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プロローグ
貴族や騎士、王が存在したはるか前の中世の時代。数十代続いた名家、リネンハイン家の人々が次々に変死を遂げ、死んでしまった。貴族たちの間でこれは『禁術』のせいでは、という噂がじわじわと広がりつつあった。
その時ある孤児の少女が男爵家の養子となった。彼女が社交界へと初めて足を踏み入れた時、人形のような布でできたクマをモチーフにしたようなモノを持ち歩いていた。人々はこの時期の重なりに必然を感じ、少女を不審がっていた。すこし経った頃から社交界ではあのクマの孤児の少女がリネンハイン家の人々を殺したのでは、という噂がひっそりと囁かれ始めていた。
これ以降変死や不審死の裏にはクマの孤児が、クマの『人形』がいる、とまことしやかに話されるようになったという。