パーティーの大切さ
「僕だけでもなんとかこなさないと」
僕は焦っていた。
先ほどから何か様子がおかしい…上手く進むことが出来ない。
ラーシュ君を預けて、僕だけで何とかするつもりだったが、実際のところ相当厳しいことが今の時点だけでも分かる。
目の前にはゴブリン、それほど強くないが、さっきまで全く出会わなかった魔物だ…どうして今になって。
きっとラーシュ君が先に気づいてさりげなく教えてくれていたんだ。
このまま、ゴブリンと戦ってもいいが…このようなことが続くと僕自身の体力も時間もなくなっていく。
僕はとりあえず目の前のゴブリンは倒すことにした。
ゴブリンの体長は約100㎝程度、人の子供とほぼ同じ大きさだ。
しかし、当然人の子供よりも強いため油断は禁物。
体はやや緑色をしており鋭い歯、鋭い目、ボロボロのパンツを履いている。
2体のゴブリンはそれぞれ僕を睨みつける。
「相手は2体…ゴブリンはさっきのウォーウルフよりも弱いから…僕だけでも大丈夫だと思いたい」
1体のゴブリンが短いナイフを持っており、もう1体のゴブリンが弓を持っている。
僕は魔剣を構え、対抗する姿勢をとる。
すると、ナイフを持ったゴブリンが一気に接近し、それを援護する形で弓が飛んでくる。
すごく早い連携だ…僕を確実に殺しにかかってる。
「く!」
僕はギリギリで弓をかわし、飛び込んでくるゴブリンを受け止める。
小さい体ながら中々の力で押し込んでくる…
ウォーウルフの連携もつらかったが、ゴブリンの連携も僕1人ではなかなか強い。
ナイフを持ったゴブリンの相手をしながら、もう1体のゴブリンにも注意しなければならない。
「こんな時、ラーシュ君がいてくれたら…」
そう思ったが今はラーシュ君がいない状況…
「これじゃあ、僕がラーシュ君に頼っていたみたいじゃないか…このままじゃダメだ僕自身が強くならなきゃ…」
ゴブリンは僕の頭や、心臓ばかりを狙いに来ている。
知っているのだろう人の弱点を、変幻自在な動きをしながらも最後な同じ頭や心臓を狙ってくる。
これはゴブリンの癖なのか…それとも、僕が舐められているのか…どちらにせよ。
「狙ってくることが分かれば…」
僕は、ナイフを持ったゴブリンをかわし、弓を打ち終わったゴブリンに一気に駆け寄る。
弓を持ったゴブリンは慌てた様子で、弓を構えるが照準が合わず僕の頬を掠めた。
僕は動揺することなく、魔剣でゴブリンの左側から首をはね上げた。
首をはねたことでゴブリンの体は消滅し、魔石だけがそこに残る。
「よし!何とか1体…」
僕はその時油断してしまった。
その油断をもう一方のゴブリンが見逃すはずもなく、僕に飛び込んでくる。
咄嗟に頭と心臓を庇ったが、ゴブリンのナイフは僕の左腕に傷を付けた。
「ぐ!」
左腕から生き物特有の真っ赤な血が流れだす。
僕の服を僕の血が鮮血に染めていく…
すぐさま、傷口を押さえ止血を試みるが…、ゴブリンが見逃してくれるはずもない。
ゴブリンの攻撃を避けながら自身の服を裂き、包帯のようにして止血する。
血が流れたせいで少し頭がくらくらするが、この程度なら問題ない。
僕はその場に膝をつき、倒れ込んだふりをしてその場に跪く。
ゴブリンはこの時を狙っていたと言わんばかりにとびかかってくる。
ゴブリンの横腹が開いたところを僕は、逆に狙い撃ちにし導体を薙ぎ払った。
「はぁ、はぁ、ゴブリン2体にこのありさまじゃ、さっきのウォーウルフは相当ラーシュ君に助けられてたんだろうな」
僕はできるだけ慎重に、そして早く王国に付けるように努力した。
ラーシュ君と離れて10日ほどたち、王国が見えてきた。
「やっとだ、やっとたどり着いた。早く…早くこの手紙を王様に渡さないと」
僕はもう限界に近い状態だった。
度重なる恐怖の中、今まで何とか生き延びてきたが、冒険者がどうしてパーティーを作るのかようやく理解した。
「もう少しで森を抜けられる…」
そう思っていた時、とてもいやな視線と身が凍るような殺気に襲われた。
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