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やってきた領主様

 村の復旧が終わったちょうどその日、東の方から大きくて立派な馬車がやってきた。


「あれは一体何でしょう?」

「行ってみようよ」


 ちょうど村の近くに流れる小川ではなちゃんを洗っていた僕たちは、やってきた馬車の方に向かうことにする。


 もちろんはなちゃんも一緒にね。


 そうしてすぐ近くまで行くと、立派な馬車を囲む護衛の中に見覚えのある顔があった。


「あっ、ベイルガードさん!」

「おお、ユウキ君じゃないか! 久しいな!」


 白い虎のような顔のベイルガードさんに手を振る僕に、ルナちゃんは目を丸くしている。


「ユウキくん、あの人とお知り合いなんですね」

「うん。この前アルキオネタウンに行ったときに知り合ったんだ。ルナちゃんもベイルガードさんのこと知ってるの?」

「知っているも何も、あの人は……」


 ルナちゃんが言いかけたところで、村の方から駆けつけてきたのはなんとワイツ君だった。


「父ちゃん! お帰り!!」

「おう、ただいま帰ったぞ我が息子よ」


 ワイツ君の頭を白い毛並みに包まれた大きな手でなでるベイルガードさん。


「そっか、やっぱりあの人ワイツ君のお父さんだったんだね」


 僕が納得していたら、ワイツ君もこっちに気づいて手を振ってくる。


「おーい! お前らも来てたんだな!」


 ニカッと笑うワイツ君に、僕たちも手を振り返した。


「父ちゃん! 今回の遠征オレも連れていってくれるんだよな!?」

「ああ、約束したもんな」

「遠征……?」


 僕とルナちゃんが首をかしげると、ベイルガードさんが説明をする。


「今年の国王誕生祭なんだが、領主様の護衛を我々がさせていただくのだ」

「あ~、そういえばもうそんな時期なんですね……」


 ニコニコと笑いながら話すベイルガードさんから、僕はさりげなく目をそらした。


 今までピッピちゃんのこととか村の復旧で忙しかったから実感湧かないけど、もう一ヶ月経っちゃったんだね。


 親子水入らずの二人から距離を取ったところで、馬車の荷車の窓からこれまた見知った顔が覗く。


「ユウキちゃま~! ごきげんよう~」

「ロゼちゃん! 久しぶりだね!」


「あのお方が領主様の娘さんですか!?」


 ロゼちゃんの登場に、あわあわと口を震わせるルナちゃん。


「あ、あの! ユウキくんからお話は聞いてます! その……」

「――この子はルナちゃん。僕の親友だよ!」


 緊張でガクガクなルナちゃんに代わって僕が紹介すると、止めた馬車からロゼちゃんが降りてくる。


「ごきげんよう、ユウキちゃまのご親友ルナちゃま。ローゼンメイル・フローラル・プレアデスですわ。わたくしのことはロゼと呼んでくださいまし」


 スカートの裾をつまんで優雅に挨拶するロゼちゃんに対して、ルナちゃんはまだ緊張しているみたいで。


「そそそ、そんな! ルナなんかがローゼンメイル様をそのような~!」

「緊張などなさらないで親しみを込めた呼び方を貴女にもしていただきたいですの。お父様に代わって命令ですわ」


 命令と言いつつも、ロゼちゃんの目はとっても優しかった。


「わ、分かりました。……ロゼ、ちゃん」

「よくできました」


 やっと緊張がほぐれたルナちゃんに、ロゼちゃんが穏やかに笑いかける。


 少し遅れて領主様も馬車から姿を現した。


「これはこれはユウキ君。一ヶ月ぶりだが元気にしてたかな?」

「はい。いろいろありましたけど、僕はこれまで通りです。――そうだ!」


 あることを思い立った僕は、部屋にあるとっておきのものを取りにおうちへ戻る。


「そうそうこれこれ」


 部屋にしまっておいた長方形の木箱を取り出した僕は、ニンマリと笑みを浮かべてからまた領主様の元に。


「お待たせしました!」

「ユウキ君、これは?」


 キョトンとする領主様の前で僕が木箱を開けて、中で七色に輝くレインボーフェニックスの羽根をお披露目した。


「これは、レインボーフェニックスの羽根じゃないか!! しかも傷一つない完品!」

「こんなに美しい羽根、初めて見ましたわ!」


 二人揃って見開いた目をキラキラと輝かせる領主様とロゼちゃん。


「そういえば十日前にこの村でレインボーフェニックスが出没したと聞いてたが、まさかその羽根をユウキ君が手に入れていたとは……!」

「やっぱりこれ、そんなにすごいものなんですね」

「すごいなんてものじゃないさユウキ! これだけ状態のいいレインボーフェニックスの羽根、希少すぎて値がつかないぞ!?」


 領主様の意見に、僕は今さらだけど手が震えてしまう。


 そんなにすごいものを僕は持ってたんだ……!


「あの……、僕これを王様に捧げようと思うんですけど」

「それでわたくしたちの前に持ってきたのですわね」

「ああ、国王への貢ぎ物として不足はないさ」


 それならよかったよ。


「ブロロロ……」

「あ、はなちゃん。ごめんね、連れてきたのに放ったらかしにしちゃって」


 不満げに喉を鳴らしていたはなちゃんをなだめに、僕はその大きな顔をなでてあげる。


 こうしてやってきた領主様たちを、この後村のみんな総出でもてなしたんだ。

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