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サブタイトルに工夫がなくて、すみません。
本文を考えるのに精一杯で、サブタイトルにまで手が回らないと言うのが、
実情です。皆さんはサブタイトル、どうやって決めているのでしょうか。
「・・・あ、あれ?ヒロくん?」
「よかった。気が付いた。大丈夫ですか?珠洲香さん」
彼女は周りを見回す。
「大丈夫・・・って、ここ、どこ?」
は?Mデパートの屋上ですよ。
「どうして、あたし、こんなとこにいるの?」
ええ?それはこっちが聞きたいのですが。
「あ・・・・あ、また、やっちゃったのかな、もしかして・・・・」
また・・・?
まあ、それはいいとして、とにかく、彼女を連れて、屋上を去る。
1階下の自動販売機で温かいココアをゆっくり飲ませる。
自分の手が冷たいことに、彼女はやっと気が付いたみたいだ。
「えっとね・・・よくわからないんだけど、”かいひ”とか”とんそう”っていうんだって。
カウンセラーの先生が言うには、どっかに逃げだそうとしてるんだって。
すごく嫌な記憶とか場所とかから無意識で逃げようとしてるんだけど、
自分ではよく覚えていないの」
いったい何から逃げようっていうんだろう?
こういうことはよくあるんですか?記憶がないのに、なんかしてたってこと。
「うん、そうしょっちゅうじゃないけど、たまには・・・・
心が疲れているときに起こすんだよ、って先生には言われたことあるけど・・・。
記憶がないってのは、やっぱり怖いよね。
そのとき、自分が何してたんだろって思うと・・・・」
やっぱり、昨日のパニックが影響しているんだろうか?
昨日のこと、覚えてます?
「うん、すごく怖くなって、頭の中が真っ白になって、
そうなると、いろんな声が聞こえてきて、なにしていいんだか、わかんなくなって・・・・」
今も、怖い思いしてたんですか。
「あたし、近所に買い物に行こうと思ってたんだけど・・・そっから記憶がないの。
どこをどうやって来たんだろ?」
確かに、足下が素足にサンダルですし、化粧も素っ気ないですから。
どっかにお出かけって感じじゃない。
「ごめんね、ヒロくんに、なんか迷惑かけたみたいで・・・」
いえ、先輩。それはいいんですけど、なんかこのままにするのも、なんか・・・・
目を離して大丈夫かな、という感じもあるし、
乗りかかった船という言葉もあるし・・・・
そうだ、先輩、どうせなら、僕につきあってくれませんか?
「え?・・・別に用事もないから、いいけど?」
先輩と一緒に、移動することに。
このMデパート、確か、この階に・・・・・あった、ゲームセンター。
平日の昼間、少ないながらも何人かいた。
ここで少し、遊んでいきませんか?
「あ・・・いいけど、あんまりチカチカするのは勘弁ね。
コンピュータゲームなんかは刺激が強すぎるって禁止されてるから」
ふーん、じゃあ、これなんかどうです?クレーンゲーム。
「これなら、大丈夫そうね。で、どうやるの?」
単に縦横の移動のボタンを押して、クレーンで、人形をつり上げれば、もらえる、それだけです。
「簡単そうね、ヒロくん、やってみてよ」
全然簡単じゃなかった。
そりゃ確かに、そう簡単なら、ゲームにならない。ゲーセンには置かない。
しかも、惜しいところで失敗するから、次こそ!って気になってしまって、
結局、千円使って、1個も取れなかった。
驚いたのは、珠洲香先輩。
いつの間にか、僕以上に熱中していた。
周りを気にしないで、声を出して絶叫していた。
彼女がいくら使ったのかわからないけれど、
ビギナーズラックか、人形を2個手に入れていた。
「えへへ」
彼女はそう笑うと、そのうちの1個を僕に差し出してきた。
「あげる。どうぞ」
いいんですか?せっかくの獲物。
「いい、楽しいこと、教えてくれたお礼。
楽しいことは分けると、もっと楽しくなるんだよ」
有り難うございます、先輩。
深々とお辞儀して、僕は先輩から人形を受け取った。
「ふふ・・・」
「あはは」
なんだかおかしくて、二人して大笑いした。
先輩の笑顔を見ていると、誘ってよかったって気になってきた。
少しは心が晴れたのかなあ。
昨日はあんなんになっちゃったけど、これでスッキリして明日に向かうようになれば、
先輩も、ぼくも、職場のみんなも喜んでくれるような気がする。
周りが不思議そうな顔して、こっちを見てたけど、気にならなかった。
だから、物陰からこっちを伺っていた人影にも気が付かなかった。
「へえー、そういう関係だったんだ・・・・」
クレーンゲームで楽しむ話は、よくありますが、実は経験ありません。
困ったものだ。何でもやっておかないといけないということで。(笑
今回の地震や原発災害で、PTSDという言葉が平然と飛び交う世の中になりそうです。不幸なことだと思うのですが。
マスコミも平気で津波だのの映像を流すのも考えて欲しいものです。それだけでもPTSDを発症する人がいるかも。
ちなみにPTSDは1ヶ月以上、症状が継続する必要があるため、”これから”PTSDが急増することになります。急性かつ一過性の精神障害の場合は、ASD(急性ストレス障害)といい、PTSDとは区別されるようです。