勇者の後退
「どうしたものか…本当にジャスがやられたとすれば、我々人間に勝ち目など…」
王は後方まで無事待機したものの、未だに勇者との連絡が付かず焦っていた。
しかし、傷を負ったジャスが息を切らしながら到着した。
「はぁはぁはぁ…勝手に殺さないでくださいよ…」
「ジャス!その怪我、大丈夫なのか!」
――どうなっとる…勇者がここまで傷を負うか…みたところ、腕は完全に折れとるの…だが淡く光っとるところを見ると、回復中か…
「ちょっと不意を突かれましてね」
苦笑を浮かべながらジャスは壁に背を寄せる。
「どうせまた、引き返せだの軍を引けだの言ったのであろう。その結果、今のあり様になってしまったと…どうせこんなところじゃろ」
ジャスは苦笑が見破られたかと言った顔で頭を掻きながら
「その通りです…」
「お前は事の重大さを分かっていない!あの話を聞いて何人の兵士がやられたと思っておる!」
「すみません、今回は僕の失態です」
「人は失敗するものだが、失敗して良い時と失敗してはいけない時がある。今回は失敗してはいけない時であった。このケジメはお前自身がつけなければならぬ」
「分かっていますよ」
ジャスの顔に一切の曇りは無く、その赤い瞳は闇を打ち払う日差しのごとく燃えている。
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