3話 普通の家族(威武菜珠架編)
ゆにです。
さあやってきましたよ3話にして威武菜珠架編。
威武菜珠架とは誰なのか、みなさん楽しんでいってくださいね。
私の名前は威武菜珠架。
上栖鳥中学校に通う、何の取り柄もない普通の女子中学生。
私の家族はいたって普通。
両親とは普通に仲が良くて、お金持ちじゃないけれど、貧乏でもない。
そんな両親のもとに生まれたたった1人っ子の私。
「お風呂が沸きました。」との音が威武菜家のリビングに鳴り響く。
私の母は、夕食を作りながら言う。
「珠架ちゃん。お風呂に入ってらっしゃい。」
「はーい。今日の晩御飯は何?」
「肉じゃがよ。」
このような何の特徴もない至って普通の会話が毎日行われている。
「にんじん嫌い…。」
「好き嫌い言わないの。」
「まぁ、食べるけどね。」
「珠架ちゃんは、作ったら何でも食べてくれるもんね。」
「嫌いなものは嫌いだけどね。じゃあお風呂に入ってくるね。」
ささっと体を洗い、湯船に浸かった。
「んんっ…。気持ちいい。」
湯船に浸かり体を伸ばし、天井を見て、しゅんと考え込む。
「何だか退屈な人生。何かに夢中になれる事ないかな…。ないかなぁイレギュラーな事。」
普通すぎる人生を歩んでいる私は、何か生きることに刺激が欲しいのだ。
――――――――――
その頃一方リビングでは、母と父が会話をしていた。
「ねえあなた。」
母は父に語りかける。
「最近どうかしら…。」
その言葉を聞いて父は目力を込め、語り出した。
「2年ほど前、突如国の偉いはほとんどいなくなった。
噂によれば子供達が国の偉いを半壊状態にしたと言う都市伝説があるが、それとこれとは関係があるのか。
それでもまだ国民に恨みを持った奴らは少なからず残っている。」
母は言葉を聞いて頷き、話の続きを要求する。
「珠架には何もないかのように、普通に振る舞っているのだが、あの子ももういい歳だ。
そろそろ隠し通すのも難しくなってくるかもな。」
珠架がお風呂から上がり、リビングで母と父が話していた会話の最後をうっすらと聞いてしまった。
「何の話?」
私がお風呂から上がってきたことに、驚きを見せる両親。
それでも聞いた話の内容はごくわずか、私は何を話していたのか全く分かっていなかった。
「あら、早かったのね。別に何でもないのよ。」
「ふうん。」
母が夕飯の肉じゃがに卵をかけた。すると咄嗟に反応した。
「あ!ずるい私も!」
「まだ冷蔵庫にあるから。それを使いなさい。」
「やったあ!」
私は喜んだ。こんな普通の家族なのだ。
――――――――――
数日後、私は学校の準備をして家を出た。
いつもと同じ景色。そこまで都会に住んでないから、人通りは少ないけれど、私の見慣れた光景。
その時私は、何か不思議な違和感を感じていた。
「おはようございます。」
街を歩くサラリーマンに元気に挨拶をする。
しかし、目を合わせられず、返事を返してくれない。
「無視されちゃった。まぁ、そんな人もいるよね。」
挨拶をしても、返事が返ってこないことには気にならなかった。だからいつも通り、学校に登校する。
――――――――――
「先生。おはようございます。」
いつも通り、校門に立っていた先生に挨拶をした。
そこでもまた無視をされたのだった。
家を出た時に感じた違和感の正体に気づいてしまった。
「また。無視されちゃった。」
誰も私に近づこうとしないのである。
学校に入ると、他の生徒から拒絶されるように舌打ちされたり、睨まれたりされ、びくびくと俯いたまま教室まで歩いて行く。
「あれ、私の席がない…。」
いつもの教室に、いつも私が授業を受けていた机と椅子がなくなっていた。「帰れよ。」「邪魔。」などの周囲の生徒からの罵声を浴びる。
「何…なんで…?」
そんな中、学校中にチャイムが鳴り響く。
朝のホームルームの時間だ。
クラスのみんなが席につくが、私はその場で立ち尽くした。
「それでは、朝のホームルームを始めたいと思います。」
「あの先生…私は…?」
先生はチラッと私の方を見て、ため息をつきながら話した。
「出ていきなさい。2度は言いません。」
その言葉に驚き、私はショックで涙を流してしまった。
「ひどい…。」
ボソッと呟き、早歩きで教室を後にする。
廊下を歩いていると、前から大声を出して走っている男の子がいた。
「遅刻遅刻!」
彼は廊下を走っていたが、私に気づくとスピードを落とし、優しく声をかけてくれた。
「え、泣いてるの?どうかしたの?」
唯一私に優しくしてくれた男の子。
だけど私は冷たく、たった一言の返事を返してしまった。
「何でもない。」
その一言を言って、私は颯爽と歩いてその場を後にする。
「ん。なんだろ。」
◇ ◇ ◇
遅刻してきた少年。速橋俊音は、威武菜珠架の教室を覗き込むと、席が一つないことに気づく。
「席が一つ空いてる。空いてるっていうか、机もない。もしかしてイジメ?」
その教室内にいた宮地悠尋と目があい、こっちに来いと手招きをして呼び出す。
「先生ちょっとおなかが痛くって…。トイレに行きますね。」
「あーはい。」
宮地は教室から出て、速橋と合流する。
廊下を歩いてる威武菜珠架の後ろ姿に軽く指をさす。
「あの子。」
続いて宮地も語り出す。
「さっきみんなから無視されていた。先生からも。」
速橋は先生からもって言葉にかなり衝撃を受けていた。
「助けてやれよ!女の子だぞ!」
そう速橋は言うも、そう簡単には助けられない状況。
別にイジメが自分に向く可能性があるからじゃない。
助けられない、本当の理由は
「助けてやりたいけど、俺たちは正体を秘密にしている。俺たちが目立って、この国を半壊させた子供だってのがバレたら大事になるからな。」
日暮さんのおかげで、俺たちが国家転覆を図り、国を半壊させたことを秘密にしてくれているからだ。
何故かネットで調べても出てこなく、世間からは都市伝説と言われている。
だから俺たちの正体は本当に一部の人しか知らない。
「このホームルームが終わったら声をかけるつもりだった。でも早急に追い出されてしまった。」
「探ってみるか。」
速橋の発言に頷き、2人がこっそり威武菜珠架の後ろをついて行くように歩き、魔条のクラスの横を通る。
◇ ◇ ◇
魔条は教室の横を通る少女を見て、ボソッと呟く。
「あの子が噂の威武菜珠架…。」
その後ろを宮地と速橋が後をつけているのを二度見する。
「え、ちょ。何やってるの。」
少し驚いたような感じで、席から立ち上がる。
「先生。トイレ行きます。」
そう言い、急いで教室から出た。
「何してるの?ストーカー?」
そう2人に言い放つ。
「あー琉妃か。頭がいいやつがよかった。」
そう宮地が言うと、魔条はショックを受けた。
「酷すぎ。あの子の事探ってるの?」
「そう。」
魔条が威武菜珠架のことについて語り出す。
「うちのクラスでも話題になってたよ。
どうやらあの子の家族。国の偉いの残党から目をつけられてるみたい。」
そう魔条が言うと、2人は驚くような表情をした。
「まだいんのかよ。トップの奴らに懲りないやつが。」
「ただの噂話なんだけどね。
残党とはいえ国の偉い。目をつけられたくないから、みんなあの子を除け者にしてるんだろうね。」
しばらく静かな時間が続き、深く考え込んだ。
先に話し出したのは魔条だった。
「でも今更国とかどうでもいいよね。やるんでしょ?人助け。」
その言葉を聞いた宮地はすぐに返した。
「もちろんやるさ。」
その瞳はやる気で満ち溢れていた。
「俊音。お前遅刻してきただろ。
だったらお前の出席はまだ取れていないはずだ。
今日の学校は休んでいい。」
「え、休むどころか、もう学校に来てるんだけど。」
宮地な発言はボケで言ってるのかと思っていたが、目が本気だ。
「学校から出てあの子を追ってて。些細なことすら見逃さないように。」
速橋もやる気に満ち溢れたように、にやける。
「ったくしょうがねーな。
頭悪いし学校にいるよりマシか。
とりあえず、学校終わって合流できる時に連絡して。
あの子の護衛やるんだよな。」
速橋の発言に、2人は目を合わせ、頷く。
「くれぐれも死なさないように。」
たった一言だけど、重たい言葉。
速橋俊音は威武菜珠架の後を追う。
威武菜珠架、帰っちゃいましたね。
次回 夫婦の正義感




