8話 ばかばかり(鳴上恋助編)
ゆにです。こんにちは。
鳴上恋助と友達になり、握手を交わした俊音。
その時。
『どかーーーん!』
大きな物音がしたのだ。
それを聞いて、俊音は、物音の方へ走った。
「ちょっと!何してるの恋助!」
大きな物音の方は走り出したのは、俊音だけではなかった。
「あはは!やっぱり馬鹿は走り出すよな!でっけー音の方に!」
恋助は俊音の隣を走っていた。
「当たり前!どんな時代になっても、安全な世界なんてねーな!」
「俺たち馬鹿がどうにかするしかないな!」
「そう言うと思った!」
やはりこの2人は息がぴったりなのである。
物音の方で騒ぎを起こしてる人がいた。
「おい。何やってんだよ。」
俊音は言った。
「決まってんだろ!こいつが俺の財布を奪ったんだよ!」
何やら見覚えのある顔だった。
「またお前かよ!」
「働け!」
俊音と恋助は呆れたように言い放った。
「助けて…。」
どうやら被害者は俊音達へ、助けを求めていた。それを聞いて敵は口を開いた。
「お前は黙って俺の言うことを聞いてたらいいんだよ!」
流石に呆れた。本当に呆れた。
「まだそんなこと言ってんのか!」
馬鹿が馬鹿を見る目だった。
「大丈夫だよ。心配はいらないよ。俺たちが助けてあげるからね。」
そう声をかける恋助を見て、俊音は微笑んだ。
「同じだ…。こいつも、俺たちと同じ心を持っている。」
2人は敵にゆっくり近づく。
「おいおい無駄だぜ。お前らが一歩でも近づいたらこの女を殺す。」
その言葉を聞いて2人は動きを止めた。
「全く呆れた野郎だ。」
俊音は剣を下に置いた。
「これで俺らは何も持ってない。その子を解放しろ。」
恋助は俊音の方を見た。
「おい戦う気ないのか!」
恋助は俊音に大声を出した。
剣を置いた俊音を見て、敵は調子に乗り出す。
「解放しろって?無理なもんは無理だ!」
「まあこっちもはなから諦めるつもりはないよ。馬鹿ってのはこの世界に何人もいて、俺もこいつも馬鹿の1人って事。」
俊音は一瞬だけ、恋助を指差した。
「一緒にしないでくれる?」
「え、切るの?今切るの?お互い馬鹿同士だろ。」
ここでも2人の馬鹿っぷりが発動している。
「まー何が言いたいのかって言うと、馬鹿は馬鹿に引き寄せられるって事だよ。」
敵の背後から琉妃が斬りかかった。
「誰が馬鹿だって?」
琉妃も馬鹿と言われるほど、頭が悪いのだ。
「いるなら言えよな!」
「言ったら俺のアイデンティティがなくなるじゃん。」
敵から解放された市民は深く頭を下げた。
「ありがとうございます…。」
俊音は市民を心配していた。
「大丈夫?怪我はしてないよね?何も盗まれてない?」
「大丈夫です。この度は本当にありがとうございました。」
もう一度、市民は頭を大きく下げ、礼を言ってその場から立ち去った。
恋助は、助けに来た琉妃のことが気になっていた。
「俊音。いいところだけ持って行ったその人は?」
少しだけ含みを持たせてそう言った。
「こいつは俺の相棒。魔条琉妃だ!」
「よろしくね。」
「こいつも馬鹿だ。1番仲がいい。」
「俺の方が頭いいけどね。」
「いやいやそれはないって!」
「じゃあテストの点数比べてみようよ。」
低レベルの会話を繰り広げている。
恋助は興味深々だ。
「お前も馬鹿なんだな!」
「え、普通だけど。」
ここでも低レベルな会話が行われた。
「他にも4人。仲間がいるんだ。みんなめっちゃ強いよ。」
俊音の発言に、恋助は目を輝かせる。
「へぇ…会ってみてぇ…!」
「家来るか?」
恋助は、家に呼ばれたことに、テンションが上がっている。
正直落ち着きがない。
「おお行くぜ!行く行く!絶対行く!燃えてきたぁ!」
恋助の反応に、俊音は微笑む。
「いいよな?」
俊音は、琉妃に許可を求める。
「いいんじゃない?」
「よっしゃー!行くぜ!おーい早くいこーぜ!」
恋助は1人で遠くへ走った。
「早くしねーと置いて行くぜー!」
遠くから叫んだ。
「家知らんだろ…。ってかあいつ足速いな…。」
家まで着くまで一苦労。何故なら恋助は1人で走って行くから。
無事に家まで着いた。
「ここが俺んち…。」
「たのもー!」
恋助は思いっきり扉を開けた。(扉を壊して)
「俺が一番乗りだ!」
家の中から声が聞こえる。
「何だ!?」
さすがの物音に、家の中にいるみんなは驚いている。
「アホかお前!友達の家にきた初日に玄関壊すやつがどこにいるんだよ!」
「アホとは失礼な!アホとは!」
恋助と家にいたみんなが対面した。
会話を聞いた日和は言う。
「初対面の人の目の前でアホ晒す方が悪い。」
「アホはダメだ!馬鹿と言え!」
「馬鹿ならいいのか…。」
誰か知らない人が来て、困惑するみんな。
「で、誰こいつ。」
「こいつは鳴上恋助。さっきそこで初めて会った。」
さすがに理解が追いつかない。
「なんか知らんけど、ひったくり犯に絡まれてた。こいつ馬鹿だから。」
「変な馬鹿が、俺が財布奪ったって言ってくるんだぜ?俺がそんな馬鹿するわけねーよな。」
珠架は、と言うかみんなが気になってることを発言した。
「何だかすごく馬鹿馬鹿聞こえるんだけど…。」
「大丈夫。気のせいじゃない。」
空介は言った。
「それでお前らが、俊音の仲間だろ!」
「あぁそうだが…。」
「みんな強そうだな…。」
俊音が家の中に入る。
「まあ立ち話も何だし、上がってけよ。」
「おー!邪魔するぜ!」
みんながリビングに集合した。
恋助が言う。
「この家冷えるな。なんか寒くねーか?」
その言葉に弘明が静かに答えた。
「君が玄関壊したからね。」
「何だっけ。恋助くん?」
悠尋が思い出したように言った。
「恋助でいいぜ!」
「じゃあ恋助。」
悠尋は軽く笑った。
「せっかくだしさ。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだよ。」
「へえ、何だ?」
「ちょっと依頼が入っててね。」
その言葉に恋助は目を丸くした。
「依頼って、そんな事もやってんのか?ただのほほんと過ごしてるだけかと思ったぜ。」
「おいおい。」
俊音が苦笑する。
悠尋は肩をすくめながら続けた。
「隣町の住人からの依頼でね。ヤクザのたまり場があるらしくて、迷惑だから追い払ってって言われてるんだ。」
それを聞いた珠架は声を出さずに、大きく驚いた。
子供に何て言う依頼…!?
悠尋は珠架を見て、微かに笑い、話を続けた。
「そこに潜入しようと思ってるんだ。お前もくるか?」
「ヤクザって、お前ら子供だろ。そんな事依頼されてんの?」
「そうだよ。怖いなら来なくていいよ。」
悠尋の言葉に恋助はニヤッと笑った。
「まー全然行くけど!とっととやっちまおうぜ!」
「やれるならとっくにやってるんだけどな。」
「なんか問題あんのか?」
悠尋は少し間をおき、ポツリと言った。
「まあ、なんか怖いじゃん。」
「子供か!…子供か。」
自分で言って恋助は笑った。
俊音は腕を組んだ。
「別に俺がいるから大丈夫だって言ってんのによ、聞いてくれないんだぜ?」
「だって俊音。何やらかすかわかんねーもん。」
「こんな馬鹿連れて行ったって同じだろ!」
恋助を指差して言う俊音。
日和が淡々と言った。
「まあ1人より2人。」
「謎理論。」
「とにかく知らんけどノリよな!早く行こうぜ!」
恋助は勢いよく立ち上がった。
弘明が思い出したかのように言った。
「確か依頼場所は葉里だったよね。」
「俺の家らへんじゃねーか!」
恋助は驚いた。どうやら葉里に住んでいるようだ。
「お前そんなところに住んでんのか!」
俊音が目を丸くした。
「まあ治安は悪いよね。」
日和はヤクザの情報を補足した。
「何やら他人のお金で出来上がったヤクザ集団らしい。」
その言葉に恋助は驚いた。
「な、なんだと…!だから俺の財布には24円しか…!」
「それは知らん。」
俊音が即答する。
恋助が拳を強く握り、拳を見つめた。
「とにかく!そいつら潰しにいこーぜ!」
後ろから琉妃が軽く言う。
「って言ってるけど、行こうか。」
「服はどうするの?」
空介が首を傾げながら質問した。
俊音は自信満々に言った。
「そんなん適当に『卍』書いとけば何とかなるって!」
弘明は少し考えながら呟いた。
「そう言うものなのかな…?」
恋助君、大丈夫かしら。
次回 『理解不能』




