Sランク冒険者:ジャスVSケイジュ7
「どうして…俺に、気が付いた…」
「お前の殺意に気づかない分けないだろ…。僕がわざと弱ったフリをすれば、お前は必ず…僕を仕留めに来ると思ったんだ。そこを突かせてもらったよ…」
「ふ…そうか。これから俺をどうする気だ…殺すのか…」
「お前が魔法を解き、人族に加勢すると言うならば、殺さない…。だが、それでもなお、魔法を止めないと言うのなら…、僕は…お前を殺さないと行けなくなる…」
『アネモネ』の剣先をケイジュの喉元に付き突け、反応を探る。
「殺した方が良い…。俺は、そういう生き物だ…。面白い事だけを求めて…、生き物を殺す。何処までも、面白さを糧にして俺は生きる。何も、面白くない事をする位なら、死んだ方が良い…そんな、生き物なんだよ…」
「僕は、むやみに殺したりなんかしない…。1人でも多くの力が、今の人族に必要なんだ。お前は、誰よりも、強いのだから…、人族に手を貸せ…。これは命令だ」
「嫌だ…ね」
『アネモネ』をケイジュの左肩に突き刺す。
「グ!…」
ケイジュから流れる鮮血の色は勿論…赤色…。止めどなく流れ続ける鮮血が、無垢な地面へと吸収される。
「もう1度聞く。今すぐ…魔法を止めて、人族の見方をしろ!従わなければ…このまま、お前の首を掻っ切る!」
「ハハ……あの勇者が、脅迫まがいな事をするなんて…」
「僕だって…こんな事は、したくない…」
「お前に従うなんて…死んでも嫌だね…」
ケイジュは、手に隠し持っていた小さな短剣で自身の頸動脈を…ためらいも無く掻っ切った…。
左肩から流れる鮮血よりも、多くの鮮血が首元から流れ出す…。
既にどれ程の血が流れ出ただろうか…、優に4L以上流れ出ているだろう…。
ケイジュの瞳は、どす黒く成っていく…。
元々光の無かった、その黒い瞳は、今も昔も全く…変わらない。
既に、この世に有る黒い物全てを足し合わせた物より…断然黒いだろう。
首から流れ出す鮮血は、地面に吸収されるよりも早く波紋状に広がってゆく…。
その顔は、狂気と憎悪を織り交ぜたかのような、狂人の顔だ。
その表情に…人間味など微塵も感じない…。
口角をあり得ない程…釣り上げ、死んで居るというのに…気味が悪い。
ジャスは、ケイジュの肩から『アネモネ』を引き抜く。
自分で殺せなかった無力感…、助けられなかった責任感…、両方を一気に受けてしまった。
「これで…魔法が解けたはずだ…。早く、魔族軍総司令の首を取りに行かないと…」
精神的にも…魔力的にも削られたジャスは、一歩一歩地面の感触を確かめながら、歩いて行く…。
そうしなければ、今にも…倒れてしまいそうだからだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。
毎日更新できるように頑張っていきます。
よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。




