13/28
【夜更けの真昼・水面と深海】
【夜更けの真昼】
遙かな空を仰ぐ──
その先に何がある……?
夢のまた夢
はせる想いは揺れる琥珀の液体に
船に揺られて船頭が
輝く灯りに指を指す
小瓶の中に浮かぶ帆船は
どこに向かおうというのだろうか
まわるまわる 馬車と馬
子どもを乗せてどこにゆく
まわるまわる 星の軌道
心を乗せていつまで回る
全ては回るこの玉の上に──
道を行き交う人々の
手に手に持つは金銀細工
それは心にある光
ねえ
あなたは何を持っている?
2010.6.12
【水面と深海】
一筋の光と水面の泡
小瓶の中に浮かぶ心
沈みきらない黒い輝き
誰がすくってくれるというのか?
すくいなど とうの昔に消え失せた
その目に何が映るのか
暗き常世のその中に
輝く光は未だ遠く
空に伸ばした手には虚しく
からからと空回り
すぐ側に 掴めるものなど
暗く澱んだ瞳には映りもしない
否 掴めるものがあれども
確たる形が欲しいのだ
そんな震える体に
冷たく何かがしたたり落ちる
ああ そこにあるきぼう
いつのひか
わたしにそれが与えられるでしょうか
2010.6.14