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Sランク冒険者:カインズ5

1人のフードを被ったやつも此方に走ってきた…到底逃げられるはずもなく捕まる。


抵抗したが、非力な子供の力ではどうすることもできなかった。


そのフードはめんどくさそうに僕を捕まえる…。


ペンダントに目が行ったのか、僕からペンダントを引きちぎった時…何かが爆発した…。


フードの右手と頭部は吹き飛んだ…。


このペンダントは魔石だったらしく、僕は知らぬうちに魔力を流していたらしい…。


第一段階を超え第二段階に差し掛かるころだった為か光が弱かったのだろう。


その状態でも至近距離で爆発を受ければ、人体など容易に吹き飛ぶほどの威力だった。


当時の僕は理解できなかったが、僕の才能が自分を守ったのだとこの後知ることになる。


僕は運よく下の方で踏みつぶされていたので怪我をすることは無かったのだが…爆発音に驚き耳を塞ぐ。


頭上から降ってくる赤い雨が僕の頬を滴り…震える体を温める。


血を噴出しながら後方へ倒れ込んだ、そのフードは人ではなかった…。


頭部が無い体には垂れ下がる尻尾が付いていたのだ…。


そう考えれば、僕の村を襲った野盗も人ではなかった気がする…。


深くフードを被っていたが…野盗が一瞬フードを外した瞬間を僕は垣間見たのだ。


大きな耳が生えていた…人間の耳とははるかに形状が違う耳…そう、獣人だったのだ。


僕はこの時から重度に獣人を嫌う性格になった。


特にウルフ系の獣人には殺意が沸く…たとえそれが子供だとしても。


冒険者にあるまじき言動だとは分かっている。


しかし、母さん、父さん、村人たち、僕の友達…皆を地獄に叩き落としたのは奴ら…獣人なのだ…。


多くの子供、大人が閉じ込められ…力なく死んでいくのを脳裏に焼き付くまで見た。


見て見て見て…脳裏に焼き付いて…縫い付けられて…もう一生剥がれ落ちることは無い…。


そんな僕の目の前に…あの時とそっくりな獣人が合わられたのだ。


僕の脳裏には理性などと言うストッパーは既に外れている。


腰に付けている魔法の袋から魔石を取り出し、右手で握りしめる。


危うく握りつぶし、僕の右腕がお釈迦になる所だった。


息を殺し…足音を殺し…存在をも殺した…。


獣人どもの死角から魔石を投げ込む。


不意にも投げた瞬間に音が鳴ってしまったのか、奴らに気づかれ…後方へ回避された。


『ドカン!!』


空中で魔石が爆発音と共に爆発し、空間を震わせた。


「な!何だ!」


「父様攻撃です!」


「オラァァ!」


爆発に注意を向けた獣人に向って全力で走る。


完全に奴らの不意を突き、僕は両手で握りしめた銀剣を真上から振りかざす。


「く!!」


身長の高い方には、同然の様に避けられた。


そんなことは…知っている。


奴らの身体能力を調べつくしたのはいい思い出だ…。こんな日が何時か来ると想像していたから…。


既に奴の避けた右側後方へ魔石を投げ込んであり、僕は上手くその場に誘導したのだ。


魔石を起爆させると、その獣人は木葉みたく吹き飛んだ。


どうやら直撃はギリギリで避けたようだが…、奴は爆風によって木に強く衝突し、地面へ倒れ込む。


「グ…、爆風だけで吹き飛ばされるとは…」


獣人は視界が覚束ない様子だが…何とか意識を保っていた。


一度頭を震わせ、一瞬で焦点を僕に合わせてくる。


「…我々は敵では無い!」


奴の言い放ったその一言に、僕は心の底から血が煮えたぎるような悪意を持った。


「ふざけるな…敵ではないだと…そんな戯言、誰が聞くと思ってる」


僕はいったいどんな顔をしているのだろうか…、ケイジュさんの事を怖いと思ってしまったが…どうやら僕も同類だったらしい…。


――この冒険者は確か…カインズ!Sランク冒険者か。なぜこんなところに…


「あなたはSランク冒険者のカインズさんとお見受けします。少しでも話を!」


カインズは聞く耳を持たず、話しているアランに向けて攻撃をやめることは無かった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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