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愛と正義の美麗戦隊! 【3】

「一体何だったのさ、昨日のアレは__」

某スペシャルの取材班が目撃した光景に勝るとも劣らぬ、信じられないような出来事を体験した翌日、藤枝恵理子は晴れて出勤第一日目を迎えたのであった。恵理子の目の前に聳え立つ白亜の学び舎。

“忘れよう”

気が滅入りそうな自分に言い聞かせると、恵理子は今一度気持ちを入れ直した。

“ここがわたしの夢を叶える青春の晴れ舞台__”

私立天国学園。

“これで今日からわたしも憧れの、世にも名高きあの『高校教師』なのね!”

少子化で免許を取ってもおいそれとは職に就けず、教師も待機期間を経て漸く本番に臨めるこの御時世、遂に巡って来たこの感動の一時に、恵理子は胸を躍らせて弾むような足取りで歩を進めて行ったのである。

「皆さん__」

教壇に姿を現した、新米教師の初々しい姿に居並ぶ三年A組の面々は如何にも物見高い期待感で無邪気にざわめいていた。

「本日から二年三年で古文を担当させて頂きます、藤枝恵理子です、宜しく」

おお、とクラス一同がどよめいた。

「まだ新米だから、イビったりしちゃダメよ」

恵理子の、中々度胸の据わった冗談に、笑い声が起こった。

「先生__」

男子生徒の一人が如何にも何かを狙ったように、勢い良く手を上げた。

「ハイ、そこの君!」

恵理子も中々のノリでその生徒を指した。

「彼氏、居ますか?」

「チ、チ、チ__」

いきなりの質問に、恵理子が余裕の表情で指をスウィングさせた。

「甘い甘いぞ」

恵理子も中々楽しんでいる。

「そう言う、プレーンな質問はとっくにお見通しよ」

恵理子の切り返しに、クラス中がどっと受けた。

「先生も昔、おんなじ事聞いたんだから。修行が足りんぞ、もう少し工夫してから出直しなさい」

新米教師藤枝恵理子の授業第一日目は中々好調な滑り出しのようだった。

「ねえねえ、今度の先生、ちょっとイイ感じじゃない?」

「うん、なんか、カワイイよね」

などとクラスのあちこちで恵理子の値踏みが行われる中で、違った感想を胸中に抱いた女生徒が一人。女生徒達の中でも際立って美しい生徒だった。

“__あの女性(ひと)

彼女こそ、人呼んで“天国学園の女神様”こと生徒会長、神愛美その人であった。

“間違いないわ。昨日の__”


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