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仁義なき戦い? 【6】

「あー、終わったわね」


ホッと一息つくようなエンジェルホワイトの一言に一同が、ホッと安心ひと心地__とは行かないのが世の中なのである。

「何でエ、一体。鉄砲玉か?」

大門寺一家の表門から、いかにも年季を積んだ玄人筋のおニイさん方がワラワラと顔を覗かせ、こちらの方を窺っているのである。


流石の美麗戦隊も背筋が凍り付くほどに竦み上がった。


「お控えなすって、お控えなすって__」

若い衆の中では比較的年嵩の、一際貫禄を漂わせた壮漢が、仁義を切りながら底に響くような声でティンカーⅤに話し掛けた。


「早速のお控え、恐縮にござんす。手前、此方の大門寺一家で若頭を務めて居りやす、夏目大吉ってえ半端モンにござんす。卒辞ながらお伺い申し上げやす。一体エ、本日はどういった御用向きで手前どもの門前にお越し頂いたのかは存じ上げやせんが、手前どももこうしてこの世界で飯を食って居りやす上は、些か体面てえモンが御座エやす。そちらさんが何れの御身内かは存じやせんが、事と次第によっちゃあ、キッチリ落とし前を着けて頂かねえ限りは渡世の義理が立ちやせん。こちらとしても、スジってえモンを通させて__」

その凄みの効いた口上に、愛と正義の美麗戦隊も震え上がった。


「ゴ、ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさーい__」

五人揃って何度も何度も頭を下げた。

「あ、あのですねえ……」

道端に倒れている戦闘員を引き摺り起こして、ヴィーナスレッドが説明した。おっかないが、これもリーダーの役目である。

「わ、悪いのはぜーんぶこの人達です。この人達、何だか、そっちの御邸をゾロゾロ見張ってたモンですから__」


「するってえと、お嬢さん方は巻き添えを食ったってエ訳で?」

「そうです、そうなんです!」

汗を掻きながら必死で陳弁するリーダーの頼もしきその姿に、美麗戦隊のメンバー全員が等しく言い知れぬ尊敬の念を抱いていた。


「そうでござんすね。こんなお嬢さん方があっし等みてえなはみ出しモンに用が有る訳ゃあ御座いやせんし」

「いいえ、滅相も無い」

礼儀正しい相手の謙譲に、思わずハイと応えそうになったヴィーナスレッドが慌てて首を振った。


「判りやした。知らぬ事とは言え、見ず知らずの素人さんにご迷惑をお掛けした事、この通り詫びの言葉も御座いやせんが、どうかこの不始末の落とし前はあっしの指でご勘弁を……」

もう既に両手の小指はとっくに失っている大吉が、更に別の指を見ながら言った。


「い、いいんです、そんな、そこまで気を使って頂かなくても__」

余りに余りな男稼業の壮絶な言葉に真っ青になったヴィーナスレッドが取り成すように必死で言い繕った。彼女だけではなく、ティンカーⅤのメンバー全員が血の気を失い、中でもフェアリーピンクはとっくに目を廻し、気を失ってアマゾネスブラックに支えられていた。


「そ、それじゃあ、わたし達はこの辺で失礼しますので」

「そうでやすか、それじゃあ、お嬢さん方も道中お気を付けて」

「失礼しまーす、お元気で__」



風のように去って行ったティンカーⅤを見送ると、若頭の夏目大吉がそこ等中に転がっている気の毒なデスハードの戦闘員たちを見下ろしながら言った。


「お前えら、お客人をお通ししろ。くれぐれも粗相の無えように、丁重にな。どこのお身内衆か、今日は一体エ何のご用件でうちの玄関先に出向いて来られたのか、中でとっくりと御伺いするんだ」

「へい、畏まりやした」

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