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 翌朝、鉚一からメールが来てた。


『昨日の埋め合わせ、必ずしろよ。特に愛理えりさんに。

 にぶいおまえは気がついていないだろうから、

 あえて言っておくけど、

 俺が昨日、誘ったときに、最初は気のない返事だったのに、

 おまえが来ると言ったとたんに「行く」と返事したんだから。

 意味、わかるだろ?

 昨日の、化粧の気合いの入り方でも、わからないか?

 いい加減、そろそろ、気がつけよ。


                      おまえの悪友より』


 え、そうなのか?

いや、ほんと、全然気がつかなかった。

オレは携帯の画面を見ながら、しばらく文面を見つめていた。


 その携帯には、昨日珠洲香さんからもらった人形がぶら下がっていた。

これを見ると、なんだか顔がにやけてしまう。


 もしかして、おれ、モテ期に入ってたとか?

愛理さんがおれにそんなだったなんて、全然気づかなかったし、

珠洲香さんだって、昨日の様子からすると、まんざらでもなさそうだし、

両手に花?

えへへ、なら、うれしいかも?


 その気分を顔に出したままだったらしい。

朝食の時、母親は「気持ち悪い。どうかしたの」と言っていた。

顔が緩みっぱなしだったようだ。


 出張所へ出ても、その気分は変わらない・・・と思っていたら、

それ以上に周りの方が変わってた。

末真先輩は、僕を見るなり、ニヤッと笑うと、


「よ、色男」


だし、なんだか、全員の僕を見る目が違う。


 訳が分からず、事務所へ顔を出すと、

そこでペラペラしゃべっていたのが、チミさん。

どうやら、昨日、目撃されたようだ。

よりによって、チミさんに見られていたのかあ!


「ま、災難だと思えば」


 太江さん、そう言うけど、チミさん、こういうネタ、大好きだし、

それをばらまくのは、もっと好きそうだし。


「こういうエピソードの一つや二つ、男なら当然」


 いや、細江先輩、既婚者のあなたならいざ知らず、

清純派の僕としては、あらぬうわさはちょっと迷惑・・・


「なにがあらぬよ!あたしは、見たんだからね!」


 は、チミさん。


「ゲーセンで、若い男女が汗を流した後で、目と目を合わせて笑い合ってる。

あれが恋でなければ、いったい何よ!」


 あ、あのー、事実も一部ありますけど、だいぶフィクション、入ってませんかあ?


「いいの、読者受けするために、一部脚色することはマスコミでもあることなんだから」


 そんなこと、力説されても・・・・


「このネタでずずを脅せば、あの子も少しは大人になるわ」


 そ、そんな目的なんですか・・・・


 チミさんの予想では、

”お願い、チミ、変な噂はたてないで・・・”

”へへ、ばらされたくなかったら、あたしの言うことをきけ~!”

”わかりました、チミ様、どうぞ、なんなりと言いつけてください”


という、世界に持ち込めるネタらしい。


「あの子は、なにやったって、こたえない子なんだから。

馬の耳に念仏、カエルの面にしょ・・・・失礼。

とにかく、彼女が来たら・・・・来たわ!」


 トントンと軽い足音がして、ドアが開く。

珠洲香先輩が笑顔で入ってきた。

待ってましたとばかりに、しゃべりかけるチミさんの前に、差し出す携帯。


「な、なに?これ」


「こっち、こっち」


 携帯にぶら下がっている人形を示す。


「これ、昨日、ヒロくんとゲーセンで取った人形なの。どお?」


 はあ?チミさんの口があんぐりと開く。

自分からばらす?なに、この子?


「みんな、聞いてー。

二人で取った人形、分けっこしたの。いいでしょう。

交換したり分けっこしたりするの、あこがれていたから、

すっごくうれしくて、眠れなかったぐらい。

もう、今日はみんなに話して、自慢したくてー。

あ、あれ?みんな、なに?笑ってるの?あたし、なんか変なこと言った?」


 いや、その爆笑の矛先は珠洲香さんにではなく、チミさんにだった。

彼女ですら、笑うのか、怒るのか、泣くのか、表現に困った顔をしている。

訳が分からないのは、珠洲香さん一人。


「チミよ」


 綾佳さんが笑いの渦の中、声をかけている。


「もうちょっと相手のこと、勉強してから、つっかかりなよ。

お前ふうに言うなら、糠に釘、豆腐に鎹、のれんに腕押しだぞ。

相手の天然、全然考えてなかったろ?」


「はい、反省します」


 そう言うと、チミさんは珠洲香さんに叫んだ。


「ず、ずず。お前、ヒロのこと、どう思ってる?」


「えー、ヒロくんのこと?

うーん、可愛い弟って感じかなあ。

あたし、末っ子で、下の子、欲しいって思っていたから、

なんか、今になって出来た弟って感じで、

うれしいんだけど、それがどうかしたの?」


 わかった。もういい。チミさんはがっくりきてる。


 ポンと肩を叩かれて、振り向いた。

細江先輩が笑ってる。


「まあ、この相手は簡単には墜ちないぞ。じっくりとかまえてやんなよ」


 あ、あの~、そういうことは・・・・・

あ、少しは考えてたな。今朝。

オレも反省します。

もうちょっとまじめに仕事します。


「よし、今朝の引継、始めるぞ!」


 所長の声。


「はい!」


 全員の声が調和した。



 やっと、1話目が完成です。

出だしとしては、まあまあかなあと思っていますが、

いかがでしたでしょうか。

 皆さんのように、長編が書けない(根気がない)ので、

短めの話をたくさん作っていくつもりです。

ちょっと休んだら、次いきたいと思います。

宜しくお願いします。

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