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Re:フレンドワーズ ~家名すらない少年、ディストピアで生きていく~  作者: コヨコヨ
リーシャ&ラーシュ:避難偏

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『タルピドゥ』…土龍擬き

「今、人族が戦争をしているのを、レオンは知ってるんですか?」


「ああ、一度全冒険者に招集が掛かってたからな。戦争に行くやつと行かないやつで半々くらいだったぞ…」


「それはいつごろの話なんですか?」


「3日前くらいだな…」


「3日前って…じゃあレオンたちはその時までギルドに所属していた冒険者だったわけね…」


「そうだ、『戦争に行かないやつはギルドから追放する』と言われた。俺たちはそこまで王国に忠義を尽くすようなタイプじゃない。それぞれの出身地は王都から離れた田舎出身者ばかりだ」


「そうだったんですか。…じゃあ今、戦争がどうなっているか知らないですよね…」


「どうなっているんだろうな、勝っているのか負けているのか…どちらにせよ俺たちにはもう、失うものは何もない」


「そうですね…」


順調に進み続けて10キロメート地点の前方で動きはあった。


「リーダー、この先で多くの動物が死体になって転がってる。傷跡を見ると、爪で切り裂かれたような形跡があるから、多分人以外の手によって殺されたんだと思う。けど…まだ断言はできないけど」


「どれくらい腐っていた? それともまだ新鮮だったか?」


「血液の状態を見ると…まだ新しい方だったから…それほど時間は経ってないと思う」


「そうか…要警戒だな。いったい何のために殺したんだろうな…食い荒らされている形跡は無かったのか?」


「はい、ただ爪で切り裂かれた状態で地面に転がっていただけです」


――理由が分かれば対処できるんだけどな…。何も分からない状態では仮説を立てて警戒するしかできない。魔物の仕業なんだとしたら…なぜ食い散らかしていかなかったんだ…。


「仕方ない、死骸のある場所を避けながら進もう。もしかしたらまだ動物を殺した原因がいるかもしれねえからな…」


「了解です…」


「いろいろ考えているんですね。無表情な顔からは想像できませんけど…」


「顔は関係ないだろう、何か文句でもあるのか…」


「いえ、感心していただけですよ。普通にギルドで働いていたあなた達は優秀な方たちだったのでしょうね」


「ランクが上がらなければ意味はない。数年間同じランクでやり続けたが…ランクは上がらなかった…。ちょうど辞め時だったんだよ…」


「それで冒険者をやめて、野盗なんかになってしまったと…情けない話ですね」


「そうだな…結局俺たちに出来る仕事なんて、野盗とさほど変わらなかったんだよ」


「……」


4人で森を歩きながら進んでいると、ラーシュは異変に気づく。


「リーシャさん、おかしいです…さっきから全く気配を感じません。僕の感覚は鈍っていますが、この地点に来る途中までこんな状態にはなりませんでした…」


「私たち以外に、人や魔物、動物がいないってわけね…」


「はい、そうです…」


「俺たちを避けてるんじゃねえのか? 恐れおののいてよ」


「いえ…動物は逃げるかもしれませんが…魔物は簡単には逃げませんよ。…は…!! 止まってください!!」


ラーシュはいきなり、リーシャ達を呼び止める。


そして、地面に耳を当て、地中内の音を何とか聞き取ろうと意識を集中させた。


『…………ドドドドド』


「!!」


一気に上体を起こしたラーシュは前方へいきなり走り始めた。


「早くこの場から移動してください! 地面の中に何かいます!」


「地面の中…いったい何がいるって言うんだ」


ラーシュの突発的な行動に戸惑っているレオンは、行動が遅れてしまう。


リーシャはレオンの背中を思いっきり押し、その場からすぐに移動させた。


その影響でレオンは前方に転がってしまう。


「痛ッてえなおい! 何しやが…る…、って…何だこの振動は…」


「早く立って!」


リーシャの差し出された右手を掴み、レオンは一気に引っ張られる。


「うわ!」


それと同時に地面が盛上り、ある魔物が出現した。


地面を食い破るように出現したのは、鋭い爪、大きな鱗で覆われた体、太くて短い両手両足…眼は退化し、全てを食いつくしてしまいそうな大きな口と無数の牙を持った…見慣れない魔物だった。


大きな怒号と共に地中から現れたその魔物の正体をリーシャたちは知らない。


しかし、レオンには見覚えがあった。


「いったい何! あのトカゲみたいな生き物! 多分…味方じゃないわよね!」


「バカ野郎! 逃げるぞ! あいつに構ってたら死ぬ!」


引き寄せられたレイスが逆にリーシャを引っ張りながら、森を走る。


「いったい何なのあれは! あんなの見た覚えないんだけど!」


「あいつの名前は『タルピドゥ』通称『土龍擬き』だ!」「『タルピドゥ』…何それ、強いの?」「通称名が『土龍擬き』だぞ! 普通のパーティーじゃ歯が立たねえよ! さっさと逃げるぞ!」


前方を走っていたラーシュに2人は何とか追いつき、全速力で逃げる。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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