ヘイヘの思いが打ち込まれた剣
ミーナとアランがエルツの鍛冶屋を訪れた時の事…。
ミーナとアランは初めてエルツの鍛冶屋を訪れて以降、剣以外にも頻繁に武器を買いに来るときがあった。
ヘイヘはミーナと何度もあっているが…まだしっかりと話したことは無く、客と鍛冶師のような関係だった。
「この剣、お前が打ったのか?」
ミーナは剣を手に取り、光に翳して光の反射を見る。
「はい、僕が打ちました。僕にしては良くできた剣だと思っています。1番の自信作ですよ」
ヘイヘは胸高らかに、自身の打った剣の良さを語る。
「一番に重視したのは、使いやすさです。装飾品を一切付けずシンプルな形にしました。そうすることで無駄な空気抵抗を軽減させることが出来ます。剣身の厚みにも気を使いました、分厚過ぎると剣が重たくなり扱いにくくなりますし、薄すぎると簡単に折れてしまいます。そこで硬い鋼と軟らかい鋼を使って強度と軽量化を図りました。大分理想に近づけたんじゃないかと思います」
「そうなのか?それにしては、エルツの物とは比較にならんと思うが…」
ミーナはエルツの打った剣を握り持ち上げながらそう言った。
「ちょ!ミーナ、エルツさんのと比べるなんて…。そりゃ、僕だってエルツさんみたいな剣を打ちたいけど、僕にできる限界がその剣なんだよ…」
ヘイヘは明らかに落ち込んでしまう…。
「お?いや…すまない。別に、この剣が気に入っていない分けじゃない。我々の武器は、体だからな。剣は、おまけのようなものだ。万が一、私の蹴りが届かない相手が現れた時、その相手に蹴りを食らわせられる隙を与えられるよう、少し攻撃の選択肢を増やすことが出来るくらいで良いんだ。その点に関してはこの剣は申し分ない。私が思いっきり降っても壊れないからな」
そう言いながら、ミーナは右手に持っている剣を振りまわす。
剣身に反射した光の軌跡が空中に浮かび上がる。
「ちょっと、そんなに振り回したら危ないよ!」
ミーナの剣筋は一度も剣を握ったことの無い者とは思えないほど綺麗だった。
「でもまぁ、ありがとうミーナ…。その剣には僕の気持ちが込められているんだ。剣は武器の1つ…相手を叩き切る武器でもあり、見方を守るための武器にもなる。僕の打った剣が誰にどんな風に使われるかは分からないけど…。僕の剣を使ってくれている者を、剣が守れるようにって丹精込めて打っているんだ。相手を思う気持ちだけなら、エルツさんにも負けないよ!」
ヘイヘが言った言葉にエルツが反応する。
「お!いっちょ前に言うじゃねえか!俺だってな、自分の作ってきた武器をすべて覚えてんだ、どんな形になろうが、手に取れば俺が作ったってすぐ分かる。どうだ!凄いだろ」
「エルツ、何弟子と張り合ってるんだ。それより柄をだな、もっと持ちやすくできないか?後このナイフも数本追加で買わせてくれ」
「あ~、そうか、獣人には持ちづらいかもな。了解だ、ナイフもすぐ打つ、こっちも持ちやすい用にして置くからな」
「ああ、頼む」
ミーナはヘイヘの打った剣を再度右手に持ち、感触を確かめる。
「思い…思いか…そうか、私がこの剣で人を切るといったらお前はどうする?」
「え…ん…その人が悪い人なら許す!」
「ふっ…。なるほど…悪い人なら許すか。分かった、大切に使わせてもらうよ」
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