襲撃
「この人本当に役に立つのかよ。まったくよ」
見れば当時まだ12歳の自分がいた。
生意気そうな顔でこちらを伺っている。
ってかこんなむかつくガキだったけか。
「でも召還されてきたんだからきっと凄い能力とかあるはずよ。きっと」
一緒のクラスで学級委員をしてた小泉さやかだ。
当時はしっかり者で、なんか上から目線のやつだなという印象があったが、こうやって大学生になってみるとただのろりだ。
「ですから、僕の召還のおかげなんですって。凄くないですか、僕」
横から口を出すのは、メガネの田中聡。
当時からオカルトにはまっていて、黒魔術の本とか、オカルト系の本を読み漁っていた。
そして、よこでその光景を見守っている長髪の女の子。
大田智子。
まさかこんな形でまた会えるとは思っていなかった。。。
「ともこ。。。」
もう二度と会えるはずがなかった。
でも今は目の前に確かにいる。
思わず手を伸ばしかける。
と、そのときだった。
教室の扉が思い切り開け放たれる。
そして現れたのものに僕はあっけに取られてしまった。
それは小学校に必ずあるもの、そして小学生からは好かれるようなものではなく、さらに言えば決して動くことなど無いもの。
人体模型だった。
「うわあああ」
小学生達が悲鳴を上げて教室の中を逃げ惑う。
目の前にいきなり現れた人体模型はそのままどしどしと机を跳ね除けながらこちらに迫ってくる。
「うわああああ。来んなああ。こっち来んなああ!!!」
叫びながら、四つんばいで逃げ惑う。
「ヴヴォオオオ!!!!!」
獣のような雄たけびを上げながらこちらに迫ってくる人体模型。
ってか、内臓が脈打っている感じがリアルに怖い。
しかも机を物ともせずに近づいてくる感じを見ると相当な馬力があることが伺える。
これは捕まったら只じゃすまないだろう。
「おい、お前ら。とりあえず逃げるぞ!」
僕は四つんばいの姿勢から立ち上がると、小学生4人組に声を掛ける。
「わ、わかりました」
聡が答えると、それに続くようにさやかと、智子もついてくる。
3人を教室の扉から廊下へと逃がす。
が、一人だけ何にも反応を示さない奴がいた。
そいつは、過去の僕。
反応を示さないどころか白目を向いている。
こ、こいつ気絶してやがる。
過去の自分と言えど、情けなくなる。
その間にも人体模型は奇声をあげながら近づいてくる。
「ばっかやろう。しょうがねえ」
僕は気絶した過去の自分を背負うと、間一髪他の3人を追って教室から逃げ出すのだった。