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Re:フレンドワーズ ~家名すらない少年、ディストピアで生きていく~  作者: コヨコヨ
人族軍vs魔族軍:戦争偏

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Sランク冒険者:カインズ11

「すみませんでした…あなた達の話も聞かず、勝手に悪だと決めつけてしまいました…」


その場に項垂れながら、相手の出方を窺う。


「はぁ…やっと話し合いができますね、カインズさん」


「どうして僕の名前を…」


「私たちは人族軍の協力者です。ジャスさんとはもう既に話は付いています。私たち獣人族が負傷した兵士を回収し、医療班のもとへと運んでいたのです」


「そうか…だからここまで持ちこたえているのか…!危ない!」


カインズは、闇の中から一瞬垣間見えた光に気づき、その場からすぐ立ち上がる、


ミーナとアランはいきなりのことに驚き動揺してしまう。


カインズは、此方に向ってくる獣人の少女へ覆いかぶさり、身を庇った。


「ぐ!!」


稲妻のような矢がカインズの右肩を貫通した。


雷に焼かれるような激しい痛みが全身を襲う。


カインズの右肩には、魔石サイズの穴が開いてしまっていた。


穴の周りは完全に焼け焦げ黒く変色し、炭と化している。


カインズの右肩を撃ち抜いた矢は数ⅿ先の地面に突き刺さり、雷鳴音を慣らしながら未だに帯電していた。


「まずい!!」


それを見たカインズは獣人の少女が持っている剣を奪い取り、地面に突き刺さっている矢付近に投げ込み地面に突き刺した。


すると一瞬で上空に黒雲が発生し、上と共に剣へと落ちて行く。


「ビシィ!……ドビシィィアァア!!!」


雷鳴音が上空で鳴り響き、光は一瞬だった。


世界を一瞬、純白に染めあげる。


そこに居る3人の誰もがその光を目で追うことはできず、ただただ剣へと雷撃が落ちて行く様を感じるしかできなかった。


剣に雷撃が落ちたことによる爆発音、金属音、振動音、全てが雷撃による衝撃の後に耳へと届き鼓膜を劈く。


「な…」


黒く焦げた地面からは黒い蒸気が発生し、矢と剣からは白い煙が立ち上っている。


周りにあった土草は全て燃え尽き炭と化してしまった…。


唖然とするミーナ、直立している剣を持っていたならば今頃、地面同様黒焦げになっていただろう。



それを想像すると、髪、耳、尻尾に生えている毛が逆立ち…全身の震えが止まらない。


全身から変な汗が吹き出し、腰が抜けてしまった様だ。


カインズは冷静に判断し、即座に考え始める。


考えを止めたものから戦いでは死んで行くからだ。


その事をカインズは自身の経験から熟知し、常に考えを頭に巡らせる。


――この矢には見覚えがあるぞ、少し前…僕の事を狙っていた奴の矢だ……。


「あら…また外した…まとめて殺そうと思って、消耗するのを待ってたのに…」


そいつは等々、日の当たる場所へ顔を出した…。


獣人の2人は、そいつの顔を見た瞬間…顔面を蒼白させ、目を見開いていた。


「ヘイヘ君…」


「ヘイへ…いやそんなはずはない…」


獣人の2人は僕の知らない名前を口にすると、開いていた口を噛み締め獣人特有の威嚇表情を取る。


「ヘイヘ…誰、その反応からすると…この顔に…似ているという事か…。それより…どうしてここに…獣人がいるの…」


その場に現れた魔族はミーナとアランの頭を混乱させた。


アランは獣人族にとって今の状況が非常に危険な事態だと気づく。


――しまった…。魔族軍に戦場へ出撃していることがばれてしまった…。ここで奴を逃がせば我々の存在を魔族軍に教えることになる…。我々は既に獣人国へ退散したことになっているのだ…、此処で裏切ったことがばれた場合…獣人国が危ない。


ミーナは勇逸、良く知っている人族の顔と、自身の目に映る魔族の顔が瓜二つな事に驚愕していた。


――どういうことだ…どう見ても、顔がヘイヘにしか見えない…。頭部から角が生えているが…それにしても似すぎではないだろうか。違うのは体格と肌の色、髪の色、角と声色…。


黒く短い髪に側頭部から生える2本の黒角…腰には矢筒を付けているが弓自体は持っていない。


ただ黒いローブを肩から羽織っているだけで全身真っ黒な服を着ており、顔と腕からしか肌の色が見えない。


魔族の瞳には光など在る訳無く、ただただ漆黒に染まっている。


「やっと出てきたんですか…そんなに僕が怖かったんですかね…」


初激により焼け焦げた右肩を抑えながらカインズは立ち上がる。


「いや…接近したほうが…確実に殺せるし、最悪…捕まえられるから…」


その声に力は無いが言っていることが本気なのは分かる。


森の中で異質の存在にも拘らず…なぜこれほどまでに森と同化しているのか…。


カインズは今此処で、目の前にいる魔族を逃がせば二度と見つけ出すことは不可能だと、今までの経験からして予測できてしまう…。


「すみません…魔法の袋を返し貰っても…いいですか。危害は加えませんから…」


ミーナは手に持っていた魔法の袋を渡すか躊躇したが…カインズの空色をした眼を見て安全だと確認する。


魔法の袋を持つ手は震えながらも何とか動かし、カインズの手に返した。


「ありがとうございます…」


カインズは魔法の袋から魔石を1つ取り出すと、穴の開いた右肩に埋め込む…。


その状況を見たアランはすぐさまカインズの腕を止め、叫んだ。


「いったい何をしているんだ!そんなことをしては、君の体が吹き飛んでしまう」


腕をいきなり持たれて驚いたカインズだが、小さく微笑み説明した。


「大丈夫です…魔石には魔力が込められていますから、このようにして傷ついた部位に近づけると魔力の枯渇した部位へ魔石の魔力が流れていくので、回復魔法の様に回復することが出来ます」


魔石の特性について説明している間に、カインズの右肩に空いた穴は綺麗に塞がった。


服装にだけ焼け焦げた穴が残っており、服の穴からカインズの肌が見えている。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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