュ王の為に残した剣と盾であるが故。


「全く、ワシはいつ迄経ってもケツの青いガキのようじゃ。今年で892にもなろうというのに選択を間違ってばかりおる……これではアヤノに何も言えんのぅ」


「……不死身だという噂は本当なのですね。だが、首を落とされても生きていられますかな?」


「いや何、首をハネたら死ぬわい安心せぇ。この世に首を落とされて死なん生物はおらん。あの紅い魔女だってそうじゃ――ワシが止めるべきだった。ワシがあの時、アヤノの首をハネるべきだったのじゃ……故に世界に混乱を招いてしまった。ユウィン君を苦しめてしまった。アヤノを更に苦しめてしまった。……彼女を愛してしまったワシの罪じゃ」


「――――っ!」


『アーサー様、ここは私が』


 王都の闇ルシアンネイルは動かない――それは何故か。声を発する辞典に驚いたわけではないのだ。


『アーサー様?』


「手を出すでないぞヘキト。小奴らもワシが招いた種、全てはワシの甘さが招いた闇なのじゃから」


 老魔法使いアーサー=イザナギ=カターノートの両手には、いつの間にか剣が握られていたからだ。ヨボヨボの老人から立ち上る武装気ブソウオーラに畏怖を感じてしまったからだ。老人とは思えないその眼光で、アーサーは標的の数を確認する……16人。ならば、3分以内にでカタを付けようと。


「さて、二刀流など何百年ぶりかで忘れてしまったがの……」


 首を鳴らして大きく構える。

 両の小太刀にオーラが流れ込み、刀身が揺れる。


「舐めるなよガキ共……ワシは初代魔人殺しぞ」


 アーサーが両の手に持つは”トツカノツルギ”

 ユウィンの村雨と同様――量産オリハルコン製の小太刀であり――


「さて、魅せてやろうか……真・魔人剣」


 元はイザナギ=ヤマトが振るった――クサナギとムラクモの剣をベースに打たれた刃である。



 ◆◇◆◇



「何事です状況を!」


「今調べさせております! 魔導研究所よりの通信をお待ち下さい殿下」


 振動と共に現れたトロンリネージュ城内から見える、外界と城を分かつ障壁……輝く炎の結界に、アンリエッタは動揺を微塵も表情に出さずに凛とした声で言い放つ。


「この気配はただ事ではありません。あの時の……《王都の冬》以上の緊迫感です――皆の者! 背筋を正し目を開きなさい!」


「「は!」」


「第一魔導隊に出動要請――先行して結界の突破が可能か調べさせ、突破出来るようなら闘技場へ直行させよ」


「承りました」


「クロードとリアはまだ戻りませんか?」


「残念ながら、まだ」


「一手遅くなる……か」


「殿下!?」


 アンリエッタは一瞬考える。

 以前の魔人襲撃時とは違い、現在は統率の取れた人材が揃っているが、この事態の異常性を本当に理解している人間は少ない。原因があまりにも不明確な為、情報が足りないが故に足取りが遅れるからだ。あの二名が此処に居たのなら、出来る事もあったのだが。


「魔導研究所からの連絡を待っている場合ではありませんね」


「?」


 玉座周囲に待機する貴族達は疑問符を上げる。

 自らの君主が大きく息を吸い込み、顔を天井に向けたからだ。


「聞いていますよね――トリスタン!」


『はい勿論です殿下!』


 謁見の広間全体に声が響く。

 国一番の魔導機械のスペシャリストにして、この城で最も高い所にある右翼の棟――”新月の間”の住民であるトリスタン=ルロア財務大臣の声が。


「ならば、状況を説明して下さい」


『は! 外界と遮断しているこの結界は、恐らくこのトロンリネージュ本城地下からのモノです』


「地下?」


『最新鋭の魔法出力計器の針が降り切れています――恐らくは1千万ルーン以上。ですが、この反応は生物ではありません……恐らくは術式媒介です』


「そんな膨大な魔出力を言語化するには当然媒介が必要……という事は、実行に移す前段階……?」


 天才的な頭脳で答えを導き出そうとするアンリエッタだが、そこにトリスタンの高い声と気配に、思慮を一旦停止させる。


『それも問題ではございますが殿下…は、早くお逃げ下さい

 登録のない本国以外の人間が場内に多数侵入しております! 魔出力計器に反応はありませんが、このスピードは――』


「賊……それも相当の手練れですね」


『な、何故それが?』


「私の索敵オーラ範囲に、掛かりましたからね」


 謁見の間柱付近に立っていた貴族の数名が声を上げる暇もなく倒れ込んだ。


「ふふふふふ流石は天才と謳われる皇女殿下でございます。ご機嫌麗しく」


「無礼者の割には堂の入った立ち振る舞いと口調、そして肌をわざわざ褐色から白色に変えておられる所をみるとゼノン王国の関係者……それも神官クラスの方ですかね」


「な、なに?」


「図星ですか。そしてそんな反応をするという事はこの謀反、貴方の計画ではないという事ですよね。外の結界の解き方と、これから何が行われるか……誰に聞いたら解ります?」


「ずっとお前達王族の為に、影で暗躍してきたワシをあざけるとは!」


「なるほど」


「!?」


「王都の闇……貴方達がルシアンネイルですか」


「な、なぜその名を!?」


「調べは付いていたんですよね。前にユウィン様とディオール家を調べた際に、ちょっと考えれば解る事ですよ」


「皇女を捉えろ! ルシアンの犬よ」


「殿下!」

「皆の者、殿下をお守りせよ」


 何処からともなく現れた闇色の頭巾をかぶった者共が音も無く周囲に散る。――と同時に腰の剣を抜いた数名の貴族が声もなく静かに倒れ、持っていた剣のみが大きな音を立てて床に転がった。


 家臣が倒れていくその光景に、皇女はハラワタが煮えくり返りそうな激情をおくびにも出さず、決意を秘めた瞳を敵に向けた。


「あの人が今、苦しんでいるんです。あの人を救ってあげたいんです。でも、きっと来てくれる。だから、私は二度と膝を地につける訳にはいかない」


「頭でっかちのアバズレめが!――連れ去る前に慰み者にしてやる」


「あら怖い、でもこの身を捧げる方はもう決めてますので。……それと言い忘れましたけど」


 アンリエッタは人差し指を迫る暗殺者へ向けて微笑む。


「私…結構強いですよ?」


 ババババババババン!


 全く同時に、頭巾の者数名の額が爆砕し吹き飛んだ。


「な、なに、魔法言語の気配も詠唱もなく!? コレはカターノートの令嬢が使っていた――」


「あの程度なら、見れば使えますよ」


 警戒色を強めた議長老プロコトールの視線指示で、正面からではなく死角からアンリエッタを取り囲むように暗殺者達は物陰に消える――


「囲め!」

「それも無理ですよ」


 ドドドド!


 物陰に隠れようとした数名の暗部、その腹部に剣が突き刺さっていた。先ほど殉職した貴族達が落とした剣が。


「魔法言語ではない……まさか特型の能力者だというのか」


「”天地無用ヘヴンアウト”……昔は飛ばせるものは限られていましたけどね、今はこのとおりです」


 突き刺さった剣を人間ごと吹き飛ばして更に数名を昏倒させた。そして、立っている者は一人となる。


「か、カラス――皇女を抑えろ!」


「――後ろ!?」


 ぱぁん!


 身動きのとりにくそうなドレスから放たれたとは思えない裏拳が青年の顔に直撃する――かに見えたが、それは受け止められてしまう。


「……っ」


「くはははっ威勢の良い皇女様だなぁオイ」


 アンリエッタが眉を寄せたのは裏拳を受け止められた事ではない。青年の反対の手に人形のようにぶら下がっている女……明らかに乱暴された後に絶命している、この城の給仕係を見てだ。


「下郎め!」


「お前もぐちゃぐちゃに犯してから殺してやるよぉ」


「遊ぶな鴉! その女は捕獲対象だ……それに腕も立つ!」


「おいおいおいプロコトールぅ…贅肉のつきすぎだぜぇ? オレが――おっと」


 アンリエッタから放たれた超至近距離からの宝石の弾丸が空を切る。


「躱された?……その片眼、何か仕掛けがあるわけですか」


神眼武装気ジークスナイパーだ……手癖のワリぃ皇女様よぉ」


「貴方に言われる筋合いはありませんね」


 冷静を装ってはいるが掴まれた拳が外れない。この目をかい潜って逃げる事も容易ではない――が。


「さぁて、デザートに手を付けるかなぁオイ」


「私がデザート?……それは叶いませんね」


「あぁ?」


「優秀な執事が……今回は間に合ったみたいですから」


「くぉっ!」


 皇女と鴉の間を蒼い閃光が駆け抜ける。


 王家の守護者……ミスティネイルにして天涯十星が一人。

 クロード=ベルトラン。


「殿下……遅れて申し訳ございません」


「はい遅過ぎですクロード」


「このクロード……一生の不覚」


 再び対峙するラスティネイル2名。


「ロートルぅははははははヒヒヒ逢いたかったぜぇ」


「奇遇ですな、私もですよ」


「今回はよぉ…前みたいによぉ…いかねぇぞおおお?」


 ゾゾゾゾゾゾ……鴉と呼ばれる男――カルス=シンクレアの全身に彫り込まれた刺繍が発光する。修羅達の気迫に呼応するかのように。


「負け犬が吠えるモノですな。だが、お嬢様を手に掛けようとしたお前は万死に値する。最初から全力で殺らせてもらおう――鴉!」


「今回はよぉお、舐めてんのはお前だったなぁ――蒼炎!」


 字名アザナを持つ2名が踏み込む刹那の一歩――縮地。


 ノーモーションからの攻撃が交差する。


奥義神殺刺アブソリュート―――」

「―――暗技黒葬の槍トラファルガー


 双方高速移動からの奥義。

 貫手と蹴りが交差し、次に目視出来るようになった時にはお互いの立ち位置が逆転している。


 が、逆転していたのはそれだけでは無かった。


「ぐ、ぬぅ」


「クロード!?」


 アンリエッタの悲痛な声が響き、白髪の執事が片膝を付く。


「なぁ〜〜〜〜〜あ? 前とは違うだろぉお?」


「力任せの攻撃が……これ程に」


「これが、呪印のチカラだロートルぅ…バラバラに引き千切ってやらぁ―――あん?」


 鴉は自分の首に突き刺さった何かに手を添え……それを引き抜いて確認する。


「暗器……これはオレの」


「それ、趣味じゃないから返しとくかも、ですねぇ」


 ドドドドド――――無数のクナイが鴉に突き刺さる。


「あああぁぁ!? オレの神眼武装気ジークスナイパーを抜けて来た……? 認識外からの攻撃かぁぁあ」


「あぁリア! 来てくれたのですね」


 リア=綾小路――アンリエッタ専属メイドにして忍者。

 張り付いていた天井から音もなく降り立ち、アンリエッタにちょこんと一礼し、クロードに向き直る。


「あれあれ〜クロード様ともあろう人が苦戦かもですかぁ?」


「ククク…これから良い所なのですがね。泣きべそかいて帰って来た時は呆れましたが、傷はもう良いのですか…リア」


「大丈夫かもですねぇ」


「そっちの心配ではありませんよ。拷問されたと聞きましたが」


「忍者が精神面を病むことなんて、あるはずないかもですが?」


「安心しました助太刀感謝します。外の騒ぎも尋常ではなく時間もない、ここは我々で落としますよ」


「クロード様と…自分の宿敵と共闘だなんて吐き気がしそうかもですが……アイツは強いです」


「知っていますよ。前とは違う異様な気配……ナニカされたのでしょうね」


 リアはカルスに向き直る。

 今迄作っていたメイド用の笑顔をヤメ。

 忍者としての本来の姿、闇色と化した瞳と顔を歪ませながら。


「おい刺繍のチャラ男ぉ……この前はよくもやってくれたなぁ、お前は絶対に許さない。5回泣かしてからチ●ポ切り落として犬に喰わせてやるから今のうちに洗っとけぇ」


「やれやれ殿下の御膳で……貴女の場合、精神面よりその性格の方を心配するべきでしたね」



 丁度その頃――更に2つの戦場が狼煙を上げる。

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