第1話 3センチの足場
昭和の私立高校卒業間近で金は無いけど、バイク好きでコンビニでバイトしながら、めちゃくちゃ安いスクーターを買って、カスタムしながら、いずれ中型バイクが欲しい少年。 いつの日からか、異能、サイキック能力を身につけ始めてしまった、18歳が乗る、スクーターから始まるストーリー ※『魔竿】編も同時進行してます!
異能バトル/小説/学生/バイク/オートバイ/サイキック/超能力/夢小説/不良
錆びたエアコンの室外機が唸る、下町の路地裏。時刻は夜の九時前。通っている私立高校はスポーツは有名だが、その他の生徒はほぼ不良か馬鹿ばかり。勉強も苦手でスポーツもバスケ以外はできない、バイク好きだけど金が無い、原チャリしか取得してダメな、高校卒業間際の翔也、18歳。その日の昼飯は、コンビニの売れ残りパン一つだ。
自分の足元を見つめる。地面から、たったの3センチ。
その3センチこそが、今の俺にとって唯一の武器だった。
息を肺に吸い込み、息を止めている間だけの、まだ不安定に浮く足もと。初めてそれに気づいたのは、小学校の授業で水に浮き過ぎて、(だるま浮きすると身体半分が水面に逆さに膝を抑えたままの状態で身体半分浮いてた)先生に「変わった体質だね…」と言われたあの日だ。
その時何故か意味無く頭に浮かんだ言葉、「ライド」。
ツースト特有の乾いたノイズを響かせる愛車、YAMAHA・ジョグ。濃い紫の車体はボロボロだが、オークションで手に入れた黒いチャンバーが、腸モツのようにねじれたエキパイとスチール缶のようなサイレンサーを繋いでいる。「パパパ、パ〜ン、パパパ〜パー」と、やかましい排気音は俺の魂だ。(近所の住民はみんな渋い顔をしながら耳を押さえる人も多い。)
文無し同然で、目当ての中型バイクRZ250を買う金なんてどこにもない。(実は親にも学校にも内緒で中免取っているので、ますます金が無い)
今日の目的は、バイクのカスタム代と、好きな服と、一服するためのタバコだ。
「能力使えば、まあ何とかなるか」。
ジョグにまたがり、翔也は息を深く止めた。脳裏に、今夜の素人レースの会場と、そこで10万円の賞金を稼ぐ未来だけが焼き付いている。
「とりあえず10万、稼ぐぜぇ〜ぃ」
……オシャレは、好きだが、話がややダサい、
3センチ浮く少年『翔也』。




