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登場、悪の大幹部! 【5】



「海原さん、何か悩み事でも?」

「うーん、悩み、だよねえ……」

塞ぎ込んだように溜息を連発する水魚に、翔子は益々心配になってきた。

「どうしたの、海原さん。悩み事だったら相談に乗りますわよ」

「うーん__」

髪の毛を掻くようにペロッと舌を出した水魚は、片目をつむって唸るばかりだった。

「ショーコ先輩のお心遣いはとっても嬉しいんだけど……こればっかりは……」

「何よ、海原さん」

翔子がむっ、と眉根を吊り上げた。

「ち、違う違う、そうじゃないんだ__」

機嫌を損ねた翔子に、水魚が慌てて手を振って見せた。

「しょうがないなあ……それじゃあ……」

水魚は再び溜息をついて話し出した。

「先輩、ボクの事、どう思う?」

「どう?」

質問の意味が判らず、翔子がきょとんと水魚を見返した。

「どう、ですの?」

逆に翔子の方が聞き返したのも、不思議は無い。

「どう、とは、どう言う意味ですの?」

「だから……」

水魚が頭の後ろで両手を組んで唇を尖らせた。

「ボクって、あんまり可愛く無いでしょ?」

「はあ?」

益々意味が判らず翔子が戸惑って言葉を失った。

「可愛く……」

何だか良く判らないが、妙に切なげな水魚の眼差しに焦った翔子が、慌てて答えた。

「そ、そんな事__」

慌てて取り繕う翔子を、水魚が恨みっぽい目で見詰めた。

「か、海原さんはとっても可愛いですわ」

「ホント?」

「当然、ホントですわよ」

「具体的には?」

「ぐ、具体的?」

そこまで問い詰められても翔子には咄嗟に答えられない。

「え、えーと……」

目が泳いで、何とかこの場を切り抜けようと答えを探す翔子を、胡乱げな顔で水魚が見ている。

「そ、そうそう、元気で活発で、気さくな所とか__」

顔の横で両手を合わせてニッコリ微笑む翔子を、益々問い詰めるような目で水魚は窺っている。

「明るくてサッパリした性格なんて、もー、サイコー」

「もういいよ」

水魚が今一度、ハー、と溜息を着いた。

「やっぱり、ボクって可愛くないんだ」

「ちょ、ちょっと__」

翔子が慌てて言った。

「可愛くないって、そんな事は……」

「判ってる__」

クルッと向きを変えた水魚が、再び両手を頭の後ろで組んで見せた。

「可愛いって言うのは、男の子みたいで爽やかだとか、そう言う意味なんでしょ」

「え、えーと……」

まともに図星、ズバリ胸中を衝かれて流石の翔子も返す言葉が無くなって沈黙した。


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