魔力操作
「フリジア…僕に枝の伝い方を教えて。そして少しでも早く王都へ向かおう」
「そうこなくっちゃ! それじゃあ早速特訓と行きましょう」
フリジアと僕はこんな状況にもかかわらず、森の中で授業を始めた。
「えっと…フリジア、これはいったいどういう状況なんだ…。僕たち勉強している場合じゃ…」
「雰囲気よ雰囲気! 私たちエルフ国はね凄く教育に力を入れているの、凄く長生きだから教育の力が凄くよく生きてくるのね。国民全員が義務教育なんだから」
フリジアはなぜか即席で作っただて眼鏡をかけ、土魔法で作った大きな粘土板を使い、何か文字を書いている。
僕は丸太に座り、フリジアが何を書いているのかを考えていた…。
「はい、ヘイヘ君。これは何を意味しているでしょうか?」
粘土板には気持ちが悪い生き物と周りにハエがたかっているように見えたため、僕は…
「えっと…死体が土に帰るまで…」
「ブブー! ってこれのどこが死体に見えるのよ! 目がおかしいんじゃないの」
「いや…どう見ても…崩れかかっている死体にしか…」
「違う、これは私達エルフまたは人間の魔力の源を表しているの」
「は…はぁ」
「いい、私達エルフは体の中で魔力を作り出すのが凄く得意な種族、だから比較的魔力量は多いし、長生きできる。人族は凄く魔力を作り出すのが苦手な種族、だから周りの魔力を自身に取り込んで自分の魔力に変換するのが得意な種族なの」
「うん…」
「つまり…、エルフ族は魔法が得意で、人族は魔法が余り得意ではないと言える。だからと言って、人族が魔法を使うのが下手という訳じゃない。人族は凄く器用な人が多いから自分の少ない魔力をどうやって上手く使うのかを長年研究してきた種族なの」
「はい」
「私たちは魔法を使う時意識しないと結構な魔力量を使ってしまう傾向にある。それは自分の体に魔力が多いから。でも人が大量の魔力を使っていたら一瞬で魔力枯渇症を発症して戦闘中ならもう大きすぎる隙が生まれてしまう」
「つまり…どういうこと」
「つまり、一番に覚えてもらいたい技術として、魔力の制御。どれだけ少ない魔力でやりたいことをやるか。これを身に付けてほしいんだ」
「はぁ…まだよく分かっていないんだけど」
「例をあげるなら、焚火をする時に薪に向って『ヘルファイア』なんて使わないでしょ。大体『メラ』とか『ファイア』くらいの火力が丁度いい具合に薪を燃やしてくれるから、もしこの時『ヘルファイア』なんて使ったら辺り一帯が火の海になってしまう。今は魔法の火力で例えたけど同じで、今からやる木の枝渡り、これには結構な魔力操作が必要になってくるの」
「まぁ…見てたら分かるよ。あんなにポンポン木の枝を簡単に渡れるわけないからね…」
「木の枝渡りで主に魔力を使うのが…ここ、足裏の部分ね、それと体感」
「うん…」
「魔力を足裏に溜めて、木と足裏をくっ付けるイメージを持つ。体感に意識して、木の枝に立っていても重心をぶらさない用に注意して、次の枝へと飛び込む。この飛び込む際にタイミングよく足裏の魔力を外さないと体が伸び切らず飛び移る前に落っこちちゃうから、注意して」
「何となくやる工程は分かったけど…こんなのできるのか…」
「まずは実践あるのみ。とりあえず魔力を操作するところからやってみましょう」
僕は空気中の魔力を取り込んでいく。
どうやら僕はこの工程が得意らしく昔から練習していたおかげで普通の人より早く魔力を溜められる体質になっていた。
「へぇ…ヘイヘ君って魔力を溜めるのが速いんだね。もしかして誰かに教わってた?」
「いや…瞑想が魔力を溜めるのに良いって…東国の人に聞いてさ。その時はまだ危険すぎて練習できなかったんだけど、この魔剣のお陰で練習できるようになったから毎日魔力を溜めては魔剣に吸わせるって言う生活をしてたんだよ。ただ…自分で魔力をもっとうまく使えればとは思ってるんだけど。僕にできるのは『身体強化』みたいな魔力を一部に留めておくくらいしかできなくて…」
「そうなんだ、なら話がはいじゃん。魔力操作さえ覚えてしまえばもっと楽に魔力を使えるよ。とりあえず掌に魔力を溜めてみて」
「う…うん」
僕は取り込んだ魔力を掌に集めるよう意識する。
すると魔力が掌に集まってきた。
「うん…体の中の魔回路は問題なさそうだね…」
「魔界牢? 何それ物騒な名前だね」
「魔界牢じゃなくて魔回路、魔力が通る道。この道が詰まってるとか狭すぎる太すぎると色々と問題があるのよ。ヘイヘ君のはザ普通って感じだから問題ないね」
「普通で何よりだよ」
そうこう言っているうちに、掌には相当量の魔力が集まった。
「良し、掌に集めた魔力を次は肩付近に持ってきてくれる」
「え…今せっかく集めたのに…」
「いいからいいから」
僕は言われた通り掌に溜まった魔力を何とか肩まで移動させた。
「はぁはぁ…これ結構つらいんだけど…」
「うん、大体90%くらいかな…10%はまだ掌と腕に残っちゃってるね。まぁ合格点かな。それじゃあ、肩にある魔力を次は膝まで持って行こうかその後足裏へと持って行く」
「え…腕から肩までこんなに辛いのに、さらに下まで…」
言うなればずっと力を入れているような感覚。
その場に留めておくのはそれほど難しくない、魔力を置いてある感覚だからだ。
でも…。
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