魔族軍総司令
その頃アランは魔族軍総司令、ザハードのもとに到着していた。
「こんにちは、総司令。二人で会うのは作戦を考えた時以来ですね」
アランは今、魔族軍によって占拠された二アータウンギルド内に居る。
ギルドの一室には魔族の総司令であるザハードがまがまがしいオーラを放ちながら椅子に腰かけている。
「何しに来た犬ころ風情が…」
ザハードは自身の鋭くとがった目をアランに向ける。
「そんな怖い顔しないでくださいよ…」
「きさまの差し金か…アラン」
「何言っているんですか、人間が少し頑張っただけですよ」
「たとえそうだとしても、なぜ我々魔族軍がこの場に留まっておらねばならんのだ!」
ギルド室の机をザハードは叩き壊す。
「以前の作戦ではもう既に人族の王国に攻め入っているはずだぞ!」
相当頭に血が上っているのだろう、額から欠陥が浮き出ており少々息も粗い。
「すみません、我が隊が潜入して門を開けさせる手はずだったのですか、失敗しまして…」
「アラン…きさま、ふざけているのか…この戦いに失敗など許されない。我が魔族が、下等種である人間に負けるわけにはいかんのだ!」
ザハードは椅子から立ち上がり、アランの目の前に立つ。
「人族は脅威になり得ない…脅威になるのは人族が支配している、お前ら獣人どもだ。だからこそ、人族から切り離したというのに…」
怒りつかれたのか、ザハードは再度椅子に座る。
「すみません、最善を尽くしたのですが…」
アランは静かに頭を下げる。
「結局、きさまらも下等種という分けか。もういい…後は我々で動く。さっさとサルのもとに戻るがいい」
「考え直してください!総司令。ただいま我々の部隊も整いましたので、総司令の援護をさせてもらいます!」
「作戦を失敗した、きさまら獣人の援護などいらん!」
「そうですか…」
アランは面を上げる。
「では我々は、この街で待機しておりますので」
と言ってアランは一室から出る。
ザハードに背を向けたアランの表情は笑っていた。
「はぁ…今の所順調だな。ミーナ!」
「は!」
アランがその名を呼ぶと左後方にミーナがこつ然と現れる。
「皆に伝えろ、持ち場につき待機だ…」
「了解」
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