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仁義なき戦い? 【5】

「おのれえ、ティンカーⅤめ……」

鞭を両手で握り締めたプリンセスが、忌々しげに吐き捨てた。

「まあ、いいわ、今日の所は挨拶代わりって事で、この位で勘弁してあげるから__」

悔し紛れのジョークのつもりか、プリンセスが受けない冗談を口にした。ティンカーⅤの面々が呆れたような顔でプリンセスを眺めていた。


「しかし、何ていうか……」

しげしげと、物見高い視線をティンカーⅤに向けたプリンセスがニヤリと底意地の悪い笑顔を見せた。


「ティンカーⅤって、確か女ばっかりの五人組じゃあなかったっけ?」

「それがどうしたのよ?!」

「だけど、実際に見てみると、男の子が一人混じってるじゃない?」

その前振りだけで、相手が何を言いたいのか、マーメイドブルーは敏感に察知した。流石にその事で一揉め有った直後だけにヴィーナスレッドも素早く、過敏なほどに反応した。

「何ですってえ?」


「普通、戦隊って言うのは男の中に紅一点、女性メンバーが入ってるものだけど、美麗戦隊ってその逆なのね」


「何ですってえ__?」

為す術も無くといった風情で押し黙るマーメイドブルーを見下ろすような、プリンセスの悪意に満ち満ちた笑いに益々逆上したヴィーナスレッドが追い討ちをかけるように言い返した。


「言ってみなさい、一体わたし達の中のどこに男の子が居るって言うの?」

ヴィーナスレッドは責任感の強い、仲間想いの熱血リーダーである。仲間が侮辱されようと言うのを黙って見過ごす事など出来はしなかった。しかし、それでは益々相手の術中に嵌る事に成るばかりなのである。傍で成り行きを見守っていたエンジェルホワイトが、オロオロしながらムチムチプリンセスとヴィーナスレッド、そして宣告を待つように俯いて押し黙ったままのマーメイドブルーを見詰めていた。そして__


「決まってるじゃない、そこの青……」


「ちょっと待ちな__」


「__な__?」

折角、上機嫌で相手をいたぶろうと言う所に、思わぬタイミングで中断が入り、プリンセスは戸惑った。


「あんた、そいつァ、どう言う事ったい?」

アマゾネスブラックだった。


「ナ、ナニよ、あんたは__」

「聞き捨てなら無いね、その一言は」

決して大声ではないが、足元のしっかりした、堅固な語調である。


「幾らあたしがデカイ女だからって、男呼ばわりとは許せないね」

「ア、アンタじゃないわよ。そこの……」

「御黙り。そんな恥かしい格好にみっともない名前で人様の前にしゃしゃり出て、臆面も無く贅肉見せびらかすようなノータリンに、そこまで言われる筋合は無いよ!」


「な……贅肉?ノータリン?」

アマゾネスブラックの無礼極まる一言に、プリンセスは思わず言葉を失った。

「アンタ、それはどう言う……」


「ほらほら、そこに」

鞭を手に、相手を指し示すポーズを取ったプリンセスに、アマゾネスブラックが余裕で言い返した。

「そこの脇腹、皺が寄ってるのは贅肉じゃあないのかい?」


「な、何ですって?!」

慌てて脇を隠そうとしたその不細工な姿がよほど可笑しかったのか、ティンカーⅤの五人が反射的に笑い出した。

「……な……」

思わぬ醜態を曝した誇り高きプリンセスは、真っ赤になってティンカーⅤを睨み付けたが、優越感に満ちた相手の視線に、押し潰されるように再び言葉を失った。それに加えて、実はプリンセスの背後では、手下の戦闘員達も声を殺して笑っていたのである。


「__くー__」

屈辱に涙を浮べたプリンセスが、歯軋りしながら身を震わせた。

「憶えてなさい、美麗戦隊ティンカーⅤ!」

戦闘でも口でも完敗に終わったムチムチプリンセスは、マントを翻して言い放った。無意識の行動かも知れないが、矢張り“贅肉”を隠したかったのかも知れない。

「この位で勝ったと思わないことね。この次は必ず思い知らせてあげるわよ!」

プリンセスが後ろを振り返ったと同時に笑いを噛み殺していた戦闘員が弾かれたように気を付けの姿勢で威儀を正した。


「引き上げよ!」

「イー!」

最初の目的が何だったのかさえ忘れるほど頭に血が上ったプリンセスが、さっさとその場所を引き払った。

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