最終話 それから
僕は鬼ヶ島殺人事件のあと上層組織である『安定奉行所』に『奇々怪々』の情報を事細かく提供した。
ただ相手はとても大ききな悪の組織だ。
そう簡単にことは進まなかった。
時代に根を張る悪の根源。
それでも御上が手を尽くしてくれていると信じている、で、なければこの御伽の国に未来なんてない。
それにチュン太さんのような獣にも優しい国にしなければ太平の世なんてない。
あの奇術師がおこなっていた興行を全国的に禁止にできたのはよかったと思う。
イカサマのからくりに騙される被害者がいなくなって本当に良かった。
「青鬼さん。事件です」
「どんな?」
「竹取の翁の娘さんが誘拐されたそうです」
「かぐや姫さんが?」
「はい。石作皇子殿。車持皇子殿。阿部御主人殿。大伴御行殿。石上麻呂殿というそうそうたる面々の警護を掻い潜って、なに者かが攫っていったとか」
「わかりました。かぐや姫さんは前に祝言のことで悩んでいました」
「なにか関係ありそうですね?」
「そうですね。まずは、竹取の翁さんのところに事情を訊きにいきましょうか?」
「はい」
今日も僕らは事件の解決に奔走する。
最終章【鬼ヶ島殺人事件】……終わり。
『一期完結』