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人魚姫メルジーナは今世こそ平和に結婚したい  作者: 丹空 舞
第二章

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厨房にて ウッツとグンターのお喋り



いやー、今日のベシャメルソースはうまくいったな



ああ、会心のできだったな。



旦那様も奥様も、笑顔ではあったけどさすがに寂しそうだったな。お嬢様が出発されてから、なんともいえない顔をされていた



そりゃあそうだろう。メルジーナお嬢様……ずっと病弱で、一匙のお粥も満足に食べられないときもあったお嬢様が、皇宮に登城だぞ。嬉しさと心配がないまぜになって、使用人のおれですら泣きそうになったよ



おれらもお嬢様が小さい頃からいるもんな



それが今日は、大皿のフリッターをほとんど一人で召し上がってたもんな。次はシャチの素揚げを作ってくれって真顔で言ってたけど、あの冗談は貴族の中で流行ってるのか?



さあ……にしても、シュテファン様は……



ああ……シュテファン様な……泣きすぎだったな……美形だから余計に残念だよな……



あの方、帝国軍部では絹羽鳥の貴公子って呼ばれてるらしいぞ



絹羽鳥でも孔雀でもフラミンゴでも、何だっていいけど、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだったし、メルジーナお嬢様ちょっとひいてたし。やけ酒にもほどがあったな。しかも弱い



最後はそのへんの野草で自分でモヒート作り始めてたもんな



あれはないなー……




それにしてもメルジーナお嬢様、大丈夫だと思うか? ガチガチに緊張してたぞ



領地から出たことがないんだから、緊張もするわな。しかもいきなり帝都だろ?



ああ。ここも田舎ってほどじゃないけど、帝都と比べりゃ何もないもんな。帝都で修行してたころが懐かしいや



でもあんなとこでお嬢様が働くなんて、想像もしなかったな。部屋から出るのもやっとだったし、口数も少なかったのに、高熱を出して以来すっかり調子がよくなってさ



ああ。医者も奇跡って言ってたぜ。まるで、新しい魂が入ったみたいだって



はは、そいつはすげぇな。お嬢様、毎日海の神とやらにお祈りしてらっしゃったからな。報われたんじゃないのか



小さい頃からずっと屋敷を出られなかったからな。あんなに元気になられて、おれらにも明るく挨拶してくれて、こんな言い方したら失礼かもしれないが、ほんとにいい子に成長されたよ



ただ、今日は青ざめておられたな……



ああ。さすがに緊張するんだろう。行儀見習いって、おれはよく知らないけど話に聞いたところじゃあ、要人と四六時中一緒にいて世話をするらしいじゃないか。できるのかね、あのお嬢様に。人間の世話どころか、馬や鳥の世話さえやったことのない箱入りのお嬢様だぞ



そうだな……心配ではあるけど、もう馬車はでちまったんだ。まあ、おれたちにできるのは、例の海の神様とやらにお嬢様の無事を祈ることと、夕飯の仕込みの時間までにこの大量の皿を洗うことだけだ



ああ、ちがいない……うわ、まだあるのかよ。終わる気がしねぇ……はなむけとはいえ、気合い入れて作りすぎたな……




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