勇者の友達
「はは、そうかもね」
勇者さんはそう言って笑う。
「僕こう見えて友達が少ないんだ、たった1人の女性だけが僕の友達。そこで、もしよかったら僕の友達になってくれないか、ヘイヘくん」
いや…こう見えてって言われても、結構友達少なそうな性格してますけど。
「と、友達ですか!僕が、勇者さんと…ぼ、僕なんかで良いんですか…」
「ああ、君となら友達になれる気がする」
勇者さんが僕の友達になりたいって…どういうこと、何か裏があるのかな…
でも、勇者さんと友達になれる機会なんてめったにないだろうし…友達くらいなら。
「それじゃあ、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
そう言って、僕たちは握手を交わした。
「まだ僕の名前を言ってなかったね。僕の名前はジャスよろしく」
「僕の名前はヘイヘです、よろしくお願いします」
「友達なんだから敬語はやめてくれると嬉しいんだけど」
いきなり、勇者さんを呼び捨てにするのも何かな…でも、勇者さんがそう言うなら仕方ない。
「そ、そうですか…わ、分かったよ。でもどうして僕の名前を知ってたの?」
ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「友達に聞いたんだ」
「友達?」
友達ってさっき言ってた、女性のことかな…
「君も合っただろ、そして、獣人の子供を助けた」
「もしかして、あの人がジャスの友達!」
「そう、僕が訪れた時に話を聞いてね。それで心配になって、王国の方に戻ったら君が襲われているところに遭遇したんだ」
「そうだったんだ…」
僕が助かったのは彼女のおかげだったんだ。
1度ならず2度までも彼女に助けられるなんて。
「それじゃあ、僕は今集められている兵士のもとへ行ってくる。戦う前に少しでも士気を高めておきたいからね」
「分かった。僕は先に王国を出て、大切なもの所へ向かうことにする。手遅れにならないように」
そして僕たちは分かれた。
―ジャスさんなら大丈夫、きっと勝ってくれるはず僕はそう信じることにした。
「よし、これで僕のしなければいけないことを達成した。後は無事に帰るだけだ。敵のど真ん中に帰るのはとても怖いけど、メイが待ってるんだ、僕だけ逃げ出すなんてできない。どうせ逃げてもあの嗅覚と運動能力には勝てないだろう、ならば、敵のど真ん中に帰ってやる」
僕は門から王国を出た。
出るときに兵士に呼び止められたが、何とか出してもらえた。
僕は森に入る、来た道をそのまま帰ればたどり着けると思うが、万が一すでに魔族が進行していたらきっと鉢合わせてしまうだろう。
その可能性を踏まえ僕は大きく迂回しながら戻ることにした。
「ラーシュ君達もきっと避難したはずだ。ラーシュ君必ず迎えに行くから、どうか待っていてほしい」
迂回しながら進んでいると、不思議な川があった。
「何だこれ、川が逆の方向に流れてる、どういう事なんだ…」
その場所は決しての山の近くではないけれど少し傾斜のある部分だったため、不思議に思った。
「川が上から下じゃなくて、下から上に行くことなんてあるんだろうか」
不思議でしょうがなかったが、今は時間がないため水だけ汲んで先を急ぐことにした。
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