村を囲う魔物
「ど…どうしたのラーシュちゃん?」
「気づきませんでした…」
「え? 何に…」
「すみません、リーシャさん…囲まれてしまったみたいです」
「え? それってどういう意味…だって、あの4人が捜索して大丈夫だって…まさか裏切ったとか…」
「いえ…違います。あの4人よりも巧みなチームワークを持った魔物だったんです…」
「つまり…魔物に囲まれてしまったの…」
「はい…どうやら奴らは闇に紛れていたのでしょう」
「そんな…」
ラーシュが辺りを警戒している時…、甲高い音が鳴り響く。
「ピーピー!」
――2回指笛が鳴った、つまり緊急事態…早く出口まで戻れと…。
「リーシャさん早く戻りましょう!」
「ええ、急いだほうがよさそうね」
リーシャたちは最も早くエジンの元へ到着した。
「エジンさん、大丈夫ですか!」
「ああ、今のところはね…だが、ちょっとまずい事態になったな…。厄介な相手に目を付けられたみたいだ…」
リーシャの目線の先に一体の小人が立っていた。
――小人…いやあの姿はゴブリンだ…。
「ゴブリンですか…」
「ああ、そうみたいだね…。この村は完全に包囲されてしまっているよ…。なぜすぐに襲ってこないのか不思議なくらいだ」
リーシャたちが到着してすぐ、他の4人もまたエジンの元へ集合した。
どうやら収穫があったらしく、4人とも腰に剣が掛けられていた。
さらに弓も手に持っている…。
「今すぐこの村から退散するぞ。このままだと完全に包囲される」
「だが…もう既に包囲されているじゃないか」
「いや…まだだ、ゴブリンがこれだけの数で行動するのは珍しい…。どこかに指揮官が居るはずだ。そいつの姿が見当たらないとすると…まだ指揮官はこの場にいない可能性が高い。包囲を抜けるには今しかない、すぐ行動する。リーシャとラーシュは俺とエジンの後ろへ、3人は2人のサイドと後ろを頼む」
「分かった…」
「了解」
「ああ…任せろ」
ダイヤモンド状になりゴブリンの薄い装甲を突っ切る作戦をとる。
――何事もないままゴブリンの群れを突っ切れればいいのだが…。
レオンとエジンが先頭に立ち、一気に走り込む。
ダイヤモンドの陣を崩さないようリーシャとラーシュも全速力で走った。
レオンとエジンは目の前にいる数体のゴブリンを切り伏せ、そのまま森の中へ直進していく…。
しかし…
「クッソ! ゴブリンの数が思ったより多いぞ!」
薄いと思われていたゴブリンの装甲をレオン達は突破したと思っていたが…直進した先に数10体のゴブリンが待ち構えていた。
「おい! レオン! また俺たちの周囲を囲まれているぞ!突っ切れないのか!」
レオン達は村を脱出し、森に直進したのだが…ゴブリンに堰き止められ、進行を防がれた。
その間に、村を囲んでいたゴブリンはリーシャたちの方向へ集まったため、完全に囲まれてしまった。
「これだけの数が統率、連携を取っているだと……。やはり何かによって連携を取っているのか…ラーシュ! 何かゴブリンとは何か違う存在を感じないか!」
「い…いえ、何も! さっきからずっと何も感じないんです!」
――ラーシュの感覚も反応しないか…。それはきっと、ゴブリンが感情を殺し暗殺者のように育てられてきたのだろう。そしてこの村を襲うのはゴブリンの意思じゃない。ゴブリンをまとめる親玉をさっさと見つけないと…。
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