フィーア叔母さん
「姉さんはどうして村を出て行ったんだ!」
父親の所に向おうとしていたフィーアを引き留めるようにスージアは後ろを向きながら、話しかける。
「何?お姉ちゃんがいなくて寂しかったの?」
「そんなんじゃない!姉さんは今いるエルフたちの中で一番強い、それなのにどうしてこんな時、この村にいてくれないんだ!」
フィーアは珍しく声を荒げているスージアを見て一瞬驚くが、冷静になり答える
「こんな時だからこそよ。私は強い者、強い者は弱い者を助けるためにいるの、あなた達は自分で自分の身を守ることが出来るでしょ。魔法力もある弓だってある、大樹が正常に戻っていけばあなた達の魔力も次第に戻るはず、そうすれば自分たちで村を守れるでしょ。世界には自分を守れないほど弱い者も存在するの、だから私が助けてあげないといけないの」
フィーアは淡々と答え、その場を立ち去る。
「姉さん…私たちは弱いですよ…」
悔しそうに俯くスージア。
「は~、歳ばっかり取っても、まだまだ子供ね…父様も昔はあんな人じゃなかったのに…」
フィーアは父の待つ部屋まで重い足を持ち上げながら歩いていく。
「フィーア叔母さん!助けに来てくれたんだ!」
さっきまで倒れていたフリジアがフィーアを見つける。
「あら?フリジアじゃない、もう体は大丈夫なの?」
「うん!魔力が流れるようになったから回復も早くなったんだ!」
「あなた…弓も中々だけど、魔力の回復力も尋常じゃないわね」
「そうなの?私にはよく分からないけど…それよりもヘイヘは!ヘイヘは大丈夫なの?私、途中から記憶が無くて…最後魔法を使ったのは覚えてるんだけど、そこからどうなったか分からないの!」
「安心して、ヘイヘ君ならあっちの部屋で眠っているわ」
それを聞いて安心したのかフリジアはその場に座り込む
「そう…良かった~」
「それにしても、あの魔法中々良かったわよ、その歳にしては上出来」
「えへへ…ありがとうございます。おばさんの魔法を見てからずっと練習してたんだ」
「あなたに魔法を見せたのって相当昔のはずだけどよく覚えてたわね」
「それくらい私にとっては凄かったんですよ。私もあんなエルフになりたいって、思うきっかけを作ってくれたのはフィーア叔母さんなんですから」
「そう…ていうか、私はまだ叔母さんって歳じゃないから」
フィーアは苦笑いで答える
「いや、お父さんのお姉さんで500歳を超えているんですから。オバさんでしょ!」
フリジアは魔法で宙に浮かび、ものすごい速さで外に飛び出していった。
「言葉遣いはまだまだね…」
そしてようやく、父親の部屋までたどり着いた。
「失礼します」
フィーアは扉を軽く叩き、部屋の中に入る。
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