愛と正義の美麗戦隊! 【4】
昼休み、体育館の裏側に五人の女子生徒が集まって何やら話し合っていた。見た所、不良生徒が下級生を呼びつけるのに適した場所だが、ここに集まった五人はそんな事は無い。先輩は後輩を可愛がり、後輩は先輩を心から慕っているから大丈夫である。強い絆で結ばれた、清く正しく美しい、仲良しこよしの五人組なのだ。
「ええ、ウッソー」
元気で素っ頓狂な声を上げたショートカットのこの娘は一年B組“水泳部の人魚姫”こと海原水魚である。
「嘘じゃないわ」
愛美が答えた。
「まさか、昨日の女の人がうちの学校に来るなんて__」
二年A組、自称“華麗なる新体操部の白い天使”天野翔子が呟いた。
「どーするの、ねえ、どーするの?」
如何にも頼りなげにオロオロしているのは“園芸部の妖精”と呼ばれる上級生の男子のアイドル一年C組、花園妖子。
「どーしよー。センパアイ、どーしよー」
妖子に黙って肩を竦めて見せた、男子の制服を艶やかに着こなす、豊かなバストが誇らしげな長身の女生徒は“弓道部の女傑”二年B組、荒井勇気である。一年女子生徒の憧れの“お姉さま”だった。
「だけど、好都合じゃない?」
既に考えを纏めていたらしい愛美が、一同に頼もしく言った。
「藤枝先生はデスハードに狙われてるのよ。これからも狙われる怖れは有るわ。学校に居てくれれば私達も守り易いし」
「でも、ボク達の事がばれたりしないかな」
「大丈夫よ」
水魚の疑問に、愛美が力強く答えた。
「まさか一介の女子高生が正義の味方なんて、現実にそんな事が有るなんて思ったりしやしないわよ。それに、生徒は数え切れないほど居るのよ。私達だけに目を付けたりするのはよっぽどの慧眼の持ち主でなきゃ、無理よ」
「そうですわね」
余裕の物腰で、翔子が頷いた。
「言われてみればその通りだし、神先輩がそう仰ってるんだもの。私は信頼しておりましてよ」
「あ、妖子も__」
翔子の言葉に、妖子も追い縋るように続いて手を上げた。
「モッチロン、ボクも。ユーキ先輩も__」
「ええ」
水魚の元気な一言に、勇気も同意した。
「先輩は、私達みんなのリーダーだから」
勇気の静かな一言に、皆力強く頷いた。
「みんな__」
仲間たちの信頼に、愛美が感無量と言った笑顔を見せた。
“しっかりしなくちゃ”
愛美は益々決意を新たにした。
“わたしはリーダーなんだから。今度は私がこの子達を纏めていかないと__”
自分をここまで慕ってくれる素晴らしき仲間達に、愛美は胸が熱くなった。
“そうよ、もう、姉さんたちに頼ってた頃とは違うんだから。いつまでも信頼じゃなく、信用されるリーダーにならなきゃ”
先発登板に大抜擢された新人ピッチャーのような決心と供に、神愛美は__ティンカーVのリーダー、ヴィーナスレッドは今一度力強く胸中に呟いた。