ホムゴブリンとの戦い
「レオンさん! 僕も戦えます! 僕も戦えば少しは皆の役にたてるはずです!」
ラーシュは自分が戦えるとレオンに主張するも…
「黙ってろガキ! これは俺たち冒険者の戦いなんだ! お前みたいなやつは俺達に守られて当然なんだよ!」
レオンはハッキリとラーシュに言った。
口が下手なのか…それとも頭に血が上ってしまったのか…。
だが…レオン達はリーシャとラーシュを守るために今ゴブリン達と戦っている。
東国までリーシャとラーシュを護衛するのは、レオン達の依頼達成条件である。
…そしてこれから東国へ向かうため、ラーシュに傷を負わせるわけにはいかなかったのだ。
ゴブリンはレオンの見る限り、森を埋め尽くすほどの数が存在している…。
「クッソ! レオンさん、このままじゃホントにやばいっすよ! この鈍らもそろそろ限界っす!」
アインは、ゴブリンの首を斬り裂き続けている。
しかし、斬りつけるほど剣身の刃は鋭利さを失っていく。
「こっちもだ…やはり手入れされていない剣を使うとこうなるから嫌なんだ!」
ニコラはゴブリンに剣を突き刺し心臓を抉る。
その際、剣にヒビが入ってしまった。
「お前ら、口じゃなく手を動かせ! 喋る余裕があるならもっとゴブリンを切り伏せろ!」
レオンの怒号が飛ぶ。
――だが…アインと二コラの言い分も確かだ…。このままだと俺たちはゴブリン達に押し切られる。
レオン達は、どれほどゴブリンを斬ったか分からない…。
レオンとエジンの後ろにいる5人は、ゴブリンの体液によって元の服装がどうなっていたか分からないほど汚れていた。
剣を持つアイン、ニコラ、ウィンチの掌は剣を振りすぎたせいか皮はめくれ、柄に血が滲んでいる…。
レオン達はゴブリンの錆びたナイフで斬られた各箇所から赤い血液を流し…、ゴブリンの体液と混ざり黒く変色する。
リーシャの回復によって、レオン達の傷口はしだいに塞がって行く。
しかし…血液の量は増やせないため…メンバーは重度の貧血に襲われていた。
「はぁはぁ…おい…どうした、もう終わりか。お前の子分たちは皆、石ころになっちまったぞ…」
レオンは数メートル先に立っているホムゴブリンを挑発した。
辺り一帯を埋め尽くすほどいたゴブリンの数はレオンの見える範囲に10匹程度まで減っていた。
「レオンさん…あんまり挑発しないでくださいよ。また同じだけゴブリンを呼ばれたら、マジでもたないっすからね…」
ホムゴブリンは現状をすぐさま判断し。
同じ戦法を取らず、一瞬で戦法を変えた。
ホムゴブリンは何かを指さす。
すると、他のゴブリンはホムゴブリンの指差す一点を目掛けて一斉に攻撃を繰り出した。
ホムゴブリンは何を狙っているのか全く分からない。
ゴブリン達が一斉攻撃を繰り出してきたのは、ホムゴブリンに戦法が無いと考えられる。
ホムゴブリンの悪あがきだと…レオン達は思いこんでしまう。
レオンとエジンは掛かってくるゴブリンをすべて切り裂いた。
…とうとう、レオン達は眼で見える全てのゴブリンを切り伏せた。
しかし…ホムゴブリンはけらけらと笑うだけで、何も危機感を感じていなさそうだった。
同じ種族の仲間である、ゴブリンを地面を埋め尽くすほど斬りつけているのにも拘らず、そいつは笑ったのだ。
…頭に血が上ったレオンは一気に距離を詰め、ホムゴブリンの首を狙う。
しかし…両脇の茂みには弓を持ったゴブリンが居たらしく、弓の弦を思いっきり引いている。
――しまった! …俺の方が挑発に乗っちまうなんて!
ゴブリンはそのまま矢を放なち、レオンに矢が当たる瞬間…。
「レオンさん! 下から何かが来ます!」
ラーシュは何かを感じ取ったらしく、レオンに報告した。
レオンは矢をかわし一瞬で地面を蹴り上げ跳躍する。
レオンが跳躍した瞬間、ラーシュの言った通り…地面から見覚えのある姿が現れた。
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