村の散策
「やっぱりあったか…右は大道に進む方向、つまり左に行けば村があるかもしれない。ラーシュ9時の方向は何か感じるか?」
「いえ…特には」
「よし、一度村に立ち寄ってみよう。武器や食料が残っているかもしれない」
レオン達は細道を歩いていると、数100メートル先に建物を発見した。
「あったか…よし、村の周りを確認。それが終わりしだい、村の中に入る。ラーシュとリーシャはエジンの傍にいろ。今のところ一番安全な場所だ。エジンは2人の護衛、俺含む残りの4人はそれぞれ別の方向から村の辺りを確認する。万が一この村に盗賊か野党が罠を張っていた場合積みだからな」
「了解」×4。
リーシャとラーシュはエジンの後ろに立ち、他のメンバーの無事を祈る。
――初めは悪い人たちだと思っていた。でも…行動を共にしていれば分かる…。彼らは根っからの善人であると…。
「2人とも出来るだけ僕から離れないで。僕の剣が届く範囲に…」
「は…はい」
そして少したち、全員が元の位置に戻ってきた。
「レオンどうだった? 何かあったのか」
「いや、特に何もなく安全そうだ。気は抜けないが、村の中に入っても大丈夫だろう。ただ…出口だけは確保しておきたいからな、エジンは万が一のために脱出通路の確保をお願いしたい」
「ああ、任せておけ」
「何かあったらすぐ連絡しろ。分かったか、万が一村人がいた場合は、一度拘束し無力化する。ホントは殺すのが手っ取り早い…だが元冒険者として社会のルールは守らないとな…」
レオンは頭を掻きながら俯く。
「よし、村の中に侵入だ。食べれそうな食料とある程度使えそうな武器があれば戴いて行こう。何があるか分からない気を引き締めていけ」
リーシャたちは東国のある方向に出口を設け、万が一何かあった場合はその出口まで逃げる、というルールを作った。
「リーシャとラーシュは2人1組で行動、俺と3人はそれぞれ1人ずつの行動だ。俺の指笛が聞こえたら散策は終了だ。また、何かあった場合は指笛を2回鳴らすしっかりと覚えておけ。それじゃあ、村の中に入るぞ」
6人はレオンへ付いていき、そのまま村の中心部で4方向に分かれた。
出口から一番近い場所はリーシャとラーシュの担当…最も遠い所はレオンの担当だ。
――何か見つかればいいのだけれど、まずこの村に人影が全くない…すごく不思議。
村にまで東国に逃げろという撤退の命令が出たのだろうか。
村を調べれば謎も解決されるかもしれない。
リーシャたちの捜索している方角にあったのは小さな民家だった。
数軒の民家がその場に立っている。
一階建ての民家が多く。リーシャはどこから回ろうか決めあぐねていると…。
「リーシャさんあの家にしましょう。一番きれいです」
「そうね、確かに新築そうだわ」
そこには他の民家とは違い、まだ立てたばかりなのだろうか…とても綺麗な民家が立っていた。
リーシャは綺麗な民家のドアを握り、一気に扉を振らく。
民家の中を確認し…何もいないことを確認した後、2人は中に入った。
「うん…綺麗な品ばかり、本当に住みだして少ししか経ってなかったのね」
食器棚の上には男性と女性の肖像画が置かれており、察するに新婚だったのだろう。
「食器棚、タンス、ベッドの部屋…特に必要な物は何もないなぁ…」
リーシャは何も見つけられなかった。
しかし、ラーシュは何かを見つけたようだ。
「リーシャさん見てください」
リーシャはラーシュの声がする方向を向くと、そこには少量の干し肉と葡萄酒を持っているラーシュがいた。
「干し肉と葡萄酒です。中々いい食料じゃないですか」
「そうね、少しでも食料が手に入ったのは大きいわ」
その後もリーシャとラーシュは民家を捜索したが…この二つ以外何も見つけられなかった。
「は~、武器の収穫は無し…。他の皆に期待するしかないわ…」
リーシャはラーシュに話しかけようとした時。
ラーシュはいきなり臨戦態勢の姿勢を取る。
両足を大きく開き、腰を低い体勢にして、右手にはナイフが握られている。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。
毎日更新できるように頑張っていきます。
よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。




