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イマジネーション・ラグーン  作者: 遊森謡子
その後のふたり
28/38

本編あらすじ(完全ネタばれ版)

「その後のふたり」の章から読む人のための、本編あらすじです。現代恋愛ものだけ読みたい人向け?

 とある小さな出版社で働く宮代璃玖(26)は、懇意にしてもらっているエッセイストの愛海(33)がファンタジー小説の世界に進出するのを楽しみにしていた。

 しかし、愛海は小説のプロローグ部分の原稿と設定資料を遺して、事故死してしまう。璃玖は、愛海の担当編集者である上司の倉本 鷹(30)から、遺族に返すようにとその原稿を預かった。

 ある夜、会社に一人で残っていた璃玖はその原稿を読み始めるが、突然小説の世界に引っ張り込まれてしまう。


 物語の舞台はふたつ。空と海と砂浜しか存在しない海上の世界と、海の底にある珊瑚礁の城『ラグーン城』だった。

 璃玖は海上で“女神(創造主)マーナ”に姿を変えた愛海と再会するが、海上と海底を行き来できるのが璃玖だけだったため、ラグーン城では『女神と会話のできる巫女』だとみなされ丁重にもてなされる。

 戸惑う璃玖だったが、この世界に閉じ込められたままになるのを防ぐため、愛海が死者であることを愛海自身から隠し、またこの世界が未完の小説の世界であることを住人には隠すことにする。


 ラグーン城には神官ザンがおり、愛海は彼について「弟が成長していたらこうだろうという想像で作ったキャラクター」だと璃玖に説明する。

 巫女としてザンと毎日のように会うようになった璃玖だが、複雑な生い立ちながらも普段は穏やかで優しいザンが、時々荒っぽい言葉づかいをするのを見ていぶかしむ。また、愛海が死者であり愛海の弟もすでに死んでいるなら、この世界は『死者の世界』なのではないか、という考えが浮かび、自分もすでに死んでいるのではないかという疑いを持つ。

 酩酊しているような状態の愛海、夜の来ない世界、話していないはずのことを知っているキャラクター……数々の出来事が、璃玖の不安に拍車をかけるのだった。



 ある夜、ザンから手紙で呼び出された璃玖が指定の場所に行くと、あの荒っぽい人格の彼が「自分は倉本だ」と名乗る。倉本は璃玖と異なり、元の世界にいたままでザンの視点からこの世界を見ていたのだ。

 彼女を救い出そうと考え行動する彼に、璃玖もようやく落ち着きを取り戻す。


 しかし一方で、毎夜ザンの人格が眠っている真夜中に倉本と会うために、『神官と巫女は恋仲である』という設定が自然発生。何も知らないザンへの態度に悩む一方で、倉本との関係を意識し始める璃玖。

 そんな中、城下街の街長ナキによって、海上と海底の行き来を自由にするための塔を建設する話が持ち上がった。

 それを知った愛海は、塔の完成を早く見たいと言う理由から、物語世界の時間を強制的に一年先へと進めてしまった。


 一年後の世界では塔はほぼ完成に近付いており、さらに璃玖はザンと婚約関係にあった。仰天する璃玖は、早く元の世界に戻りたいという気持ちを強める。

 また、愛海の弟は死んでおらず、幼いころに両親の離婚で生き別れ状態になっていることも判明。


 さらに璃玖は、ザンや倉本とそれぞれ会話するうちに、同居する二つの人格が融合しつつあるのではないかという疑惑を持つ。そして彼女は、自分が早く元の世界に戻るか、もしくはそれを諦めてでも元の世界と物語世界の接点を断たねば、倉本まで戻れなくなるのではないかという可能性に思い当たる。

 璃玖は倉本のため、「ヒロインとしての役割を終えたら戻れるかも」という愛海の言葉をヒントに、密かにある決意を固める。



 結婚式の日が近づく。倉本は、愛海の心残りである「弟との再会」をどうにかすれば璃玖が元の世界に戻れるのではないかと考え、弟を探し始めた。そのため、頻繁には璃玖に会いに来れなくなる。


 ある真夜中、倉本ではなくザンが璃玖に会いに現れ、完成直前の塔へと彼女を誘う。璃玖がどこか別の場所へ帰ろうとしていることに気づいたザンが、二人きりで結婚式をしようとしたのだ。

 一方璃玖も、物語に閉じ込められる危険を承知の上で、ヒロインとしてザンと結ばれることによって倉本のいない間に物語を完結に導こうとしていた。


 2人が誓いのキスを交わそうとした瞬間、倉本がザンの中に出現する。倉本は、実はザンに全てを打ち明けていたことを明かし、塔の上から海上の愛海へも呼びかけて、調べた事実を告げる。それは、愛海がザンのモデルにした生き別れの弟が倉本自身であること、倉本とザンはそう言う意味で同一人物なのだということだった。


 事実を知り、自分が死んでいることを知った愛海は酩酊状態から覚め、海上に本物の夜が訪れる。辛い経験の象徴だった夜の海で、現実の弟が道を逸れずに大人になったことを知り、安心する愛海。物語には現実の裏打ちがあることを実感し、世界は何もかもつながって循環しているのだと気づく璃玖。

 女神の力を利用しようとしていたナキが乱入するハプニングはあったものの、愛海は女神ではなくこの世界の住人として力を尽くすことをナキに宣言する。


 そして璃玖は、ザンを内包する倉本と、ハッピーエンドの象徴であるキスを交わし、現実に戻っていくのだった。

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