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お嬢様は友達

 領主様との面会が終わったところではなちゃんが待つロビーに戻ってきたんだけど、なんだか慌ただしい雰囲気になっていた。


「あれ、どうしたんですか?」

「あの……実はそちらのゾウが粗相をしてしまいまして……」


 息を切らしながら告げたのはメイドのアリシアさん。


 粗相ってもしかしなくてもお漏らしって意味だよね?


 言われてみれば確かにもわっと牧場みたいな臭いがするし、階段にまで敷かれていた赤いカーペットも片付けれている。


 あちゃーといった感じで額に手を添えてうなだれた僕に、ローゼンメイル様がなぜか目を輝かせてこんなことを。


「はなちゃまのお通じ、一つ一つがわたくしの顔よりも大きかったですの! それにお小水も滝のようでとっても豪快でしたわ!」


 はなちゃんの落とし物にまで興味津々なローゼンメイル様、よっぽど動物が好きなんだね……。

 動物園で初めてゾウのうんちを見たとき、僕もその豪快さに感動してたなあ。


「はーなーちゃーん~?」

「ブロロロ……」


 僕がジトーっとした目を向けたら、はなちゃんったらバツが悪そうに目を背けたんだ。


「ダメだよこんなところで用を足しちゃあ。皆さんに迷惑がかかるでしょ~?」

「…………」


「まあまあユウキちゃま、はなちゃまをそんなに責めないでくださいまし。あのくらいの粗相ならプレアデス家の使用人たちがパパッとお片付けしてしまいますわ」

「お嬢様の言う通りです。このくらいは我々にとってなんということのないお仕事ですので」


 ローゼンメイル様だけじゃなくてアリシアさんにまでフォローに入られて、僕はこれ以上はなちゃんを責めることができなかった。


「ここの使用人さんたちが優しいから良かったけど、今度からは気を付けてよ?」

「ブロロロ……」


 そんなこんなで領主様のお屋敷での用事が終わった僕は、村で待ってるルナちゃんのおうちに帰ることにした。


「帰りもお気をつけてくださいませ」


 そう言った執事のゴードンさんに、僕はにっこりと笑みを返す。


「はなちゃんがいれば大丈夫ですよ」


「またいつでも来てくれよ~」


 どうやら領主様は今後も僕たちを歓迎してくれるみたい。


 アリシアさんと入れ替わりで見送りに加わった領主様の言葉に、僕もなんだか嬉しくなってしまう。


「それでは僕たち帰りますね。お邪魔しました」


 こう告げてはなちゃんに乗ろうとしたとき、呼び止めたのはローゼンメイル様だった。


「お待ちくださいまし!」

「どうかしましたか、ローゼンメイル様?」

「あ、あのユウキちゃま。わたくしとお、お、お友達になりませんこと?」


 スカートの裾をぎゅっと摘まんでモジモジするローゼンメイル様に、僕は快く答える。


「もちろんですよ、ローゼンメイル様」


 するとローゼンメイル様はぱぁ……と表情を明るくした。


「本当でございますか!? 感謝いたしますわ」


 たどたどしいけど確かにそう言うローゼンメイル様は心底嬉しそうで。


「――そ・れ・と、堅苦しい敬語は結構ですわ。わたくしのこともロゼと呼んでくださいまし。親しい方々ならわたくしをそうお呼びになりますわ」

「分かりました……じゃない、分かったよ。よろしくね、ロゼちゃん」


 にっこりと微笑みながら僕が名前を呼ぶと、ローゼンメイル様改めロゼちゃんは顔をぽっと赤くした。


「ロゼちゃん、素晴らしい響きですわ……」

「それじゃあまたね、ロゼちゃん! 皆さんもお元気で!」


 改めてはなちゃんの背中に乗ると、プレアデス家の皆さんが手を振ってくれる。


「「またお越しくださいませユウキ様~」」

「来月もよろしく頼んだぞ」

「またお会いしましょうね~!」


 その中でロゼちゃんが一際元気よく手を振っているのが、はなちゃんの背中からでも良く見えたよ。




「――ってことが今日あったんだ~」


 日が暮れておうちに帰ってきた僕は、早速部屋でルナちゃんに今日のことを伝えてあげたんだ。


「ユウキくんもお楽しみだったんですね。なんだか羨ましいです」

「えへへ、ルナちゃんもロゼちゃんたちときっと仲良くなれるよ」

「はい。ルナもロゼ様に会うのが楽しみになっちゃいました」


 僕の話を聞いてルナちゃんの二つに結んだ髪も楽しそうに弾んでいるように見える。


「そうだ! 国王陛下の御誕生祭、ルナちゃんも一緒に行こうよ!」

「え、いいんですか!? ユウキくんはともかくルナは何の関係もないのに……」

「領主様なら絶対ルナちゃんも歓迎してくれるって! ね?」

「ユウキくんがそこまで言うなら……ルナも行ってみたいです」

「決まりだね!」


「それならお姉ちゃんも一緒じゃないとね~」


 するとどこからかセレナさんが話に割り込んできた。


「わわっ、セレナさん!?」

「もーお姉ちゃん、いるなら言ってくださいよ~!」

「あはは、ごめんごめん。二人があんまり楽しそうに話してるから、お姉ちゃんなかなか入れなくって」


 お茶目に舌を出すセレナさんに、僕たちもクスリと笑ってしまう。


「セレナさんも一緒に来るんですか?」

「もちろんだよ! だって子供だけで王都になんて行かせらんないし~」

「それもそうですね」

「それに、この前はあんまりうまくいかなかったけど、お姉ちゃんが今度こそ二人を守ってみせるから!」


 誇らしげに力こぶを作るように腕を曲げるセレナさん。


「ありがとうございます、セレナさん。頼りにしますね」

「どーんと任せなさい!」


 大きな胸を力強く叩くセレナさんは、いつになく頼もしく見えた。


 来月の御誕生祭が今から楽しみだよ!!

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