第4話 規格外のタイムと真の強敵
「おい、予選開始だ!予選は二周!」スーツの男が叫ぶ。出場者9台のうち、上位三名が決勝へ進む。
ショウヤはベスパ野郎の警告を振り切り、RZ250と10万円だけを思い浮かべた。息を止め、**「ライド」**を発動。
他のスクーターが排気音を上げる中、ショウヤのジョグはまるでレールの上を滑る模型のように静かで、異常に速い。カーブで減速を嫌い、遠心力を無視してイン側に張り付く。
「予選タイム!26秒1!」場内は静まり返る。常識外れのタイムだった。
次に予選に挑んだのは、あのVespa野郎(ベスパ少年)。
少年のベスパは路面から浮いていないが、異常に安定し、ショウヤの「ライド」のラインを能力を使わずにトレースする。すべての無駄を削ぎ落とした完璧な滑らかさでラップを重ねる。
「予選タイム!27秒9!」能力を使ったショウヤには及ばないが、異次元のタイムだ。
その少年はVespaを停めると、黒スーツの連中の方へ冷たい視線を向けた。彼らの心の声がベスパ少年の脳内に響く。
『どうせ、あいつ(謎のHONDA、DIOの男)で全部回収できる』
「予選最終ランだ!ディオ男、行け!」
拡声器が、最後の出場者を呼び出した。
ショウヤの視界に飛び込んできたのは、ピカピカにワックスでコーティングされた白いキラキラしたHONDA Dioに跨った、フルフェイスの細身の男だった。
そのDIOの車体から放たれる**異様なほどの速さの「気」**が、アスファルトの熱気とは違う、冷たい圧力を発していた。
(あいつ……速い)
予選トップタイムの座を奪われる、確信にも似た予感が、ショウヤの全身を駆け抜けた。
next._____謎のディオの男の予選ラン、そして決勝レースでのショウヤの惨敗と失意_____




