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第2幕 第三王子のステキなご趣味・3

 サル王子。

 馬王子。

 女ったらし王子。

 どれも、冗談じゃない。この国の役に立ちたいと思った前言、撤回。もう、国に帰る。ディアナは決意した。


「おお、ディアナ姫ではないか! ご機嫌いかがかね」

 城から出たときはドレスを身にまとっていたが、途中で着替えた軽装で帰ってしまったため、門番と揉めたが、幸い王太子がそばを通りかかり、ディアナは城内に無事入ることができた。

「ありがとうございます、王太子さま」

「いやいや、これぐらいのことしか役に立てなくてね。いや、婚礼の件は本当に済まなかった」

「いえ、気にしていませんから。ぜんっぜん。王太子さまこそ、美しくてお優しそうなお妃さまに巡り合えて、よろしかったですね」

「そうかなあ? それほどでもないんだが、やっぱりそうかなあ? 我が妃は見目麗しく、気立てもよく、周囲への配慮もあって、出自以外は完璧なんだよもう」

「妃に上げる前は、王太子さまの侍女だったそうですね。無上の愛ですね」

「そうなんだよ。こいつしかいない! と思ったからねえ。我が妃も、我が愛にしがみついてくれた。うんうん」

 見た目はサルながら、性格は真っ直ぐな王太子。半端ない相思相愛ぶりが少しほほ笑ましく、羨ましい。

「その、銀の天馬だがな。王は、銀鉱脈発見を頼りにしているが、無理にとは言わない。ディアナ姫の自由な意志で、銀の国への帰国か、我が国への滞在を決めてほしい。グリフィンもキールも難題を吹っかけてくるだろうが、俺はディアナ姫の意志を尊重したい」

 外見はこれで、思いっきり妃にデレているが、サル王子がもっとも普通の感覚の持ち主だった。ディアナは感謝の意味を込めて深々と頭を下げる。

「ありがとうございます。そうおっしゃってくださると、とても気が楽になります」

「戸締りをしっかりして、早めに休みなさい」

 王太子が、まるで父か兄のように見えた。ふと振り返ると、王太子は穏やかな笑みを浮かべてディアナを見守っていた。


 ディアナが部屋に戻ってしばらく寛いでいると、扉をノックする音が聞こえた。アネットが対応する。

「失礼します。ディアナさま、明日は遠乗りに出かけましょうと王さまからのお誘いがありました。服と道具を用意いたしましたので、こちらをお使いくださいませ」

 城の、奉公娘だった。

「遠乗り?」

「はい。王は乗馬が大変お好きでいらっしゃいます。一家でお出かけなさるそうなので、ディアナさまもどうぞおいでください」

 用件だけを事務的に言い終えると、娘は去った。

 ディアナのアネットが受け取った箱を開いてみると、中からは動きやすそうな乗馬服一式と革のブーツが出てきた。

「まあ素敵ですわ」

 思わず、ディアナも覗き込んで確認した。

 馬は好きだ。馬が好きだからこそ、天馬を探したい気持ちも強い。乗馬も大好きだ。普段は城の外に出られない。遠乗りのときだけ、許された。ディアナにとって、馬は外の世界に触れるためには大切な相棒だった。

「お城の馬を借りるとなると、やっぱりグリフィンさまが育てた馬に乗るしかないのかしら。また長ったらしいあの蘊蓄を聞かなきゃならないかと思うと、気がひけるわね」

「さあ、どうでしょう。第二王子さまが住んでいらっしゃる厩舎の馬は皆、軍馬でしたわ。乗馬はほかにいるかもしれません。でも、王さまからのお誘いですよ、お断りするなんて無理でしょう」

 ディアナはソファに深々と座った。

「そうね。どっちにしろ、断れない。だったら気晴らしに、行ってくるわ」

「では、連日の外出になりますわね。城下はいかがでしたの? キールさまは?」

「……町は楽しかったけど、キールもめちゃくちゃよ。聞いてくれる?」

 ディアナは、今日の一部始終をアネットに話して聞かせた。アネットはいちいち驚き、怒った。気持ちをぶつけられる相手にようやく出会い、ディアナの心は少し軽くなった。

「それは大変でございましたわね、ディアナさま。キールさまは将来、後宮に三十人すべてを召しだすおつもりなのでしょうか」

「まさか。守り刀を得たかっただけでしょ。あの歳で、刀のために次々に乙女を騙すなんて、結婚詐欺よ」

「では、この国の王子さまに嫁ぐおつもりは」

「ないわね。早く帰国して、我が国内で天馬を探す旅にでも出るわ」

「でも、いくさにならないでしょうか。今、我が銀の国は疲弊しきっていて、攻められたら防げませんよ」

「そうよねえ。新しい銀脈が早く見つかればいいんだけど、採掘、製錬して、銀の産出が軌道に乗るまでは、何年もかかりそうね」

「そうですわ。姫さまをルフォンに捧げたのは、苦渋の決断でしたもの」

毎朝7時更新です

ここまでで、物語は1/4ほど進んだところです

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