第8話 『夜光虫の報復と、マサオの流血』
1. 執拗な影
………「夜光虫」の誘いを蹴ってから、日常の景色は一変した。
深夜のコンビニバイトの行き帰り、路地裏を抜けるたびに、遠くから排気音が聞こえる。ケンジの乗る黒のセドリックと、数台の単車。彼らは捕まえることが目的ではないかのように、執拗に翔也のジョグを追い回した。
「逃げんじゃねえ、コラァ!」
翔也は訓練で培った**「ライド」**を使い、10秒間の浮遊ブーストで何度も追跡を振り切った。だが、そのたびに肺は悲鳴を上げ、視界がチカチカと火花を散らす。
(このままじゃ、いつか限界が来る……!)
2. 交差点の静寂と、汚れた牙
同じ頃。翔也のルートからは外れた、大通りの交差点。
魔竿は愛車のVespaを停め、自販機の横でタバコをくゆらせていた。黒いサングラスの奥で、彼は退屈そうに深夜の信号機を見つめている。
「ペペペ、ペベェーーン!」
静寂を切り裂き、一台の二人乗り単車が魔竿の前に滑り込んだ。特攻服の背中には、毒々しい赤文字で**「夜光虫」**とある。
『おい、そこの原チャ!、てめぇ、この辺で紫のボロいジョグに乗ったガキを見なかったか?』
魔竿はゆっくりと煙を吐き出した。
サングラス越しに、男たちの意識が流れ込んでくる。翔也を追い込み、なぶり殺そうとする卑劣な思考。
「……知らねェよ」
魔竿は冷たく言い放った。
「それに、お前らダセェな。多勢に無勢かよ。そんなんで翔也を追ってるのか?」
『あ? てめぇ、今なんて言った?、何で奴を知ってんだよ』
単車の後ろに乗っていた男が、シート横に括り付けていた竹刀を引っ張り出し、魔竿に攻撃にでた。
3. 未熟な異能と、蹂躙男が竹刀を振り下ろす。
魔竿の**「読心」**が、その軌道を完璧に捉えた。
(右。……いや、こいつはフェイントだ)
魔竿は最小限の動きで竹刀を避ける。だが、心は読めても、身体の反応が追いつかない。
「死ねッ!」
運転していたもう一人の男が、魔竿の隙を突き、停車していたVespaを思い切り蹴り上げた。
「ガシャァン!」
「なっ……!」
愛車が倒れる衝撃に、魔竿の集中力が途切れた。心を読む意識が霧散する。
そこへ、二人掛かりの暴行が始まった。一人が魔竿を抑え込み、もう一人が竹刀で何度も何度も殴りつける。
『誰だか、翔也の仲間かなんだか知らねぇが、これでおしまいだ!』
一人の男がポケットから赤いスプレー缶を取り出した。
倒れたVespaのブルーのボディに、シューッという不快な音と共に、殴り書きの文字が刻まれていく。
「夜光虫」
彼らは嘲笑を残し、けたたましい音と共に去っていった。
交差点には、血を流し、うずくまる魔竿と、無残に汚されたVespaだけが残された。
4. 翔也の「沸点」
追跡を逃れ、裏道を抜けてきた翔也は、偶然にもその現場に出くわした。
「ん!、え? おい、マサオ……!?」
駆け寄った翔也の目に飛び込んできたのは、顔を腫らし、アスファルトに血を滲ませている魔竿の姿だった。そして、その横にあるVespaの変わり果てた姿。
「……マサオ、お前。……なんで」
魔竿は汚された車体を無言でなぞり、折れたタバコを吐き捨てた。
「……翔也か。お前を探してたぞ、あいつら。……ケッ、心は読めても、竹刀二本は防げねぇな……」
魔竿は自嘲気味に笑ったが、その瞳には悔しさが滲んでいた。
翔也の胸の中で、何かがパチンと弾けた。
あの闇レースで大敗した時の、自分への情けなさとは違う。
コンビニバイトでコツコツ貯めてきた10万円への執着でもない。
自分のせいで、ライバルがボロボロにされ。
何よりも、同じ「バイク乗り」として、愛車を汚されたこと。
「夜光虫……ケンジ……」
翔也の全身が、怒りで熱くなった。
心臓が激しく鼓動し、肺が酸素を求める。
「……絶対に、タダじゃおかねえ。あいつらの全部、叩き潰してやる」
この瞬間、翔也の異能**「ライド」**は、単なる逃走の手段から、復讐のための武器へと変わった。
翔也=息を止めてる時間だけ3センチ浮遊できる
魔竿=範囲は目に見える範囲か、心の声が聞こえてくるので先読みできるが、それ以上に人の闇が聞こえて苦しみも…1人に集中も出来るが、使い過ぎると頭痛とめまいに襲われる…
DIOに乗る自称、ショウ=能力抜きに、バイク操作が純粋に速い、そしてまだ謎多き少年




