12話 一生もんのダチ(蘭忌妃編)
ゆにです!こんにちは!
蘭忌妃編、2話目ですね。
はりきっていきましょう!
「引き分けか…。」
琉妃は、胸ぐらを掴まれたまま口元を緩める。
「いいの?決着がつくまでやらなくても。」
蘭忌妃は肩をすくめた。
「いいよ。こんなん、お互いナイフを突きつけられてるようなもんじゃねーか。
このまま続けたらお互い負けだ。」
琉妃は少しだけ目を細める。
「でも君ならこの状況どうにかできるんじゃない?」
「それはお前もだろ。」
一瞬の沈黙の中、蘭忌妃は笑い、ゆっくりと琉妃から手を離した。
「でもいいんだ。ここで辞めたら連勝は途切れるけどよ…すげえ楽しかった。」
蘭忌妃は立ち上がり、空を見上げる。
「楽しさは一生続くものじゃないってことは、よく分かってる。
だからまた戦うために、この辺で終わっておく。」
琉妃は淡々と返す。
「本当は負けるのが怖いんでしょ。」
蘭忌妃は鼻で笑った。
「んなわけねーよ。
勝つのは俺さ。これ絶対。」
少し、真剣な目になる。
「本気でやりすぎて、お前の体をぶっ壊すわけにはいかねーしな。」
「壊れないから安心しなよ。
むしろ素手で戦う君の方が壊れる可能性あるんじゃない?」
「心配ありがとな。」
蘭忌妃はそう言って、掌を差し出した。
「俺とお前はもう友達だ。
また戦おうぜ。」
琉妃はその掌を見つめる。
「……友達。」
少しだけ間をおいて、その手を握った。
その瞬間、蘭忌妃はさらに強く手を握った。
「友達……だけどなーんか、お前の心が見えないんだよな。」
「…どういうこと。」
「まあいいよ。」
蘭忌妃はあっさりと笑う。
「ちゃんとお前に会えたなら、もう一度挨拶でも自己紹介でもやってやんよ!」
「何言ってんだか。」
「次戦う時は、また俺が99連勝した時だ!
首洗って待ってろよ!」
「嫌だね。グータラして気ままに待つよ。」
蘭忌妃は楽しそうに笑った。
「お前……」
その時ーー
「おーーい!こんなところにいたのか!」
遠くから声が聞こえた。
蘭忌妃はそちらに目を向ける。
「誰。敵か?」
「いや、俺の仲間。」
「……へぇ。」
そこへ現れたのは、宮地悠尋だった。
近づいてきた悠尋が手を振る。
「あれ、琉妃。そっちは?」
「蘭忌妃って言う人。」
「なんか他人みたいな言い方だな。」
蘭忌妃が口を挟む。
「さっきこいつと友達になった蘭忌妃だ!」
「こいつって呼び方も他人みたいだけどね。」
悠尋は思わず笑った。
「蘭忌妃って言うのか。
日本人じゃないのか?」
「生まれは日本ではないな。育ちは日本だけど。」
「へぇ、そうなんだ。」
悠尋はどこか嬉しそうに笑う。
「でも珍しいな。
琉妃がそんなふうに話せる友達ができるなんてな。」
「あれー?俺見下されてる?」
「いや違うって。俺は嬉しいんだよ。
琉妃に友達ができたことがな。」
「なんか友達がいないやつみたいな発言…。」
蘭忌妃が豪快に笑う。
「ま、いいじゃねーか!
俺が一生もんのダチになってやっから!」
「えー?これとー?」
「これ!?」
悠尋は軽く手を振った。
「まあ仲良くなるのはいいことだ。
あんまり遅くなるなよ。」
「うん。」
悠尋が去っていくのを見送り、蘭忌妃がポツリと言う。
「あいつもそこらへんのやつより強そうだな。」
「強いよ。俺の仲間はみんな強い。」
「みんなお前と同じような戦い方するのか?」
「いや、こんな戦闘スタイルなのは俺だけだよ。」
「そっか。」
蘭忌妃は小さく笑う。
「ならお前が1番強いな。」
「なんでそうなる。」
「少なくとも俺が相手の場合だ。」
腕を組む。
「戦略が無限じゃねーか。
それに敵の隙に入り込むのがお前の戦い方だろ?
俺みたいなやつはうちに入り込まれたら終わりだ。」
「何言ってんだか。
すごい瞬発力で内にすらまともに入れないのに。」
「お互い様だな。」
蘭忌妃は少しだけ真剣な顔になる。
「なあ、俺の連勝を破った奴がいたら、言おうと思ってたことがあるんだ。」
琉妃が目を向ける。
「お前知ってるか?
過去に子供6人で国のトップを半壊させたって話。」
「まあ知ってるけど。」
蘭忌妃の目が鋭くなる。
「その戦、まだ続いてるみたいなんだ。」
「え、もう終わってるよ?」
「隣町の燐冥冠の連中がな、戦いは続いているって言って、酒場で暴れているらしい。
金も払わず遊び呆けてる。
戦人は讃えるべきだってな。」
「それ、ただの言い訳じゃん。」
「あぁ、調子に乗ってる。」
拳を握る。
「だから俺は、本当の戦いってやつを教えてやりたい。」
琉妃は少しだけ考えた。
「……まあ、放っておくわけにはいかないか。」
そして軽く頷く。
「ついていこうかな。」
蘭忌妃の顔が一気に明るくなる。
「よし言ったな!忘れないからな!絶対来いよ!」
「忘れないし、行く。」
「今日の夜。いいか?」
「いいけど……結構遠いよね。
どうやって行くの?」
蘭忌妃は即答した。
「走るしかないだろ!」
「はい、言うと思ったー。」
琉妃はため息をつく。
「体力お化け。なら今から行かなきゃじゃん。」
「行くんだろ?忘れたとは言わせねーよ?」
「行くよ行く。」
蘭忌妃は勢いよく振り返る。
「決まりだな!じゃあさっさと行くぞ!」
次の瞬間、風を切るように走り出した。
「はや…。」
琉妃は背中を見ながらつぶやく。
「足の速さなら俊音にも追いつきそうじゃないか…。」
ありがとうございました!
次回 『好き勝手やれる街』




