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【ぽつんとひとつ・ぼくのねこ】
【ぽつんとひとつ】
まわる まわる
子馬は踊る
まわる まわる
かぼちゃの馬車に
まわる まわる
ティーカップ
回転木馬は子供を乗せて
まわる まわるよ
ぐるぐる ぐるぐる
ピエロが鳴らす縦笛に
子馬が跳ねて遠ざかる
つづいて馬車もあとを追い
霧の彼方に消えてった
あとには何も残されず
静まりかえった暗闇に
ぽつんと希望が残された
【ぼくのねこ】
キラキラした目がぼくを見上げている
小さく鳴いて
ぼくの手にある食べ物をじっと見ている
ビー玉のような綺麗な瞳は食べ物だけを映している
ぼくを見て ぼくを見て
そっちじゃないよ
気を惹こうとするけれど
ぼくのねこは
手にある食べ物から目を離さない
まったくもってやるせない
ぼくは呆れてその食べ物を手放した
ねこはさっさと食べ終わり
どこかに行ってしまったさ
どうせどうせと腹立たしげに
去った小さな影に溜息ひとつ
それでもぼくは きっと呼ぶ
あのビー玉のような瞳が見たくて
可愛くねだる仕草を求め
こっちを見てと気を惹いて
その鳴き声をねだるのだ
2020/06/08