4つの部隊
「どうやら、ヘイヘ君が手紙を無事届けたようだ」
アランは椅子の上に座り、足を汲みながらそう言った。
「そうですか」
ミーナはアランの右隣に立ち、興味無さそうにアランの話を聞き流す。
「何か不満そうな顔をしているなミーナ」
「いえ、そんなことは」
「まさかヘイヘ君がたどり着けないとでも思っていたのかい?」
ミーナの言葉が詰まる。
「彼を侮りすぎだよ、ミーナ。まあ、それはさておき、首相に報告しに行くか。軍の侵攻を始めさせよう。ミーナは皆にそれぞれ指示を出してくれ」
アランは組んでいた足を下し、立ち上がる準備をする。
「了解しました」
「これから忙しくなるぞ!」
アランは椅子から立ち上がるとその場で思いっきりジャンプし天井を突き破り外に出た。
地上にいた魔族の兵士たちが吹き飛ぶ。
「すまない、少し急いているんだ」
アランは魔族兵に軽く手を振りその場を離れた。
魔族はあっけにとられ反論できない。
「父様、できればちゃんとした出口から出てほしいんですけど…」
ミーナは空いた天井を眺め、大きなため息をつく。
「それじゃ、私も動きますか」
ミーナは自身の足を壁に蹴りつけ合図を出す。
その際、壁は見事に抉れている。
大岩が持ち上がり、道ができる。
「頭領との話は終わったんですか?お嬢」
「ええ、父様は魔族軍総司令のもとへ向かった。あなたはそれぞれの部隊の隊長を集めて。集まったらそれぞれに指示を出す」
「了解しました!」
すると獣人の男は壁をぶち破りながら走っていく。
「どうしたら男どもはこんなふうに育つのだろう…」
ミーナは歩きながら思う。
そして、牢屋の前にまで歩いてきた。
そこにはヘイへの妹、メイの姿があった。
「み、ミーナさん!お、お兄ちゃんは…」
「心配するな、お前の兄は生きている。それにお前の兄が死んだとしても、お前を殺すことはないから心配するなと言っただろ」
「そ、そうですけど…」
「あと少しの辛抱だ、我慢してくれ」
「はい…」
ミーナはメイにそういうと会議用の一室に足を運んだ。
ミーナがドアを開ける。
「ミーナさん、全員集まりました」
そこにはウルフ族の獣人が座っていた。
「よし…。それじゃあ、これからのことを話す」
そこにはミーナを含め5人のウルフ族の獣人が集められていた。
凄くガタイのいい獣人2名にアスリート体系の獣人1名、ミーナを含めた女性獣人2名。
「お嬢、私たちを集めたということは始まるのですね」
がタイのいい獣人がミーナに話しかける。
「そうだ…だから、それぞれのまとめ役であるお前たちを呼んだ」
「それで、いったい私たちは何をしたらいいのですか?」
女性の獣人がミーナに質問をする。
「今からそれを話す、焦るな」
「す…すみません」
ここに呼んだのは獣人族が誇る4部隊たちのまとめ役。
それぞれの部隊に特徴があり、体力に優れた部隊、力に優れた部隊、速さに優れた部隊、看護に優れた部隊。
獣人族は事前にそれぞれの適性を考慮し、部隊に割り振られる。
そして、それぞれの部隊が最も得意とする方法で戦うのだ。
「ジェイク率いる、部隊は体力のあるものが多い。その為、前線で出来るだけ、多くの敵を足止めし、敵の侵入を防ぐ」
「了解!」
「リリン率いる、部隊は力があるものが多い。その為、敵の包囲網を突破する際に力を発揮する。ジェイクが足止めしている中、きっと奴らも壁をつくってくるだろう、その壁を一気にぶち破る」
「了解です」
「ショウ率いる、部隊は速さが持ち味。その為、開幕の一矢として使う。その後は情報の伝達役と負傷者の救出を行ってもらう」
「了解っす!」
「マーレア率いる、部隊は看護を行ってもらう。ショウの部隊が連れてきた負傷者を治療するのがマーレアの仕事だ」
「分かったわ!」
「私は、父様の傍で護衛として動く。そして、父様の命令を伝達するのが主な私の仕事だ。伝達する際は私が、ショウに伝える。そして、ショウが皆に伝えることにする。主な作戦は以上だ。それぞれ自身の力を存分に発揮してほしい。それじゃ、皆自身の部隊に今の作戦を伝えろ、そして持ち場に付け」
「了解!」×4
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