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Re:フレンドワーズ ~家名すらない少年、ディストピアで生きていく~  作者: コヨコヨ
人族軍vs魔族軍:戦争偏

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ジャスVSブロード(?)4

「ふ…ふ…ふふふ…ふぁハハハハア!!!!」


――どこからか笑い声が聞こえる…。聞き覚えのある嫌な声だ…。


ジャスは幻聴を聞きながら、ゆっくりと目を開ける…。


「ジャ…ス……何故…」


「へ…何故王様が…ここに…」


シャスが右手に持っている『アネモネ』はシモンズ王の心臓を突き刺していた。


心臓からあふれ出る鮮血は『アネモネ』を伝い、ジャスの右手にシモンズ王の熱が伝わる。


「グァハッ…!」


シモンズ王は口から大量の鮮血を吐き出し、震える左手をジャスの右肩に置いた。


「よく…頑張った…」


その言葉を最後に…シモンズ王の瞳から光が消える…。


ジャスの右肩に置かれたシモンズ王の左手は、魔力を失った人形のように力が抜けていく。


重力に従いシモンズ王の左腕は地面へ垂れ下がった。


ジャスは『アネモネ』を引き抜き、シモンズ王の治療に取り掛かるも…すでに死んで居る。


死んだ者は生き返らない…この法則は全ての生き物に共通していることだ。


「ふ…フフ…ああ…面白い、面白い…面白過ぎて…腹がねじ切れそうだよ、ジャス…」


シモンズ王の流れ出る鮮血を何とかして止めようとするジャスの元へ、黒い影が近寄ってきた。


「ケイジュ…どうして…」


「あれ?気づいてなかったのかい?いやぁ…あまりに上手くいくから…。ジャスの方が乗っかってくれて居るのかと思ったよ~」


「総司令は何処だ…。僕は…確かに総司令の心臓を貫いたはず…」


「そうだね…~、そうなんだよね~、君は総司令と死闘を繰り広げ最後は心臓を貫くという大役を全うしたんだ…!――幻想の中で…」


「何を言っている…。幻想…まさか…『無限催眠』…いったい何時から…」


「さぁ…いつからでしょうか?…俺は人族側と魔族側に1人ずつ『無限催眠』をかけた。1人はジャスに…もう1人は~、ジャスが切りつけた魔族の男だ…。両者へ王を魔族軍総司令に、魔族軍総司令を王に見えるよう催眠をかけた。人族兵がお前を止めようとする姿は…何とも滑稽だったよ!」


ジャスは周りを見ると…多くの兵士が血を流して倒れている…。その傷跡を見ると、自身の持っている『アネモネ』で切りつけた物に間違い無かった…。


「なぜ…『無限催眠』が解けたんだ…」


「簡単な事さ…。決着がついたから…魔族の男よりもジャスの方が先に王を殺した…。王か魔族軍総司令のどちらかが死ねば、勝手に催眠が解けるよう細工しておいたってわけだ…! どうだ? なぁ…王を刺殺した気分は? 最高だろ! 最高だよな!」


ジャスは力なく項垂れている…その瞳には、光が無い…。


「あ~あ…面白いことが、無くなってしまったな…~」


『パチッ!』


ケイジュが指を鳴らすと、散らばっている死体は地面へ沈むように落ちていく。


「さてと…~、これからどうしようかな~…、何か面白い事無いかな…~…」


暗い闇の中へと足音も無くケイジュは消えていく。


☆☆☆


「う…うう…」


「おい! メルザードしっかりしろ!」


メルザードは地面に倒れながら、静かに目を開けた。


「何だ…ブロードか…人族の王は、どこに行った…お前が殺したのか…」


「何を言っている! お前はずっと我々と戦っていたのだ! 私の足を切り裂きやがって! 死ぬところだったぞ!」


ブロードの左足は切断された形跡があり、今は魔力で何とか、くっ付けているような状態だ。


「何がどうなっている…俺はいったい…」


「勝負は~、あなた方の勝ちですよ~ 良かったですね~」


ブロードの頭の中に直接、聞き覚えの無い声が響く。


「お前は誰だ…何処から話している…」


「俺が誰かなど…。どうでもいい事だ…おめでとう~。君らはこの戦争に勝利したのだ~」


「何…俺達はまだ人族の王を殺していないぞ…。勇者も残ってる。首も無しに殺したなどとほざくんじゃねえ!」


黒い沼状の地面がいきなり現れ、死体となった王の姿が地上に出現する。


「な!人族の王…何故ここに…しかも…」


「だから言っただろ~。そいつは死んだ。だから…お前らの勝ちだ…」


「きさまはいったい…誰なんだ…」


「俺が誰だとか、そんな事はどうでもいいと言っただろ。同じ質問を繰り返すな…。面白くない奴だな…。…それよりも早くしなければ、きさまらの目的は達成されないぞ~」


「何…お前、何を知っている!きさまは魔族なのか!それとも人間か!」


一瞬の沈黙がありながらも、メルザードの頭に響く声は答えた。


「俺は、どちらでもない…。きさまらの敵になったわけでも…味方になったわけでもない。俺は面白いほうの味方だ…あとは勝手にしろ…じゃ~な~」


この言葉を最後に、全く声が聞こえなくなった。


「いったい何だったんだ…ブロード…お前今の声聞こえたか…?」


「ああ、聞こえた…。だが、奴の言ってることが本当なのだとしたら…すぐに確かめる必要がある! その男が本物の王ならば直ちに確保するんだ!」


「は!」


魔族兵が王の元へと駆け寄り、所持品や状態を確認する。


傷の部分や持ち物、顔、様々な関係性から人族の王である可能性が高い、という結論に至った。


「心臓を一突き…いったい誰のやられたんだ…。魔族兵の誰かがやったのか」


「分からない…。それに、先ほどの声主はいったい…。しかし、この者が本当に王なのだとしたら…我々の勝利が確定する」


ブロードは、魔族兵を集め、これからの作戦を伝えた。


「魔族軍!明日の早朝、援軍と合流し王都への侵攻を開始する。それまでしっかりと魔力の補充を行い、明日に備えよ!」


「は!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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