ヘイヘとフリジア ワイルドボアを解体
「はぁはぁはぁ…ッツ! フリジアそっちに行ったよ!」
「了解!」
フリジアは、木の上からワイルドボワの脳天を正確に矢で打ち抜く。
まだ大きくなる前のワイルドボワを仕留めた。まだ子供だ。
ヘイへは素早い手つきでワイルドボワの後ろ脚に紐を結び付け、高い木に吊るす。
首元を掻っ切り、体内の血液を排出させる…いわゆる血抜きを行った。
「はぁ…子供でもこんなに苦労するのか…親が居なくてよかった…」
「ちょうど親離れした時だったんでしょうね。可愛そうだけど…私たちも生きて行かなきゃいけないしっと!」
木から華麗に飛び降り、フリジアは草の生い茂る地面へ着地する。
「それにしても…結構遠いのね。獣人国って」
「そうだね…まだ半分も移動してないと思う」
「ひえ~、こんなに歩いてまだ半分も移動してないの…」
「いやいや、凄く早いよ。僕一人だったら何倍もここまで来るのに時間は掛かってた。1人と2人はやっぱり違うよ」
「うんうん、もっと感謝してくれてもいいよ!」
「調子のいいエルフだな…」
ワイルドボワの毛皮をはぎ取り、内臓…頭を取り除く。
「うっぷ…」
「あら…ヘイヘ君はこういうの苦手?」
「ま…まあ、得意じゃないかな…。フリジアは余裕そうだね…エルフなのに…」
「まあね…私エルフだけど肉だって食べるし。逆にお肉を食べないでいられる方がおかしいって思うし。何でほかのエルフたちはお肉食べないんだろうね…。あ、でもフィーア叔母さんは昔にお肉食べてたよ」
「へぇ…エルフは体の都合上でにお肉を食べられないのかと思ってた…」
「いやいや、体の構造は人間と何ら変わらないよ。ただちょっと魔力が多いってだけ」
「確かに…フリジアは全然疲れてる感じがしないね。僕はもうヘトヘトなんだけど…」
「まぁ、森に居れば自然の魔力を吸収できるし、魔法も使ってないからね。今の所はまだ余裕あるよ」
「便利な体なんだね…」
「ん~、そうでもないよ。環境の汚い場所に行けば体調はすぐ崩れちゃうし、魔力を使い果たせばただの置物になっちゃう…。流れる魔力のせいで筋肉は付きにくいから剣を使うのは難しい」
「そうなんだ…やっぱり誰にでも完璧じゃない点はあるんだね」
「そりゃそうだよ、完璧な生き物が居たらこの世界はそいつらの手に落ちてるって。私たちは完璧じゃないからこの世界で生きていけるんだよ」
「はは…確かにそうかもしれないね」
フリジアは僕と話をしながらワイルドボワの解体を行っていく。
四肢と胴体に別れ、食べやすい大きさのブロックに切り分ける。
「フゥ…結構な量になったね。まだ子供なのに…ありがたいわ。私達なら3日は食の方大丈夫そうね」
「そうだね…でも、腐ったりしないか。このままの状態で置いてあったら」
「そこはちゃ~んと考えてあるって」
フリジアは自信満々に胸を張ると、掌をワイルドボワの肉に翳し、呪文を唱えた。
「『フリーズ』」
するとしだいに霜が見えだし、お肉は岩のように固まってしまった。
「これで大分もつようになったわ。後は魔法の袋に入れておけば完璧ね。それじゃあ今日使う量以外はしまっちゃうね」
「うん、よろしく。僕は薪でも拾ってくるよ」
「周りに警戒しながら、集めないとだめだよ」
「うん、ちょっとした作業にも気は抜かないさ」
フリジアは残りの内臓を地面に埋め、毛皮と牙も肉と同様に魔法の袋に入れ後処理を終える。
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