森中での野宿
前に1人、両側に2人ずつ、後ろに1人…ラーシュを残りの6人で囲んだ陣形だ。
これでどの方向から敵が来ても、一応対応は出来る。
「レオンさん…2時の方向に嫌な感じがします」
「分かった…よし、皆10時の方向に移動するぞ」
このようにしてラーシュが少しでも嫌な感じを覚えた時、レオンに報告したあと、進む道を変えるという戦法をとった。
「中々いい感じだな…。ちょくちょく魔物や動物は現れるが、どれも対処可能な雑魚ばかりだ」
「ああ、『探索魔法』でも使っているんじゃないかってくらい順調だな…。だが、こんな時こそ身を引き締めないと足元を掬われるぞ…」
「分かってるよ…。そんな当たりまえの助言、俺は元冒険者だぞ」
「ああ…そうだったな…」
――大分進んだだろうか…。多分半分は超えているはず…、直線距離を歩いているわけではないので実際に歩いている距離は長いだろうが…15キロメート地点を抜けたはずだ。
リーシャ達は、深い森の奥にまで進んできていた。
「よし…今日はここら辺で野宿しよう」
「ここでですか…」
「ああ、ここならすぐ敵を見つけられる」
「分かりました」
その場所は少々周りと違っていた。
周りの木々との隙間があり他の生き物を見つけやすい、広い空間。
「それじゃあ俺たちの5人で、交代しながら見張りだ。2人は先に寝ててくれ」
「ええ、分かったわ」
「よろしくお願いします」
リーシャとラーシュは先に眠りにつき体力の回復を最優先にした。
2人が寝ているのを確信した5人は何かを話し合っている。
「なぁ…俺たちだけで逃げないか。この2人に付き添う意味もないだろう…」
パーティーの1人、ウィンがレオンに言った。
「ああ…俺もそう思っていたが…、ここまで来ちまったら、もう引き返せねえ。タルピドゥのときは止めねえと俺らが食われてたから仕方なく手を貸したが…まさか半分までこれるとはな…」
「このちびっこのお陰なのか? たまたま危険から避けられているのか…どちなんだ?」
「さぁな…実際運がいいと言えばそれだけだが、ガキのお陰と言えばそうなのかもしれない。それを証明する方法は何もないからな…」
「それじゃあ、レオンはこのまま2人と一緒に行動するって言うんだな…」
「ああ、そのつもりだ。それにあと少しでお目当ての物が手に入る可能性だってある…」
「何だよ、お目当ての物って?」
「あまり期待しない方がいい。…だがこの辺りにある木々は少々いびつだと思わないか?」
「あ…ああ、確かに言われてみればそうだな…。無駄な枝や余分な木は全く生えてないと思った…あ!
もしかして…村か…」
「ああ、この近くに村がある可能性は高い。空から探せたら楽なんだがな…。もう一度エジンをぶん投げるか…」
「嫌だよ、あんな経験…もう二度とごめんだね…」
エジンは顔を背け、批判した…。
「まぁともかく、近くに村があればそこで食料の調達と武器が手に貼る可能性は十分ある。だが過度な期待はするな…。いつも言っているが、期待は絶対に越えられない壁だ。期待するとハードルは上がる、そのまま上げたハードルは段々と高くなっていき、やがて奇跡に近いような期待をしてしまうようになる。そして現実を見た時、別に悪い物でもないのに、ハードルが高まっているせいで不満が生じ気分の低下をもたらす。それならばいっそ、過度な期待をしなければ得られた現実だけを見て、その後を決定できる」
「はいはい…分かってるよ」
「だから俺は誰にも期待してないし、さっきの話も本気にしていない。ただ、4人の力は信用してる。無駄だったかもしれない冒険者時代を何とか一緒に乗り越えてきたパーティーメンバーだからな」
「ああ…期待と信用は別物だからな…」
「…」
いきなり話が続かなくなる。
少々こっぱずかしい話をしていたせいか、次話の内容が出てこなかったのだ。
「あ…じゃあ、俺が初めに見張りをするから、次にエジン、ウィン、二コラ、レオナルドの順で星が30移動したら交代しよう」
「ああ、分かった。じゃあ…俺たちは少し眠るわ…見張り頼んだぞ、リーダー」
エジンは捨て台詞を吐きすて、そのまま眠りについた。
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