冬眠
留まる事を知らない地球温暖化。人類は。
開き直って常夏をエンジョイしていた!
荒野に男が一人。名を【ジョイ】。この荒みきった地で一人、地球を緑と水の青い星に戻そうと思っている男だ。
「水はあるんだ……。海水だけど。それに植物だってある。諦めるわけにはいかない!」
ジョイは背負っていたリュックからペットボトルを取り出した。次に植物の種、サボテン科の水を多く必要としない種を丁寧に植えていく。そして、水を多めにかけてやること数日。
芽が出てきた!
「やはり! 地球は死んでない!」
植物の問題はクリア。次は海だが、これは大変、世界各国が海水をろ過し、更に塩と分けて、水にしている。海面上昇は止まらない。
「これは自然の現象と捉えて、他の者達と同じように無視する事はできる。しかし、住める土地が少なくなれば戦争が起きる」
と、いうことらしい。
「ああ、こんなところにも【海水河】か……」
海水河とは海面上昇により湧き水すらも海の水となってしまった川である。
「おや?」
ジョイが何かを見つける。
「海藻か?」海水河に植物らしきものがあったようだ。一応調べるジョイ。
「こ、これは! 水草だ! 淡水なんだ! すごい!」
大発見である。ジョイはさっきのサボテンとは別の方向へ川の流れを変える大掛かりな工事を決意する。
一人では無理だ。第一、ジョイはもう三十六歳、地球規模を変えるには余命が僅か過ぎる。それは分かっていたこと。【後継者】を作らなければ!
子供にも分かりやすい動画を作って全世界に公開。それから一週間。回転数は【二回】。愕然とした。やはり地球人の意識改革が必要だ。悩む。兎に角遊ぼうというのが今の全世界地球人。ジョイの仲間はいない。
ならば子供を産むしかない!
この時代はお産は母体、つまり女性が大変だから、試験管で一定の子供を作っているだけだ。【ジョイ・マーダス】は諦めてはいない。